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ぐうたら魔導師の余生  作者: 紺野真夜中
第1章 戦禍の再会
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13

 好機と見て追撃に出た帝国兵たちが住宅地区の中央広場までなだれ込んだ時、噴水前で待ち構えていたミグとラッセンはにやりと笑った。


「ミグ、今だ!」

「はい。〈防護壁シールド〉!」


 ラッセンの合図を受けてミグが手を横へ払うと、広場から四方に伸びる道が紫の半透明の壁によって封鎖される。


「魔銃部隊、構え!」


 広場に隣接する建物の屋根に現れた部隊を見て帝国兵が急いできびすを返した時には、ラッセンの「撃てえ!」という声が響いていた。

 〈防護壁シールド〉越しに討ち取られていく仲間の悲鳴を聞いて、帝国の後続部隊は退却を決めた。地の不利に怯んだに違いない。慌てて農産地区への橋に群がる敵兵たちを、ラッセンは「逃がすな」とミグに命じる。


「任せてください。仕込みは万全です」


 そう言って人さし指をピンと立てる。すると橋の入り口を跨ぐ門に紫の壁が突如出現した。ミグは魔力を通じて嫌な感触を読み取り顔をしかめる。壁の形成に何人か巻き込んだようだ。

 ラッセンは左右の屋根の上にいる兵士とすばやく視線を交わす。それを受け取り、ふたりの兵士は手に持った旗を大きく振った。直後、威勢のいい雄叫びが東西からそれぞれ天をつく。地下水路をひっそりと進軍してきた別動隊だ。

 橋の前で立ち往生する帝国兵たちを挟撃する。戦術がうまく運んだことに大きくうなずいて、ラッセンもまた引き抜いた剣を高く掲げた。


「俺たちもつづくぞ!」


 怒鳴るような叫び声が屋根から、通りから、ワッと応える。ミグは大通りの封鎖だけ解いて、兵士たちの妨げにならないよう後方からそろそろと追いかけた。

 退路を断たれ、三方向から包囲された敵兵はたちまち総崩れとなる。取り残された部隊が全滅するのは時間の問題だ。そう思われた時、王城地区の〈五聖塔ルクス・ペンタグラム〉に集中放火していた帝国の戦闘飛空艇が一隻、超低空飛行で急旋回してきた。

 ミグがまさかと怖気おぞけを感じた次の瞬間、砲口が下を向く。それは間違いなく住宅街の門前で交戦する集団を狙っていた。

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