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精霊呪縛  作者: 甲斐桂
第二部 ラージャスタン・アグラ宮殿編
77/105

第8話 絡まる糸(3)

 ふと気づけば、足の裏に土の感触がある。

 一歩、また一歩と、湿った大地を踏みしめ、少年はどこかへと向かっていた。なぜか先ほど眠りについたままのかっこう、寝間着に素足というなりで、

(夢だ)

 と、シフルは思った。(夢ならいいや)

 胸にかすかな安堵がひろがる。何に対しての安堵なのかは考えられなかった。ただ、足もとの土をゆっくりと踏みしめて、気の向くままに進んでいく。

 今いるのは、以前訪れた明るい森だった。ラーガによればトゥルカーナにあるという森——スーニャの元素精霊長の領域、本来であれば強力な結界ゆえ誰にも入りこむことのできない、禁じられた森。時姫ときのひめ、実の母たる女の住処のあるところ。

 森の奥の小さな庭つきの館。色とりどりのばらの花をくぐりぬけ、館の奥へ進んでいくと、橙色の光に満ちたサンルームがある。隅にある長椅子に横たわっているだろう人の姿は、今は見えない。

 訊かなきゃいけないことがある。

(頼むから——そこにいないでくれ)

 そんな気持ちに抵抗するように、一歩、また一歩と、長椅子に近づいていく。

 願いも空しく、自分と同じ色の長い髪が目に入った。

(こっちを向かないでくれ)

 訊かなくちゃ、いけなくなる。けれど、訊くなら今しかない。ラーガもオースティンもいない今しか……。たとえこれが夢だとしても、だからこそ訊ける。目が覚めたらなかったことにできる。

「メルシフル?」

 奇妙に鮮明な声、そして眼だった。自分と同じ、《英雄》の子孫たる皇女婿とも同じはずの眼、それでいてひどく透明なまなざしが少年をとらえる。今の自分は、決して彼女と同じ眼などしていないだろう。

(ビーチェ、あんたが、)

 息がうまく吸えなかった。(あんたが……、)

 そんなのは嘘だ、と自分のなかの何かが叫ぶ。セージはビーチェを知らない。一度しか会ったことがない。理学院で学んだ精霊召喚学の知識と、『精霊王に関する考察』の著者たる彼女を知っているというだけで、論理を組み立てて答えを導いた。限られた情報のなかでは完全無欠の理屈だったとしても、そこにビーチェ本人がいない以上は真実とはいえない。あくまでもセージがそう言った、というだけの話。

 そうだ、嘘だ。嘘に決まっている。この女はかつて雑踏のなかシフルの手を引いてくれた女。それから、シフルを産み捨てて去っていった、女。……

「いつのまにこんな芸当を? 血は争えない、とあの子がいつも言うけどね」

 こんなところまで来るようではスーニャの言い分も一理あるな、とビーチェは灰青の瞳を細める。「で? いったいどうした。おまえはいったい、あのサライの城で」

 ——何を知った?

 女の問いかけとともに、夕焼け色が遠ざかる。

 再びの森の中で、シフルは疾走していた。

(訊けない)

 夢の中だとわかっているのに、とても口にできない。たったひとつの質問、それだけではっきりすることなのに。何を尋ねたところで、すべては過ぎ去った昔のこと、とっくの昔に起こってしまったことだというのに。何も知らないセージの推測にすぎないのに。

 あれはシフルを捨てた女だ。けれど思いだすのは、心細さから救いだしてくれた女の手と、ぶっきらぼうだけれどいつもシフルの意思を尊重してくれた、女にしては低い声で——あの女が、いくら傷ついてもかまわないだなんて、思えない。

(オレにはできない)

 たとえ、真実のありかが、そこにあるとしても。……

 知るべきもの、見るべきものから逃げるように、シフルは走った。明るかったはずのトゥルカーナの森は、徐々に陰影を帯びていく。いつしか光あふれる森は暗がりに入っていき、やがて暗がりそのものとなった。少年ひとりが淡い光をまとったまま、暗闇のなかを駆けた。

 疲れは感じなかった。だから、少年は闇の中で立ち止まった。本来の少年なら、とっくに息を切らせて足を止めているはずだった。疲れを感じないのは、夢なのだから当たり前だ。しかし、だとすればそろそろ目覚めてもいいころではないのか。夢の中でさえ真実を直視することができず、消沈する自分は、失望の気分とともに朝の光の中に帰るはず。

(ここは、どこだ?)

