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ぐうたら魔導師の余生  作者: 紺野真夜中
第1章 戦禍の再会
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「くっ。間に合って! 〈二重デュオ防護壁〉(シールド)!」


 青色の壁が門前周辺を取り囲む。


「〈展開エボリューション〉!」


 空に向かって魔力を広げると一枚の壁だったシールドは形を変え、長方形の中に歩兵たちを抱いた。直後、放たれた砲撃が衝突し、ミグは爆風からよろめいて尻もちをつく。


「砲撃部隊しっかり牽制けんせいしろ!」


 誰かの怒号が聞こえてきてハッと顔を上げると、砲弾を落とし再び旋回する敵船の後尾を追いかける弾道が瞬いていた。ベガ国の東西にある浮島からの射撃だ。右翼砲台、左翼砲台と呼ばれるそれらが上空で帝国の戦闘艇と戦っている。

 また別の機影が近づいていないか、ミグは警戒しながら急いで門前に駆け寄った。


「ラッセンさん! みんな無事ですか!?」


 ざっと見たところ〈防護壁シールド〉にひびは入っていない。あたりを見回しても壁の中に捉え損ねた人の姿はないようだ。ベガの兵士たちが一歩、二歩とゆずった道から、ラッセンは剣を肩に担いで現れた。その手にはすでにこと切れた帝国兵をひきずっている。

 ラッセンはおどけた高い声で長くため息をついた。


「いやあー。冷や汗かかされたわ。ミグに助けられたな。ありがとよ」


 笑顔で礼を言われ、ミグは誇らしさを覚えながら〈防護壁シールド〉を解いた。


「味方もろとも敵を討つ。それが帝国のやり方か」


 無造作に転がした敵兵の亡骸を見やってラッセンがつぶやく。相手が戦意を失ったと判断すれば捕虜とし、命までは取らないことを連合軍は公言している。しかしプロキオン帝国の考えは先の砲撃の通りだ。

 帝国の冷酷さにラッセンは剣の柄を握り締め、その白刃に伝う血を振り払った。


「じき日没だ。打撃を受けた歩兵部隊が夜間に再び攻めてくることはないだろう。だが警戒は怠るな。別動隊は引きつづき地下水路に潜伏し、交替で門を見張れ」


 ラッセンはさらに魔銃部隊に火の見やぐらからの偵察を指示し、負傷兵の多い本隊は自ら率いて王城地区に下がることにした。

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