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嫉妬という悪意

森の中を歩く僕達。いつもはシスターと何気ない会話をしながら歩いているのに今日はそれがない。

もしかしたらちょっと気分が悪いのかな??と思い


「シスター。気分が悪いなら今日は……」

「そんなことありませんよ。それに毎日水浴びしたいと言ったのは…」

「それは僕だけど………本当に大丈夫なの??」

「はい。大丈夫ですよ」


そういって笑ってくれた。いつもの笑顔だ。

でも、どうしてだろうか。その笑顔が少し悲しい感じに見えたのは……


そしていつものように湖について水浴びをする僕。

だけど今日はシスターが湖に入ってこない。

普段は止めてよと言っても「普段から見てるからいいでしょう?」と言ってくるのでそれ以上言い返せずに一緒に水浴びしていた。


なのに今日は入ってこない。

それどころかやっぱり暗い表情をしている。

ここからじゃシスターの表情が見えないと本人は思っているかもしれないけど、月明かりが丁度シスターの顔を照らすと見えてくる。


やっぱりなにかあったのかなーと思いシスターの元へ


「やっぱりなにかあったんでしょうシスター」


その言葉に僅かにビクッとするシスター。

きっとそれはいつもシスターを見ている僕だから分かったこと。

シスターはすぐに笑顔を見せながら


「なにもありませんよ」

「………シスター」


その笑顔が辛そうに見えた。だから僕はシスターの手を握って、シスターの目をジッと見てもう一度問いかけた。


「なにか、あったんだよね??」

「…なにもありませんよ。って………誤魔化せませんか……」


やっぱり何かあったんだ。でもそれなら


「シスターって、僕と同じようにわかりやすいよ」

「これは……一本取られましたね……」


ちょっとは和ませようと言った言葉に、苦笑いしてそう言ったシスターの顔はまだ暗い。

本当に何があったのかと思い訪ねようとするとシスターが背中をこちらに向けて服を脱ぎ始めた。


もう服を脱ぐぐらいで動揺はしないけど、どうしたのかと思っていると


「……な、なに、……それ……」

「………………」


シスターの背中はとても綺麗だった。

言葉では何かに例えることが出来ないほどに、前に本で出てきたとても綺麗な宝石というものよりもきっと綺麗な背中。


それが…………真っ赤に、皮膚が爛れて、あの綺麗な背中が無くなっていた。


「ど、どうしたの………なんだよそれッ!!!!」

「……ごめんなさい……もう私は…貴方と一緒には……」


涙を流すシスター。それを見た僕は回り込みシスターの手を握って


「なんでもっと早く言わないんだよ!!!」

「………えっ??」

「今すぐに治すからッッ!!!!」


そうだ。いまは魔導書を隠すなんて、ことは考えなくていい!!

すぐにシスターの傷を直そうと言葉を出そうとしたとき


「シスターから離れろおおッッ!!!!」


突然茂みから現れた人物。

それは教会にいる僕と同じ年齢の男の子。

そして他にもゾロゾロと茂みから出てくる男達。


その視線は全部、シスターに向けられていて………


「ぼ、僕のシスターから…離れろよお前ッッ!!!!」

「何言って………」


僕のシスター??

いや、シスターはシスターなのに、何を言って……

すると確か教会で一番年上の男が叫んだ男の頭を殴りつけ


「何言ってやがる……てめぇのシスターじゃねえだろうが」

「ガロンさん……」

「シスターは皆のシスターだ。……だからシスターを()()()()()()()()()()()()()()()…!!」


その言葉に周りの男達もぐへへと、気持ち悪い笑い方をしだした。

何を言っているか分からないけど、シスターに何かをしようとしているのは分かった。

やめさせよう。そう考え前に踏み出そうとした僕をシスターが手を前に出して静止させた。


「貴方はここで待ってて」

「でも、シスター……」

「これは、私が招いた結果なのです。だから…私がやります……」


そういいながら脱ぎかけている服をそのままに男達に向かうシスター。


「うひょー!!そのまま相手してくれるのかよッ!!!」

「そんなわけ無いでしょう。ただで私の身体をやる気はないわ」

「この人数を相手するのか??いくらなんでも無謀……」

「手を出していいのか?()()()()()()()()()()()()()()()()()()!()!()


その言葉にシスターは歩みを止めてしまった。

そうだ。シスターはシスターなんだ。

追い払おうとする行為も子供達を傷つけてしまう可能性がある。

それをシスターであるシスターが出来るわけがない。


「やっぱりな!アハハ!!」

「くっ!」

「シスターが悪いんだぜ。俺等のシスターになればいいもの……そいつだけのシスターなんていうからよ!!」


………この人、いま、なんて言った??


「安心しな。その火傷も俺達は愛してやるよ。

シスターが俺達のものになれば、そいつは生かしてやるよ!!」


…………もしかして、この火傷も……コイツ等が………


「毎日、毎日そいつのところに行ってよ……気が狂いそうなんだよ!!

その身体を見せていいのは俺達だけなんだよ!!分かったかあ!!!!!」


……………コイツ等……………殺す……ッ!!!

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