「……ラーガ……」

 クーヴェル・ラーガ、と真名を呼ぶ。

 ラーガによれば、夢も空間の上にあるという。空間を操る精霊たるラーガであれば、夢の中でも召喚することができるはずだ。が、ラーガはいつものように現れもせず、返事もしてくれなかった。それなら、それこそそういう夢なのかもしれない、と、シフルはあきらめた。

 それにしても、明晰な夢だ。明晰な恐怖。夢であることが不思議なほどの、取り残された心地。ラーガも助けにこないし、都合よくセージが出てきてくれたりもしない。さっきはあんなに簡単に時姫に会えたのに、今は現実と同じくらい困難だ。

 シフルはせめて何かに触れることができないかと、手をのばした。が、闇のうちからシフルに応えるものは何もなかった。

 このまま一生ここにいるのか? あらぬ想像にシフルは怖気をふるった。少年がまだ時姫のことを信じていなかったころのことを思いだす。シフルが時姫の息子だという証拠を見せるため、過去のビンガムに連れていかれたときのことだ。時姫と父の別れの場で、別れを拒んだ父は時姫との「永遠」を求め、時姫は文字どおりの「永遠」を与えることでそれに応えた。あのときの朝の来ない感覚と、朝への切望。いま自分がいる暗闇はまさにそれ、永遠の暗闇だった。

 結局、与えられた「永遠」に父は疲れ、二人は別れた。それでもなお懇願する父のため、時姫は危険を冒してシフルを産み与え、それによって夫である《精霊王》の呪いを受けることになった。呪いは息子であるシフルに引き継がれ、それゆえシフルは三級以上の精霊を召喚することができない。

 ——精霊王……。

(そうだ)

 シフルははっと顔をあげた。(オレは精霊王のことを知るためにラージャスタンに来た。宴のときの巻物に精霊王の名前をみつけただけで、ラージャスタンでの成果は終わりか? んなアホな。オレは、もっともっと精霊王のことが知りたい)

 ——夢なら、今すぐ覚めろ。オレは、こんなところにいる暇はないんだ!

 そのとき、思いきり押しだした手がひんやりした物体に触れた。うお、と声をあげ、少年はあとずさる。が、少年はなんとか自分を鼓舞し、再度手をのばした。

 冷たく、かたい。

(石?)

 シフルはめくらめっぽうにその物体を触りまくった。やはり石のようだったが、表面はごくなめらかである。まるで人工的に磨きあげられたかのようだ。それでいて細かい鉱物の感触もあるので、花崗岩か何かだろう。

(何だろなこれ……、あ)

 闇を探るシフルの指が、くぼみのようなものに触れた。(彫られた溝? 図形、……いや)

 ——文字。

 それも、

(プリエスカ語に似てる。現代プリエスカ語……中世ロータシア語ってこともあるか)

 少なくとも、ラージャ語でないのはまちがいない。特徴がまったくちがう。ラージャ語は流れるような曲線からなるが、いま触れている文字は角張っている。シフルはプリエスカ語を読むつもりで溝をなぞった。

『エ』、『ル』、『ド』……



 ……〈エルドアのいとけなき王の心、ここに眠る〉



(エルドア……どこかで?)

 確かに、現代プリエスカ語ないし中世ロータシア語のようだ。シフルは溝を指先で何度もたどる。



 ——メルシフル



「え?」

 シフルは振り返る。

 そこは、相変わらずの闇。



「シフル」

 なまの声に呼ばれて、少年は覚醒した。「起きろ」

 一瞬、自分がどこにいるのかわからなかった。まだ闇の中にいるような気がしてあたりを見回せば、見覚えのある砂岩の天井。シフルたち留学メンバーのうち、男子に与えられた一室だった。

