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ぐうたら魔導師の余生  作者: 紺野真夜中
第5章 バトルロイヤルの急変
210/352

210

「一名脱落。残り三名でございます」


 ゲームマスター・ノーブルの淡々とした声と歓声が上層から降り注ぐ中、第四層は今までにない静寂に包まれていた。ホッパーのライフを討ち取った直後のテッサを狙う、ルンの動きをミグが〈防護壁シールド〉で阻んでいた。

 魔導師として相当の実力者であるルンを封じるのに〈三重トリオ〉では心許なかったが、少女も消耗しているらしく反撃に出る素振りはない。

 いつの日かのように、あの時よりは幼い手がぺたぺたとミグの〈防護壁シールド〉に触れる。


「ふうん。〈防護壁シールド〉越しに魔法陣を描くこともできるけど、まあ〈展開エボリューション〉で潰されるほうが速いって感じ?」


 目の前に降り立ったテッサ、後方にひかえるミグを順に見てルンは軽く肩をすくめる。自分の劣勢を素直に認めているがしかし、その口調にはどこか余裕が漂う。

 ミグはテッサに目配せした。その視線に親友は応えなかったが、剣を構え油断なくルンを見据えている。テッサもルンが放つ不穏を感じていると確信した。だが、両者にらみ合う緊迫した空気は、少女の微笑みで破られる。


「〈変身メタモルフォーゼ〉」


 瞬間、〈防護壁シールド〉の中でしゃがんだルンの体がまばゆく光り見えなくなる。その直後、ミグは壁のひしゃげる音と同時に〈三重トリオ〉分の魔力を奪われた。

 魔法を破壊された反動に襲われる中、〈防護壁シールド〉を無理やりこじ開けたものの腕を見る。それは深い紫色の体毛に覆われていた。とっさに飛び退いたテッサの胴と同じくらい太い腕には、人間の頭を簡単に握り潰せる四本の指とかぎ爪が生えている。

 消えかかったミグの〈防護壁シールド〉が妙な動きをした。まるで中のものが巨大過ぎて耐えられないといった風に天井が盛り上がり、弾けて、紫紺の翼を産み出したのだ。次の瞬間、鎌首をもたげて咆哮を上げたその姿に誰もが息を呑んだ。


「ドラゴン……!」

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