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譲れない想い

「ちなみになんですけど、魅了魔法って女性同士なら大丈夫だったりはしないんですか?」


 そもそもサキュバスって男を魅了して精力を奪っていくものだと思う。


 女同士ならその力も効果がないんじゃないかと思って俺は尋ねたのだが、日葵さんは首を横に振った。


「あの子の力は男女関係ないの」


「そうですか……でも、そんな強力なものなのに、なんで俺は耐えられたんだろう?」


 謎は深まるばかりである。


「それは私も不思議だったんだけど、もしかして大地くんには、たとえ強い力で誘惑されたとしても、絶対に譲れない想いがあるんじゃないかな?」


 え? 俺の譲れないものって誇り高き童貞でいることと、愛のある行為しか認めないってことだけどもマジで?


「だからきっと、大地くんはその意志の強さのおかげで耐えられたんだよ! 今まで生きてきた中で、私には想像もつかないような貴重な経験を積んで、自分の生き方に強い芯を持てるようになったんだよね? すごいよ!」


 いやいやいやいや、そんな胸を張って言えるようなことじゃないんですが!?


 俺が経験したことって男の本能に負けたせいで起こった、ただの悲惨な失恋だよ!?


 だからそんな憧れのキラキラした眼差まなざしで俺のことを見ないでほしい。


 いたたまれなくなった俺は、とにかく話題を変えることにした。


「日葵さんに聞きたいことがいくつかあるんですけど……」


「うん、なんでも聞いて」


「もしかして、日葵さんもサキュバスだったりしますか?」


 月麦とは違って清楚な見た目だから、全くそうは見えないのだが……。


「ううん、私はただの人間だよ。だって私、何の力も使えないもん。でも、うちの遠い昔の祖先に力をもったサキュバスがいたらしいから、サキュバスの遺伝子的なものを受け継いでいるのは間違いないと思う」


 だから日葵さんは、これほど魅力的で容姿端麗ようしたんれいな女性になったのだろうか?


 語り継がれているだけあって、やっぱすげえなサキュバス。


「あと、月麦はどうしてすぐに魅了魔法を使ってこなかったんですか? その気になれば、一分も勉強せずに俺を魅了することができたと思うんですが……」


 最初は真面目に問題に取り組んでいたみたいだったから、勉強嫌いだという彼女の行動には一貫性がないように思えた。


「月麦が今日初めて大地くんと会ったとき、猫を被っていたのはさすがにもう気づいたよね? さっきは敬語も抜けて言い争いもしてたみたいだし」


「はい……」


「あの子はそうやって相手の警戒心を解くことで、魅了魔法の成功率を高めているみたいなの」


「警戒心ですか?」


「うん。魅了魔法は他人の心を掌握しょうあくして従属じゅうぞくさせるものだから、普段の心の状態から大きく変化しているときとか、気が緩み切っているときに効きやすくなるの。例えば、この子はいい子だと思わせて安心させたり、性欲を刺激して興奮させたりとかね」


 なるほど、だからあいつは猫を被り、あんな男を誘惑するような格好をしているのか。あれも奴の作戦だったというわけだな?


「月麦はあの力を手に入れてからどんどんワガママになって、勉強もしなくなって、私は心配だったの。このままじゃ、あの子は力を使わずには社会の中で一人で生きていけなくなってしまいそうで……」


 日葵さんの心配はわかるような気がした。


 俺も、もし妹の海羽が同じような状況になっていたら本気で心配すると思う。


「仮にこの先、魅了魔法の力を使えば生きていけたとしても、それは自分の人生を他の人の力に頼るような生き方だから。私、あの子にはそんな風になってほしくないの……」


 俺は何と声をかければいいのかわからずに、彼女の話を聞いていた。


「まだ会ったばかりの大地くんにはわからないかもしれないけどね、私は月麦のいいところをいっぱい知ってるの。だからきっとそれを生かせるはずだし、そうなってほしいんだ」


 日葵さんの言葉からは、月麦に対する深い愛情が感じられた。


「だから、魅了魔法に対抗できる大地くんには、これからもあの子の家庭教師を続けてほしいの。ダメかな?」


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