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お姉ちゃんとあいつ

 今日は水曜日。


 遊園地へのデートを終えてから、あいつが家庭教師にやってくる初めての日だ。


 わたしはあのときの気持ちが勘違いだったと確認して安心すべく、首を長くしてこのときを待っていた。


「今日こそあいつを魅了してやるんだから!」


 改めて鏡をチェックする。


 いつもみたいにちゃんと制服の胸のボタンも外したし、スカートも短くしたし、何かハプニングがあった時のために恥ずかしくない下着もつけてきた。


 この格好があいつに効いたためしはないけれど、これがわたしのいつもの勝負服だった。


「よしっ!」


 気合を入れなおして、わたしは自分の部屋で大地の到着を待った。


 しばらくするとインターホンが鳴る音がした。


 時間を見ると午後五時ちょうど。


 間違いない、あいつがうちに来る時間だ。


 お姉ちゃんがはーいといいながら対応に向かった足音が聞こえてきた。


 わたしはあいつの顔を見るために下に降りて行った。


「あ、大地……!」


 その顔が見えて、すぐに声をかけようとしたのだが、わたしは途中で立ち止まった。


 玄関の前では、大地がお姉ちゃんと楽しそうに談笑だんしょうしていた。


 彼はお姉ちゃんに向かって緊張しているような、照れているような表情を浮かべて笑っていた。


 それは決して、わたしの前では見せないような顔だった。


(あれ……?)


 きゅっと胸が締め付けられる。


 途端とたんに息が苦しくなって、わたしは二人に声をかけることができなかった。


 どうしていいかわからずに駆け足で自分の部屋に戻った。


「……ばか、ばか大地! あいつはわたしの家庭教師なんでしょ? どうしてお姉ちゃんに鼻の下を伸ばしてるのよ!」


 でも、今までのわたしなら、お姉ちゃんとあいつとの間に割って入っていったはずだ。


 お姉ちゃんに手を出すなと言って、あいつの邪魔をしていたはずだ。


 なのに、わたしは動けなかった。


 あいつに自分の相手をしろと駄々をこねて、迷惑だと思われるのが怖かった。


 しかも、それだけじゃない。


 わたしは、あいつにあんな顔をさせることができるお姉ちゃんに対して嫉妬しっとしていたのだ。


「…………」


 そうなる理由なんて、一つしか思いつかなかった。


 大好きなお姉ちゃんにまでこんな気持ちになるなんて、わたしはどこまでおかしくなってしまったのだろうか?


 そこからはもう落ち着いていられなかった。こんなことを相談できる相手なんて一人しか思いつかない。


 その日の授業を終えてからすぐに、わたしはいつものようにゲームを起動して、とある友人へメッセージを送ったのだった。


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