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ぐうたら魔導師の余生  作者: 紺野真夜中
第7章 反撃
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 ドラゴンが咆哮を上げさんざんと毒雪が猛威をふるいはじめる中、シェラの頬を指先でつついて〈衝撃の膜(インパクト・スキン)〉をつける。


「テッサとヴィンを助ける前に防御を固めるから! 私に時間をちょうだいシェラ!」


 勝手についてきたことをなにも聞かずなにも言わないミグに、シェラはせつな呆けたような顔を見せた。しかし、ひとつ瞬いた向こうに現れた若葉の双星は熱と興奮に震え煌めく。


「任せてよ」


 杖をくるくると回し円環を描いていくシェラの頭上へ、ドラゴンは高く飛翔する。その翼の元に高魔力が急速に集まっていた。さらにノインが両剣の先を空に突きつけ魔法陣を出現させている。

 しかしミグは背中をシェラに預け、ひび割れた〈五聖塔ルクス・ペンタグラム〉に手をつき練り上げた魔力を注ぎ込むことに集中した。


「〈六重セクステット蛇ノ風(ヴァンヴィペール)〉!」

「〈六重セクステット爆炎火エクスプローション〉!」


 空を裂くはばたきとともに強靭な翼から紫とオレンジ色の竜巻が放たれる。それはノインの施した〈拡散ディフュージョン〉を潜り、二対の風竜となって牙を剥く。

 シェラは間髪遅れずに完成した魔法陣を叩いた。そこから光の玉が六つ舞い上がり、あたりの空気を呑むかん高い音を響かせながらせつな、竜巻に巻かれて見えなくなる。

 次の瞬間、音がやんだ直後六つの玉はすさまじい爆発をくり返した。空も雪雲もリゲル国も閃光に白く塗り潰される。

 叩きつけるような風を感じる中、ミグは夕闇色の目をにっと細めた。再描写した〈五聖塔ルクス・ペンタグラム〉の魔法陣を七度打って赤色に輝かせる。


「〈七重アルクス五聖塔ルクス・ペンタグラム〉」


 発動した瞬間魔法陣は虹色の光を放ち、リゲル国の上空を七色の五芒星が照らし守る。

 驚きに目をまるめたシェラの顔が足元からの光に煽られていた。ミグは少年の胸に抱きつくようにして飛び退く。

 爆発の煙と雪を割って振り下ろされた竜のしっぽがシェラのローブをかすめていった。

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