 現実である。

「おい」

「……?」

 みながでかけたはずの室内に誰かいる。

 というより、ふてぶてしい声と態度が、その人物が誰なのかを如実に教えてきた。

「……オースティン?」

 頭上に、非ラージャスタン式の衣服をまとった少年がいた。彼はシフルのベッドのかたわらで、傲然とした表情でシフルを見下ろしていた。

「何しに来た、などと訊くなよ」

「……わかってます」

 シフルはからだを起こした。頭の異和感は消えており、起きあがっても支障はなかった。

 夢を振り払うように、シフルは頭を振る。夢の闇は遠ざかり、いま目の前にいるオースティンを改めて見た。

「ラーガのことなんですけど」

「ああ」

「あんなふうに帰られて腹が立ったでしょうけど」

 シフルは淡々と続ける。「もうあいつを呼ばないほうがいいと思うんです。少なくとも宮殿の中では」

 ブランケットを畳み、ベッドの端に座りなおす。少年公子も、その横に腰を下ろした。

「メアニーか」

「知ってたんですか?」

「なぜわかったか、訊きたいか」

「あ、教えられてたのか。そうだよな、入り婿なんだから」

 オースティンは首を横に振った。《五星》女官の人事異動でわかったのだと少年公子はいう。

《五星》とは、宮殿付女官の頂点たる位であり、五人の女官で構成されている。マキナ皇家の人々に接触することを許されるのは、女官の中でもその五人だけだ。オースティンがマキナ皇家に婿入りしたあと、新たに一人が《五星》に昇格した。彼女こそオースティンが「寵愛」する女官キサーラ・イーリであり、そうなると旧《五星》から一人を降格する必要が出てくる。

 オースティンは、まちがいなくメアニーが格下げされると踏んでいた。メアニーは失敗が多いうえ、しょっちゅう不用意な言動を繰り返しては第二席ファンルーの怒りを買っている。現にファンルーは、ことあるごとに降格をほのめかしてメアニーを脅していた。

 けれど、実際に降格されたのはメアニーではなく、第三席シーリエだった。筆頭ツォエルと次席ファンルー、それに重要な役目を担う末席ライラが残留することは予想の範囲だったものの、どうしてあわて者のメアニーが居座り、あまつさえ繰り上げで第三席に昇格することができたのか。そこには何らかの事情があるはず、とオースティンはみた。

「おそらくメアニーは、度重なる失敗を差し引いても《五星》でいられるだけの、重要な任務を帯びている」

 皇女婿たる少年はいう。「昨日メアニーがやってきたのは、スーニャの妖精が現れた直後だ。宮殿の結界のことは知っているか?」

「ええ。宮殿に入るときファンルーさんと手をつなぎましたし、あなたが教えてくれたじゃないですか。最初に会ったときに」

「そうだったな」

「実はあのあと、危ない結界に踏み入りそうになって、ラーガに助けられたんです。そのときもメアニーが来たから、きっとメアニーが結界を張った召喚士なんですよね」

「だろうな」

 結界は侵入者を見張り、弾きだし、場合によっては殲滅する。アグラ宮殿の結界はまさにそのようにつくられているわけだが、結界も精霊の力である限り、より高い位の精霊には優越できない。ラーガはスーニャの元素精霊長であり、階級としては精霊王に次ぐ位だと思われる。仮に結界のサライが一級精霊だったとしても、ラーガの侵入を阻むことは不可能なのだ。とはいえ、宮殿内がサライの支配領域であることに変わりはなく、したがって結界の精霊召喚士たるメアニーは、ラーガの到来を察知することができたのだろう。

「だが、それが何だ?」

 と、オースティンは言った。「妖精に皇帝を暗殺させるわけでもあるまい。訊きたいことを訊きにいくだけの話だ」

「そりゃそうですけど、ラーガを召喚して結界が反応するたびにメアニーは侵入者だと思って飛んでくるわけですし。やっぱり迷惑ですよ」

「迷惑?」

 はん、とオースティンは鼻で笑った。「メアニーが何だ? たかが女官だろう」

「そりゃあ、あなたにはそうでしょうけど」

 シフルにとって、メアニーの意思はアグラ宮殿全体の意思に等しい。メアニーにかける迷惑は、アグラ宮殿全体、ひいてはラージャスタンへの迷惑となる。

 そもそも、オースティンを時姫のところに連れていくというのは、

(ひょっとして、誘拐にあたるんじゃ?)

