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??? ネコバンバン

挿絵(By みてみん)

どうも、白狐です。


今日は猫の日、ニャンコの日。もふもふミー…ニャンコを愛でるのだ!

挿絵(By みてみん)


突然ですが、ここで残念なお知らせです。

今回、ミーアの出番はありません。

挿絵(By みてみん)


 ある日の朝。王宮の一角にある俺の部屋、そのベッドの上で目を覚ました時、既に隣で寝ていたはずのミーアの姿はなかった。


「あれ? ミーア…?」


 部屋の中を見渡してみても、動くものといえば気持ちよさそうに寝返りを打つ謎のタワシの塊くらい。モフモフ白い癒し系の姿は見当たらない。

 死角になるところにでも隠れているのかと布団から出て探してみるが、やっぱりミーアの姿は見つけられない。

 すると、そこへ冷たい風が吹き込んできた。


「寒っ」


 ふと見ると部屋の扉が少しだけ開いていることに気付く。


「あれ? もしかして部屋から出てった…?」


 扉を開けて廊下を見渡してみるが、見える範囲にミーアの姿はない。そのままミーアを探しに出ようと廊下に出てみると、そこは底冷えするような寒さ。


「それにしても、何だか今日は冷えるな…」


 いつもなら全館空調が効いているはずなのだが、今日は妙に冷えている。体をさすりながらr廊下を進んでいると、角のところでハルと出くわした。


「ヒイロ様。おはようございます」

「おはよう、ハル。今日は冷えるね」

「そうですね。さきほど気象庁から発表があったのですが、冬将軍から気象庁長官に対して『マリンスノーが見たくなったからちょっと王都近辺を通過する』という連絡があったそうです」

「事前連絡してくれるんだ…?」

「以前に冬将軍が王都に接近した際、ルート変更の交渉と同時に直通回線ホットラインの開設にもこぎつけたそうです」

直通回線ホットライン?」

「ただ、事前連絡があったとしても、そもそも冬将軍が近付くだけで甚大な被害をもたらす為、次の対策として冬将軍が人口密集地に近付くことなく各地へアクセスできる移動ルートの検討を始めたのだとか。近く、その提案と交渉の為に冬将軍を王都に招く予定だそうです」

「本末転倒では?」


 そもそも、本当に交渉しなければならない相手は奴の背後にいる雪だるまの方だ。


「まあ、それはともかくとして。ミーアを探してるんだけど、見なかった?」

「ミーアですか?」

「うん。朝起きたら居なくてさ」

「……そうですか」


 俺の発言に対してハルが少しだけ遠くを見つめて呟いた。その寂しげな瞳に『最近、ミーアが一緒に寝てくれない…』との思いが垣間見えた気がした…。

 どこで寝るかはミーア次第だから…。

 少し気まずい気分になっていると、ハルがふと何かを思い出す。


「…そういえば、先ほどエントランスの掃除をしていた際に扉の外にちらっと赤い何かを身に着けた白い影が横切るのが見えました」

「え? こんなに寒いのに、まさか外に?」

「いえ、ちらっと見えただけなのでミーアだったかどうかまでは」

「その特徴はミーアでしょ。とにかく、ちょっと外も探してみるよ」


 そうしてエントランスまでやって来た俺だが、いまさらながら起きてそのまま出てきたことを後悔している。せめてコートを羽織ってくるべきだった。

 そんなことを考えつつも、ここまで来てしまった以上は仕方ないのでミーアを探して一歩外へと踏み出した。そんな俺の目に飛び込んできたのは、赤いバケツを被って赤いマフラーと赤い手袋を身に着け、頭から赤い液体が流れる雪だるまを作っている赤いバケツを被って赤いマフラーと赤い手袋を身に着け、頭から赤い液体が流れる雪だるま。

挿絵(By みてみん)


「雪だるまが雪だるまつくってんじゃねぇよ!」


 思わずツッコむと雪だるまがこちらに気付く。


「近くを通りかかったから、来ちゃった(はぁと)」


 軽いノリで来るんじゃねぇ。


「というか、マリンスノー見に行ったんじゃねぇのかよ」

「うん。でも、僕は興味ないから別行動してるんだ。冬将軍は今頃その自重を活かして深海探索中だと思うよ」

「錆びついてしまえ」

「ところで、女神様に僕の雪像をプレゼントしたいんだけど、どこにいるか知らない?」


 この雪だるまが言っている女神様というのはエリサさんのことだ。

 とりあえず、王都を守る為にも、そして、エリサさんの精神衛生の為にも、ここは嘘を吐いてでも早急にご退場願うべきだろう。

 そんなことを考えて口を開きかけたその時、背後からちょっとした殺気が漂う。


「女神様の居場所なら、エビスとかいう名の漁師(?)が知っているよ」


 そんなことを言いながら現れたのはメガネが曇っている所為で表情をうかがい知ることのできないウォルフさん。


「え? 本当かい? それじゃあ、そのエビスっていう漁師を探してみるよ。教えてくれてありがとう」


 そう言って作った雪だるまを持って飛び去っていく雪だるまを見送りながらウォルフさんが口元にニヤリと笑みを浮かべる。

 あれ? もしかして潰し合わせようとしてる?

