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みうみうとつむつむ

「おはよう海羽みう。今日はゲームの公開イベントに出かけるんだよな?」


 兄さんは寝ぼけまなこをこすり、あくびを噛み殺しながらあたしにそう聞いてきました。


 時間はまだ朝の六時です。


「はい、そのために兄さんの部屋に泊まったんですから。早くにいかないとグッズが売り切れちゃうので、イベント会場の近くに宿があるのは助かります」


「引きこもりがちのお前が外に出かけるのは、こんなイベントのときくらいだもんな」


 今日はオンライン対戦ゲームの公開イベントが行われる日です。


 久しぶりに開催されるというのもあって、あたしは数ヶ月前にイベントが告知された日から、ずっとこの日を楽しみにしていました。


 今回は前回のように、来場者だけが購入できたあのナビゲーター妖精のぬいぐるみがあるだけではなく、限定イラストのマグカップにキーホルダーも新規で発売されます。


 そしてなんと、声優のサイン色紙を購入した人はキャラクターたちの等身大フィギュアと一緒に写真まで取れてしまうという、ファンにとっては垂涎すいぜんもののイベントなのです。


 それに、今日の楽しみはもう一つあります。


 それは、つむつむと久しぶりに会えることです。


 つむつむというのはオフ会で知り合った女の子のことです。


 ちなみにその名前はゲーム上でのハンドルネームなので、本名はわかりません。


 彼女とはもう何度も一緒にイベントに行ったりしているのに、お互いにハンドルネームしか知らないという奇妙な関係ではあるのですが、その子はあたしにとって唯一、好きなゲームの話を気兼ねなくできる大切な友人なのでした。

 

 なので、今日は入之波海羽しおのはみうではなく、オンラインゲームが好きな女の子、ハンドルネームみうみうとして、普段はできないゲームの話を語り尽くそうと思います。


「いってきます。今日は晩御飯を作れないと思いますから、適当に食べていてください」


「おう、気をつけてな」


 朝食にプロテインを作って飲んでいる兄さんに手を振って、あたしは意気揚々とイベント会場に向かいました。


ーーーーーーーーーーーーーー


「久しぶりね、みうみう」


「はい、お久しぶりですつむつむ。前回のイベントぶりでしょうか」


 会場に着くと、すでにつむつむは待ち合わせ場所に来ていました。


 彼女はあたしを見つけると嬉しそうに笑って駆け寄ってきます。


 つむつむは今日も変わらず、胸元のあいた服に、すごく短いスカートという大胆な格好をしています。


 背はあたしよりも小さいし、胸もぺったんこのあたしに比べてそこまで大きくないのに、その漂う女性的な魅力と色気はうらやましく思います。


 すれ違う男たちが、みんな一度は興味のある視線をつむつむのほうに向けるくらいでした。


「相変わらずえっちい格好してますね?」


「やめてよもう、わたしだってちょっと恥ずかしいんだから」


 からかい半分であたしが言うと、つむつむは頬を膨らませてねてしまいました。


「ごめんなさい、つむつむが可愛いのでからかってしまいました」


 あたしはつむつむと見つめ合い、二人で笑いあいました。


「今日はイベント、楽しみましょうね」


「ええ、楽しみましょう」


 わたしのその言葉に、彼女は満面の笑みで応えてくれるのでした。


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