趣味は読書です
部屋に戻りふうと一息つく。
ああやって人がいるところよりもこうやって自分の部屋でゆっくりするのが一番ね。
暇をつぶせるものがないかキョロキョロと部屋を見渡す。
私は読書が好きだから本がないかと期待したのだが、この体の持ち主、アリーヤはあまり本を読まない性格なのだろう。部屋にはほぼインテリアと化してある本が数冊だけあった。
パラパラと数ページめくってみたらゴテゴテの恋愛小説。年頃の少女が好きそうな甘ったるいものだった。
別のものが読みたい私は一人書庫へと向かう。
途中お嬢様が…読書…!?みたいな失礼なメイドの声が聞こえたような気がしたが無視だ。生憎だけど数日前までのお転婆アリーヤじゃないのよ。
書庫に入りどんな本があるのかと内心ワクワクしてしまう。
「ん?」
何故か私の目に留まったふるーい書物。古文書とか、そんな感じの表現が似合うような本。
私はその本を手に取り一ページめくった。
「悪魔を使役…ねぇ」
ここ、悪魔なんてものもいるのね。
――昔、悪魔を使役しようとした貴族がいた。
だがゆっくりと魔力を食いつくされ時期に貴族は死に、挙句には悪魔の手によってその家系は没落してしまった。
もしも悪魔と契約をした貴族に悪魔が食らうほどの魔力がなかったら。
もしも悪魔と契約をした貴族に悪魔がひれ伏すほどの魔力があったら。
あの家系が絶えることはなかったのだろうか?
どっちかって言うと論文みたいな感じね。
平民よりもずっと多くの魔力を持つ貴族と、悪魔の存在についてとか、小難しい表現ばかりで頭が痛くなってくる。
――あなたがもしも悪魔を使役したいのならば、その体に流れる魔力が1か10でないのなら、弱っている悪魔に一方的に契約を持ちかけるのが良いと私は思う。
「フーン、弱った悪魔に付け入るのが一番なのね。どっちが悪魔何だか」
続きを読むのをやめて私はパタリと本を閉じた。
さてと、何を読もうかな。
――私の考えは間違いだった。悪魔を使役しようだなんて間違っても考えないでくれ。あなたが悪魔以上の能力を持っていなければ、魔力関係なしに食い殺されてしまう。
一番の方法は奴らを自分に心酔させることだったのだ。