1話 キャラメイク
「おかりなさい、*」
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・ログイン要求……成功
・既存アカウント情報から情報取得失敗
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・・
・・・新規アカウント権限確認
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・新規アカウント作成許可確認
・・新規アカウント準備開始
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・特殊資質の確認を開始
・・「*」の継承者であることを確認
・・・再現事象を解放
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・個人資質の確認を開始
・・武道資質を確認
・・茶道資質を確認
・・・体力値の確認
・・・意識と肉体のシンクロ値確認
・・・継承成功
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・・
・・・「*」の帰還を確認
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・・
・・・新規プレイヤーを歓迎します
◆
「ようこそ、キャラメイクを開始してください。」
目の前にふわふわと浮かぶ黒い光から声が聞こえる。なんてありきたりなんだろう。
この光に名前でも付ければ良いスキルでも貰えるのだろうか?
「名前は不要ですね」
「あ、そうなんだ……………
思考読み込みに関しては最近厳しくなっているはずなので珍しいなぁ。
って考えてることの読み取りまでできるタイプのAI?」
「まあそうですね、ご認識の通りで現在の法律ではグレーなタイプになります。あとありがちなゲーム内に再登場するタイプではございませんので、名前は不要ですのでご安心を」
ピカピカと光りながら少し嬉しそうな声で言ってくる。
「えぇ……、ま、まぁじゃあキャラメイクをお願いします」
「とは言いましても貴方様に関しましては継承が成功しておりますので、キャラメイクは見た目のみになります」
ならなんでキャラメイクをって言い始めたんだ、この謎の光は。キャラメイクの楽しみと言えばステ振りからのランダムスキルガチャ・ランダム職業ガチャだろうに。
「そもそもステ振りやガチャは存在していませんし、継承の詳細はログイン後に説明がありますが、ガチャよりも楽しんでいただけるかと。
ということで見た目はいかがいたしますか?」
話に夢中になっていたら急に目の前にホログラムが表示されて少し驚いてしまったのを見てチカチカと光る黒い光にイラっとする。
「ふふふふふ。とは言いましてもオススメがございます。こんな感じでいかがでしょうか?」
10代前半の頃に私を若返らせて、少しイケメンにして目の色を燃えるような赤に変更された姿が浮かび出る。
「赤眼は痛くないか? 目の色は黒で頼む」
「あら、若返っているのはよろしいでしょうか?」
「あぁ構わない。せっかくのゲームなら若くてイケメンな姿で楽しんだ方がいいだろう」
「意外にノリノリですね、かしこまりました。黒眼黒髪、17歳位の少しイケメンで」
言い方ってもんがあるだろうよ……確かに間違ってはいないんだが。
変更された目の前のホログラムを見ても特に問題はなかった。
「これで頼む」
「かしこまりました。ではよきプレイングを期待しております。皆さん貴方をお待ちでしたよ」
その声をきっかけに……視界が黒に塗り潰されていく………
「おかりなさい、夜」
とても優しい声だった。