 ウォルフさんの黒い一面を目の当たりにして少し怯えていると、ウォルフさんは何事もなかったかのように自らのメガネを外して拭き始めた。


「ヒイロ君、おはよう」

「お…おはようございます…」

「今日は寒いね」

「そ…そうですね…」

「空も分厚い雲に覆われているしね」

「でも、あっちの空には晴れ間も見えてきてますよ」


 おそらく雪だるまが去っていったからだろう。雪だるまが飛び去ったのとは逆方向の空には雲の切れ間が見えてきている。

 すると、ウォルフさんは晴れ間が見えている方ではなく雪だるまが飛び去った方を見ながら意味ありげに呟いた。


「このまま、晴れるといいね」


 憂いが?

 やっぱり潰し合わせようとしてる?


「ところで、ヒイロ君はこんな寒い中、外で何をしていたんだい?」


 そんなことを言いながら拭いた眼鏡を掛けるウォルフさん。しかし、拭いたはずのメガネは相変わらず曇ったまま。


「あれ? メガネの曇りが取れないな…?」


 そして、またメガネを外して拭き始める。その時、俺は気付いてしまった。

 え? その眼鏡、曇りガラス…?

 彼の憂いが晴れることはないだろう。

 そんなこんなでウォルフさんと別れ、俺は再びミーアを探し始める。別れ際、ウォルフさんにもミーアを見ていないか確認してみたところ、ミーアだったかは確証がないが、いつも移動に使っている装甲車の周囲をうろつく赤い何かを身に着けた白い影を見たという有力情報を得た。その特徴は間違いなくミーアだろう。

 そんなわけで、俺は装甲車が駐車されている車庫へと足を運んだ。

 そこには装甲車の掃除をしているスリップさんの姿。そのスリップさんがこちらに気付くと声を掛けてきた。


「どうしたんスか、ヒイロさん?」

「スリップさん。ミーアを探しているんですけど、見かけませんでしたか?」

「ミーアをッスか?」


 少し考えていたスリップさんだったが、何かに気付く。


「あー…。あっ、それなら、もしかして…」

「心当たりでもあるんですか?」

「そうッスね。ミーアも猫ッスからね。寒い日にはぬくもりを求めるものッスよ。だから、多分あそこに居るッスね」

「え? どこですか?」

「ここッスよ」


 そう言いながら装甲車の前へと回り込むとボンネットをバンバンと叩く。すると、ボンネットの中から返事をするようにバンバンと叩く音が返ってきた。


「ほら、入ってるみたいッスよ」

「トイレかな?」


 俺が率直な感想を漏らしていると、スリップさんがボンネットを開ける。すると、一匹の茶トラ猫が顔を出した。


「ミーアじゃないだと!?」


 そんな茶トラ猫は不満そうにスリップさんを見つめる。


「ノックを返したのに、いきなり開けるなんて失礼じゃないか」

「それは申し訳ないことをしたッスね。でも、いくらぬくもりを求めていたとしてもボンネットの中は危ないッスよ」

「俺は別にぬくもりを求めていたわけじゃない」

「いいからいいから。とりあえずそこから出るッス」


 そうして渋々ながらも出てきたのはウエスタン風の上着を羽織った二足歩行の茶トラ猫。両腰に身に着けたホルスターにはそれぞれ拳銃が挿してある。

 茶トラ猫は最後にボンネットの中をゴソゴソと探るとカウボーイハットを取り出してそれを被る。そして、ボンネットから飛び降りるとスリップさんに抗議の視線を向けた。


「いいか。俺は決してぬくもりを求めてこの中に潜り込んでいたわけじゃない」

「そうなんスか? それじゃあ、いったい何をしていたんスか?」


 そう尋ねられた茶トラ猫は、待ってましたとでも言いたげに獲物を狙うような瞳をしてみせる。


「実は俺は賞金稼ぎをしていてな。最近、王都を騒がせている『追剥』のヒイロとかいう賞金首を狙っているのさ」

「『皮剥』だよ」


 ついツッコんでしまったが、俺は『皮剥』でもなければ、もちろん賞金首でもない。

 そんな俺のツッコミなど聞こえていないのか、茶トラ猫は両腰の拳銃をホルスターから取り出すと両手で構える。


「追剥を繰り返す卑劣な犯罪者に俺の二丁拳銃が火を噴くぜ。Bang! Bang!」


 猫BangBang…?

