特別実施試験①
「はぁ〜!?なによそれ!!」
「だから特別実施試験!!
学校にも入らずにいきなり冒険者資格が手に入る実施試験。
それもいまから訓練所で公開試験だって!!」
「何その優遇された試験!!ムカつく!!!」
誰もが冒険者学校の食堂で昼ご飯を食べていた頃。
ギルドマスター兼校長であるエスエからこんなお達しが流れてきた。
『これから特別実施試験を行う。
これは校長である私が認めた実施試験。しかし周りの者もそれだけでは納得いかないだろう。なので特別に午後からその実施試験の見学をすることを許可する。見るか見ないか派生徒諸君の自由だ』
そんな話が一気に生徒の耳に入り、そして丁度お昼ご飯を食べていた生徒の一人、ミミィ·レイジェスに同じ班のパレス·ハットルが伝えてきたのだ。
そしてミミィの隣にいるジーペ·ホレストが
「そうは言っても校長が認めた人なんだろう。
ならかなりの実力を持っていることになるよね」
「だとしても適性検査や面接も無し、学校も無しなんて……不公正よッ!!」
「いや、でもミミィちゃん。学校なかったら僕ら、冒険者になってすぐに死んじゃってたかもしれないよ……」
「うるさいパレス」
正論を言ったのに一蹴されたパレス。
ミミィにとっては気に食わないものは気に食わないのだ。
それを正論で言われても納得できるわけがない。
「どうするのミミィ。観に行ってみる??」
「当たり前でしょうジーペ。どんな顔か、拝んでやるわ」
「顔が悪徳みたいになってるよミミィちゃん……」
「うるさいパレス」
この三人は幼なじみ。
いつも一緒にいて遊んでいた。そして大きくなっても常に3人。
そんな中ミミィから冒険者にならないかと二人を誘ったのがこの学校に入ったきっかけ。
パレスはすぐにオッケイを出したが、ジーペは彼女持ちでありあまり会えなくなるのを嫌がって渋った。
それに対してミミィが出した答えが
「ジーペ!」
「アニス。急に抱きつかないでくれよ」
「ふふふ。別にいいでしょう」
「ちょっとアニス。二人以外でやってて言ったわよね」
「いいじゃないミミィ。休み時間ぐらいは」
アニス·フレディも一緒に冒険者として誘ったのだ。
結果こんな風にカップルとしてイチャつかれると分かったので出来るだけ二人を引き離そうとしたのだが、休み時間になる度にこうしてやってくる。
ちなみにアニスは冒険者として素質がなかったが、冒険者ギルドの受付嬢としてならと新人研修の真っ最中なのだ。
「ったく……そんなに毎回毎回こっちに来て、先輩に怒られないわけ?」
「彼氏が冒険者学校にいますといったら血の涙を流したぐらいかしら……」
「え、えげつないことしてるねアニスちゃん……」
「褒め言葉として受け取っておくわねパレス!」
冒険者ギルドの受付嬢は花がある。
それは間違いなく人気の職業である……が、実際は違った。
荒くれな冒険者がいる中、そんなやつの相手をするには強さが必要。
つまり、受付嬢も冒険者を目指している者達と同じように強さが求められているのだ。下手したら冒険者よりも強い可能性もある。
つまりはアニスはこの3人よりも強いのだ。
それを分かっているミミィも口出しはするが実力行使はしない。
やり返されるのがオチだと分かっている相手には手を出すつもりはない。
「ジーペ。本当によくこんな子と付き合えるわね……」
「ヒドイわミミィさん!」
「可愛さアピールするなッ!!!」
「まあまあ。……でもミミィ、アニスは本当にカワイイんだよ」
「ジーペ………」
「この間だって、僕に料理を作ってくれて。それでスクランブルエッグに卵の殻が入っていたり、砂糖と塩を間違え……」「ちょっとジーペ!!!黙ってて!!!!」
無理やり後ろからジーペの口を塞ぐアニス。
その表情は顔が真っ赤になるほどに恥ずかしかったらしく
「………アニス」
「な、なによ…」
「そっちのほうが私は好きよ」
「貴女に好かれても仕方ないのよ!!!いいじゃない!!彼氏の為に可愛くあっても!!!!」
「だからその彼氏がカワイイって言ってたわよ」
「そのカワイイは私が欲しい可愛いじゃないのよ!!!」
「あのアニスちゃん……そろそろ離さないとジーペが死んじゃうよ……」
「ああッ!!ごめんなさいジーペッッ!!!!」
アニスは猫を被っている。
それはジーペも知っているが努力してくれているアニスが可愛くてついつい甘やかせてしまうのだ。それに答えようとアニスも努力するが如何せん、不器用すぎることが傷となってしまっている。
まぁジーペからすればそれもカワイイらしい。
「いいんだよアニス。君の手で死ねるなら…本望だぁ………」
「ジーペッ!!!」
「行くわよパレス」
「容赦ないねミミィちゃんは………」




