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特別実施試験⑤

「さっきはすみません……」

「いや、こっちが謝るほうだから……」


この中でも最も話が分かりそうなパレスさんに謝罪をしていると、大人しくなったミミィさんが


「……ねぇ、あの人が強いならアンタ冒険者になる必要ある??」

「………働かざる者食うべからず。というやつなので……」

「なるほどね。まぁ、とにかくアンタは後衛ね」


さっきみたいに食いつくようなことはせずに、サッパリとした感じで話してきた。

こっちのほうが話しやすいけど、なんかいきなり雰囲気が変わった感じで変だな〜と思っているとパレスさんが


「あの女の人の実力が凄かったからね。だから君の事も少しは出来るんじゃないかって」

「そうだったんですか……」

「余計なことをいうなバカレスッッ!!!」

「痛いッ!!!」


パレスさんに肩パンをするミミィさん。

そんな様子を見ているとさっきまで大人しくイチャイチャしていたジーペさんとアニスさんが近づいてきて


「よろしくねミナル君。魔法を使えるなんて……期待しているよ」

「本当に凄いわね。その年で魔法なんて……」

「えーと、そうなんですか??」


僕としてはこの世界の魔法使いの基準をよく知らない。

ステータス持ちじゃないから、頑張って魔導書を読んで理解して魔法を使えるようになっただけだからな〜


「魔法を使うにはまず"属性持ち"にならないといけないんだ。

そしてそこからその属性を鍛えて、やっと魔法に昇格。

その魔法を極めてやっと"魔法使い"になるんだよ」

「それを飛ばして魔法が使えるのが魔導書だけど……そんなの読める人なんて魔法使いでも上位の人だけだから………」


な、なるほど……

まぁ、なんとなく僕がやっていることが人より違うな〜とは思っていたけど……


「でも、頑張ればみなさんも読めますよ」

「「「「読めないッ!!!!」」」」


と、気軽にいったら怒られた。

えっ。そんなに難しいかな。コツはいるけど読めないことはないよ?

視線をレナに向けるとコクリと頷かれて、アメストさんに向けると視線を外された。

最後にギルドマスターに視線をやると


「あと、十分だぞ」

「読めないんですか??」

「早く話を纏めたほうがいいぞ」

「聞いてますか〜?」


完全に話を聞いてくれない。

えっ。そんなに無視されるほどに異端なの僕は??

よく分からない立場だな〜と思っているとパレスさんが


「と、とにかくミナル君は後衛を頼むよ。

ちなみにどんな魔法が使えるのかな??」

「それはですね……」「秘密です」

「…………えっ??」


離れていたはずのレナがいつの間にか近くにいてそう言い出した。

いや、秘密って、そんなのない………


「そうだよね。あとは実践で見ていくしかないか」

「えっ??」

「でしょうね。もういいわよギルマス」

「そうか。では始めよう」

「ええ!ちょっ、ちょっとッ!!?」


なんで皆で僕を無視するのさ!!

流石にこれは酷すぎると抗議しようとしたらレナが耳打ちで


「ここで魔法を教えるのダメです。手の内は明かさないのが冒険者ですよ」

「えっ?でもパーティならそこを言わないと……」

「後衛ですからサポートの魔法で十分です。私達にかけたあの魔法で」


あぁ。"ファーストアップ"ね。

そうか。後衛だからそういう魔法だけでもいいんだ。


「さらに威力を抑えた魔法でお願いします」

「えっ?あれよりまだ抑えないとダメなの??」

「ダメです」

「そ、そうなんだ……」


食い気味にくるレナに納得するしかないミナル。

耳打ちが終わるタイミングでギルドマスターが


「では諸君、転移陣に移動してくれ」


いつの間にか地面に書かれた魔法陣。

これが転移陣か。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?()?()


気にせずに魔法陣に乗り込むミミィさん達を見ていると速く乗りなさいという視線を送られたので慌てて魔法陣の中へ。


「転移先はランダムだ。これも冒険者としての運という素質が試される。では検討を祈る」


ちょっ、ちょっと待って!!ランダムって何!?

その魔法陣を書き換えれば()()()()()()()()()()()()()()!()!()


それを言おうする前に転移陣が起動しミナル達は地下ダンジョンへと転移されたのだった。

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