 と、その時だった。突然、装甲車の後部から一人の男が降りてきた。


「おい、スリップ。中の掃除は終わったぞ」

「お手伝い感謝するッス、バルザックさん」


 姿を現したのはバルザック。どうやら装甲車の掃除を手伝っていたらしい。


「それで、後はさっき出した荷物をもう一度積み込んでおけばいいのか?」

「はい、宜しくお願いするッス」


 そうして近くの棚の上から持ち上げたのは赤い前掛けの白い狐(デフォルメ狐)の石像。


「それは置いていってもいいのではないだろうか?」


 ※ヒイロってば酷い(泣)。

 俺がつい率直な感想を漏らしていると、茶トラ猫が急に眼を見開いた。


「牛…?」

「どうかしたッスか?」


 スリップさんのその問いに茶トラ猫が応える。


「カウボーイである俺は一攫千金を狙う夢追い人である前に牛追い人でもある。つまり、牛を見たら追いかけたくなる本能がある」


 ニャンコが何か言ってらぁ。

 それに対してバルザックは持っていた石像をぶん投げると茶トラ猫を威圧するように言い返す。


「おいおい、カウボーイのコスプレをしただけの猫が何を言ってやがる。本当のカウボーイってのは俺みたいな禍牛族の戦士のことをいうんだ」


 牛さんが何か言ってらぁ。

 そんな威圧に茶トラ猫は屈しない。


「そこまで言うのなら決闘だ! どちらが真のカウボーイなのか決めようじゃないか!」

「いいだろう。その勝負、受けて立ってやる!」


 はい。というわけで何か始まりました。

 無残にも打ち捨てられたデフォルメ狐の像から何やら黒い怨念のようなものを感じる気がするが、そんなことを気にすることもなくバルザックは茶トラ猫に向き合う。

挿絵(By みてみん)


「では、まずはルールを決めよう。背中合わせの状態からお互いに三歩進んだところで振り返って撃ち合うんだ」

「いいだろう。俺の華麗な斧捌きを見せてやる」


 おや? ルールを理解していない輩がいるような?

 そうして背中合わせになるとバルザックと茶トラ猫はお互いに歩を進め始める。


「「1」」


 一歩進み。


「「2」」


 二歩進み。そして…。


雷撃サンダー!」

「電気ですかー!?」

「銃、使わんのかーい!!」


 三カウントよりも前に騙し討ちをされたバルザックは、妙な叫びを上げながら雷撃に討たれてその場に倒れた。

 同時に俺のツッコミも響き渡ったのだが、それに関して応えてくれる者は誰も居ない。

 すると、焼け焦げてぐったりと倒れる牛さんを見下ろした茶トラ猫が興奮気味に叫びを上げる。


「よし、この勢いに乗って『追剥』も討ち取ってやる!」


 そうして、茶トラ猫は二丁の拳銃を意味もなく上空に向けて構えながら走り去っていった。そんな二足歩行でトテトテと走っていく姿を俺は不覚にもカワイイと思ってしまった。

 それはともかく、本題に戻ろう。

 ということで、地に伏すバルザックは放置しつつスリップさんに問い掛ける。


「えっと……それで、ウォルフさんがこの辺でミーアを見かけたって言ってたんですけど…、見てないですか?」


 ※ミーアを見かけたとまでは言っていない。


「そうッスね…」


 すると、スリップさんが何かを思い出す。


「そういえば、ミーアかどうかはわからないッスけど、さっきテレビのニュースで赤い何かを身に着けた白い影が演説してたッスよ」

「え? ミーアがニュースに?」

「いや、だからミーアかどうかはわからないッス」

「その特徴は間違いなくミーアですよ」

「あ、ほら、ちょうどまた同じニュースがやってるみたいッスよ」


 そのテレビ画面に映し出されたのは、赤い前掛けと首からぶら下げた小さな米俵が印象的な白い狐。

挿絵(By みてみん)


 ……あれ?

 赤い何かを身に着けた白い影、結構いるな…。


白狐 「ちなみに、ミーアはヒイロのコートに包まれて気持ちよさそうに寝ていました」

ヒイロ 「そういえば、部屋を出る時、ポールハンガーにコートがかかってなかった気もする…」

白狐 「勝手に避ける謎コートとの勝負がようやく決着したみたいですね」

ミーア 「むにゃむにゃ…」

コート(?) 「お前には負けたよ…」

ヒイロ 「!?!?!?!?」


というわけで、今日のミーア『おやすみニャンコ』

挿絵(By みてみん)


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