スチャータの冒険者ギルド
門を通り抜けるとそこには小高い丘から見えた町並みがあった。それでも近づいて見ればハッキリ分かる。なんとも異世界にキタ!という感じの建物のが並び、色んな人が歩いている。
もうそれだけで興奮が抑えられそうにない。
どんな町なのか見て回りたい、観光してみたい。
しかしいまここで走り回ると子供かと思われるのが嫌なので
「まずは冒険者ギルドに向かえばいいの??」
「いいのですよ。見て回っても」
「ッ!?い、いいからギルドに行こう!!」
「ふふふ。分かりました」
………うぅ、やっぱりレナには分かってしまうようだ。
恥ずかしい気持ちを抑えてこんで冒険者ギルドに向かうことにした。
その道中に色んなお店があったので、気になるもの全てを記憶して後で来ようと心に決めた。
冒険者ギルドは門からの道を一直線。突き当りにある建物だという。
門からでもハッキリ分かるほど大きい建物。
やっぱり異世界は冒険者ギルドが基盤となっているようだ。
そして冒険者ギルドの建物の前にたどり着いた所で
「こんな所に、子供が来るなんて……帰ったほうがいいよ!」
なんとも徹底されたお決まりの冒険者が現れた。
そしてどこからどう見ても自分大好きなナルシスト。
自分のいうことが正しいと信じて疑わない。厄介なヤツである。
さて、こんな冒険者が現れた時、どうすればいいのか??
答えは、簡単である。
「アメストさん。お願いします」
「このガキッ!!俺を顎で使う気かッ!!!!」
「うるさいですね。金魚の糞ではないならやればいいでしょう」
「なんでテメェは上から目線なんだよ!!!」
「上、だからですけど何か??」
「ぶっ殺してやるこのアマがッ!!!!」
「あ、あの………」
他の問題を起こして、冒険者の存在を消せばいい。
そうすれば何もなかったことになる。こっちの後始末は大変だけど……
狙い通りにアメストさんが剣を抜き、レナは荷物を置いて軽く準備運動を始める。
この2人、本気でやる気だ。
さて、どう止めようかと思っていると
「ギルドの前でケンカするとは、ずいぶん血の気が多いようだ」
冒険者ギルドの入口から現れた大きな男。
そこそこ高いその入口を、しゃがみこんで出てきたその大男は2メートルを簡単に超えている。そして横幅もなかなか広く、ザ·冒険者と言っていいような人だった。
「………なるほど。貴方がギルドマスターになっていたんですねエスエ」
「ずいぶん懐かしい顔だな。元気にしてたか"月花のレナ"よ」
「その名は捨てました。いまはただのレナですよ」
どうやら知り合いだったようだ。
それもレナが嫌がるわけでもなさそうだからいい人なんだろうなー
でもさっきこの人が言っていたのって……
「げ、"月花"ってあの月花か!!!??」
「一人で高難易度のダンジョンを攻略したあの!?」
「引退したんじゃなかったのか!!?」
すぐに周りに広がっていくレナの二つ名。
するとレナがその噂している人達を睨みつける。
ビビった人達はすぐに話を止めて顔を伏せた。
「余計なこと言わないでくださいエスエ」
「そうだったな。ワリぃ」
「他言無用。とは言いませんがあまり広めないでもらいたいです」
「「「もちろんです!!」」」
どうやらレナの名前が広がるのを嫌がっていることは分かっているようだ。ギルドマスターも頭をかき、ビビっていた人達も大きく頷いている。
レナにはなにかあるんだろう。
でもそれはレナが言いたくないから僕に話さないだけ。
なら話したくなるまで待とう。と、改めて決めたところで
「それで何のようだレナ。久しぶりに顔を出した。わけじゃないんだろう」
「ええ。実はこの子を冒険者ギルドに登録したくて……」
「こいつを、か??」
そういってジィーと見てくるエスエさん。
そんなに凝視してこなくても……と、思うぐらいに見てくるエスエさんはしばらくして視線を外してレナと向き合い
「おい、レナ。こいつは……」
「そこからは場所を変えて……」
「だな。よし、俺の部屋に来い。そこなら防音対策してある」
へぇーこの世界でも防音対策とかあるのか。
ということは魔法でもあるのかな??持っている本にはなかったよな……
いいな〜そういう本ないかな~
「…………どうしたんだこの小僧。いきなりニヤニヤしだしたぞ」
「この表情は新しい本が欲しい。という顔ですね」
「見分けつくのかよ……」




