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ぐうたら魔導師の余生  作者: 紺野真夜中
第7章 反撃
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「さあて、こっから反撃に出るがその際厄介になるのがなんと――」

「〈五聖塔ルクス・ペンタグラム〉ね」


 ディレットの言葉を繋いだルンに、ミグは思わず非難の声を上げたが彼女の言う通りだった。防御魔法は内側からの攻撃も通さない。魔法陣を壁の外に描いた場合は発動するが、中から魔銃や砲撃をいくら撃っても無駄だった。

 もちろん〈五聖塔ルクス・ペンタグラム〉を張った状態で空飛艇を飛ばすことも不可能だ。〈五聖塔ルクス・ペンタグラム〉の発動は一度に限られ、格となる魔石を交換しなければ再発動はできない。そんな手間を抜きにしても帝国の戦艦ににらまれている今、五芒星の守りを解き飛空艇を飛ばす猶予などなかった。

 せめてベガ国のような浮島をリゲル国も所有していれば戦闘艇を配置できたが、領空内にある浮島はせいぜい見張りと小型の偵察船を置くくらいの広さしかなかった。

 反撃の手段は魔導師による遠距離攻撃。もしくは断魔鉱で〈五聖塔ルクス・ペンタグラム〉の一部解除をしてからの攻撃だ。


「あちらも断魔鉱を持っているという可能性は」

「いや、ないな。持ってたらとっくに撃ってる。監視島の報告からも戦艦の砲台は全部魔弾用と確認済みだ。そもそもあれは血の気が下がるほど高価で希少性が高い。グラム百万だぜ」


 テッサの問いに答えながらディレットはミグにしかめ面を向けた。とっさに知らんぷりしたが値段をはじめて聞いて嫌な汗が背中を伝う。


「それより戦艦に〈防護壁シールド〉がついてるかどうかが気になるな」

「魔力波感知掻い潜ってきたならあれは帝国の最新型だ。〈防護壁シールド〉も間違いなく装備してる」


 答えたのはヴィンだった。意外だという視線が集まる中、ヴィンは自身の中の引き出しを探るようにつづける。


「俺の乗っていた艦より進んでるなら〈四重カルテット〉以上と考えていい」


 ベガ国を襲った時ヴィンは帝国の船に乗っていた。軍人ではなく実験体のひとりではあったが、内部者には変わりない。

 心強さを感じてうなずいたミグに、ヴィンはふと視線を寄越した。どこか決まりが悪そうな顔にミグはにっこりと笑ってみせる。するとヴィンも苦笑を返してくれた。

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