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特別実施試験③

『………は、はぁ〜!!?』


何処からか驚きに似た叫び声が上がっている。

それだけじゃなくこの訓練所を観ることが出来る観覧席からざわざわと話し声が広がっていくのが分かる。


そうはそうだよな〜。

こんな子供がここに現れただけでも……と、普通なら考えるだろう。

だけどその話している話題というのが


「あ、アレって……アメスト様ッ!!!??」

「あの騎士団の"断絶のアメスト様"なのッ!!!」


と、僕やレナの後ろから付いてきたアメストさんらしい。

やっぱりこの人は有名人らしい。

この町に入って何か視線やコソコソ話をされているなーと思っていたがアメストさんはなかなか近寄りがたい有名人。みたいなものみたいだ。


「……貴方、人気あるようですね」

「そんなもんいらねぇよ」

「そうですか……断絶のアメスト様」

「テメェに言われるとムカつくから止めろッ!!!!」


レナは身バレしたくないのでフード付きのコートで顔を隠している。アメストさんも同じようにすればよかったと思っていると、それに気づいたのかアメストさんから


「言っておくけどな、こっちは騎士団として恥ずかしくないように普段から心掛けてんだ。元々見られて上等。隠す必要なんてねぇんだよ」

「………カッコイイですね」

「………チィッ」


照れているわけではないが顔を背けるアメストさん。

しかし騎士団というのは周りのお手本になるような存在だとは理解していたが苦労するものだなと感じた。


すると一緒に訓練所に来てくれたギルドマスターが観覧席にも聞こえるように大声で話しだした。


「静かにしろッ!!!!

これから特別実施試験を執り行うッ!!!!!」


ギルドマスターの号令に誰もが静まり返ったが、その後に出された言葉に誰もが声を出したくなっていた。

そう誰もがそれが見たくてここに来たのだ。

面接も適性検査もパスして、学校にも入らずに一気に試験を行うその人を。


周りからすればフードを被った人が試験を受けるように見えるだろう。

しかしギルドマスターの言葉に、またしても訓練所がざわついた。


「これから行う特別実施試験を受けるのは、此処にいるミナル君だぁ!!!!」


そんな注目するような説明はしてほしくなかった!!

誰もがこっちを見ている。そしてさっきよりざわついている。

それはそうだろう。こんな子供が特別実施試験を受けるなんて……


「君達の言いたいことは分かる。

しかしここにいるアメスト様はこの子実力高く評価し、ギルドに入ることを勧めてきたのだ。なのでこうやって特別ではあるこの学校の最終試験である実践経験を行うことになった」


アメストさんの名前が出た途端にさっきまで「あんなガキが…」「大丈夫なの?」とかの疑問を持つ声が無くなった。それだけアメストさんは凄いんだなーと関心しているが、隣のレナは僕に対する悪口にイライラしており


「………顔は……覚えました………あとで………」

「不吉なこと言わないのッ!」


大体こうなることは予測出来たはずなのだ。

本当に僕から見てもここにいていいわけがないと思うぐらいなのに…

レナをとにかく宥めようとしている所で、観覧席から一人の女のコが手を上げた。


「なんだねミミィ君」

「この学校の最終試験はパーティによる試験と聞きました。

だとしたらその子は誰とパーティを組むんでしょうか??まさかそこのお二人様ではないですよね??そんなことしたら不正になると思いますがどうなんでしょうか??」


………えっ。

最終試験をやらされるだけでも初耳だったのに、その試験はパーティが必要って……

パーティを組むなら知ってる人がいいけど、確かにレナやアメストさんと組むわけにはいかないのは分かる。絶対に僕の出番なく終わる気がする………


「もちろん考えてある。

ここにいる君たちの中のパーティにミナル君を入れて試験を受けてもらうつもりだった。が、」

「が、どうしたんですか??」

「せっかくだ。君のパーティに入れてもらって試験を受けてもらおう」

「はああぁッ!!!??」


訓練所に響き渡る大声。

大声も出したくなるよね。質問しただけなのにまさかパーティに僕を入れて試験を受けることになるなんて……


「何を勝手にッ!!!」

「もちろんタダではない。君達パーティはこの学校でも優秀だ。

なら、この試験を合格した場合君達も一緒に学校卒業というのはどうだ??」


その言葉に固まるミミィという子。

隣にいる子達はそんなミミィを見ている。つまりはあの子達が一つのパーティなんだろう。


そして3人、いや、4人で話し合いをしてどうするか決めたようだ。


「分かりました。でもここにいるアニスもパーティに入れてもいいでしょうか??」

「確かアニス君は冒険者適正はなかったはずだが……」

「彼女は力だけなら誰よりも強いです。パーティならアニスの足りないところは補い合って支えると思いますが」

「……素晴らしい!!!

いいだろう。特別にアニス君も参加するといい。合格した暁には冒険者として活動することも許可しよう」

「あ、ありがとうございます……」


なんか、勝手に話が進んでいる……

僕に拒否権は……ないよね。知ってた。


「ではミナル君。君はあのパーティ、"逆鱗"に入ってもらうよ」


………あぁ〜。パーティ名の意味、分かったかも。

観覧席から降りてきたミミィは真っ直ぐにミナルの元へ向かい、真正面からハッキリと言ってきた。


「足、引っ張ったら、アンタがその足を引きずるようにするから」

「…………き、気をつけます………」


この子がこのパーティの逆鱗ってやつなんだね……はぁ〜………

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