 と、以前図らずもカルムイキアに不法入国してしまったシフルは思う。

 ラーガは空間を操る妖精なのだから、ただ彼と手をつないで《時空の狭間》を渡り、その後少しばかり森を歩く、と考えれば話は簡単なのだが、実際の地理的感覚としてはトゥルカーナははるか遠く、アグラ宮殿の結界どころかいくつもの国境を隔てた先にある。精霊の力だと思って気軽に考えていると、人間の決まりごとに抵触する恐れがあった。もちろん、必ずしも人間の決まりごとのほうが大事とはいえないのだけれど、シフルも人間である。掟を破れば、身の置き場がなくなる。

(それに)

 シフルは思いだす。

 夢の中で振り向いた時姫の、透明な瞳。……

「女官にとって、『プリエスカの留学生は王侯貴族の客人も同然』だ」

 皇女婿たる少年は、シフルの事情などどこ吹く風だ。「気にする必要はない」

「そりゃそうでしょうね」

 皇女婿相手に口ごたえはできない。すれば不敬罪になると、特別カリキュラムで教わった。「最上の礼を尽くす必要はない」と明言するような相手に適用すべきものかわからないが、批判的な意見は呑みこんでおいたほうが身のためである。

「あなたはそうでも、オレは気にします。オレは王侯貴族なんかじゃなく、ただの庶民の学生ですから」

「庶民?」

 オースティンはくつくつと笑みをもらした。「では、僕は何だ? トゥルカーナ大公一族など、しょせんは農民。農民はいわば庶民の中の庶民、おまえと何もちがわない」

「全然ちがいます」

 少年公子の屁理屈を、シフルはきっぱりと否定した。「そういう環境で、そういうふうに育ってるってことです。オレは迷惑を『かけたくない』んです」

 オースティンの顔から笑みが消えた。

 われながら暴言にとられかねない発言、シフルは内心ひやひやした。さすがに言いすぎたかもしれない。そう考えて口をひらきかけたとき、

「——そんなにアグラ宮殿が怖いか」

「!」

 問われて、シフルの心臓が跳ねた。

 同時にシフルの脳裏をよぎったのは、メアニーの冷えびえとしたまなざしである。普段は真昼の太陽さながらの彼女に、突如として黄昏時の闇が訪れたあの刹那。ラーガがサライの結界を突破してやってくるおりには、必ずあのメアニーが現れて、鋭い視線でもって少年を刺し抜いた。日ごろの彼女が、すべて嘘だったかのように。

「そんなにアグラ宮殿が怖いか、と訊いている」

「……」

 頭の中で、メアニーの声が反響している。

 ——《迷った? この時間は授業中でしたよね。どうしてこんなところに迷いこまれるんです?》

 ——《シフルさま——、今、誰か?》

 なまぬるい雨のむこうで、こちらを凝視していた彼女の姿。その、温度のない眼。

「では、何だ」

 少年公子はたたみかける。「保身、というわけか」

(保身……)

 シフルは胸のうちでその言葉をくりかえす。現代プリエスカ語で会話していたとはいえ、日ごろあまり使わない言葉なので、すぐには理解しかねた。だが、アグラ宮殿側の感情を悪化させてプリエスカに帰されるわけにはいかない、というのが保身なら、そのとおりである。留学生の受け入れを提案したのはマキナ皇家なのだから、取り下げるのも皇家の自由。すなわち、シフルの進退を決めるのは皇家だ。

「確かにそうですね」

 シフルはあっさり認めた。

「開き直るのか」

 オースティンはせせら笑う。「理学院生というのは実に脆弱で生半可なものだな。ちょっとショックを受けたぐらいで体調は崩す。やるべきことよりも保身を選ぶ」

「挑発には乗らないです」

 シフルは冷静に返した。言うことを聞かせるために、相手の理想に訴えかけるやりかたには、すでに父とのやりとりで免疫ができている。

「ふん」

 鼻を鳴らすと、オースティンはさっさと踵を返した。

 シフルは少年公子の姿が完全に消えるのを待って、入口にむかって全力で舌を出す。舌だけでは飽き足らず、顔全体を使って反発を表現したところへ、なぜかオースティンが戻ってきた。

「何度来たって、ごめんですから」

「……」

 むっとした皇女婿の背後から、

「《ダナン君、頭痛で休んでいると聞きましたが……》」

 歴史教師のキナリー老人が、ひょっこり姿をみせた。

 穏和な老教師は、シフルの態度に目を丸くしている。留学メンバーといつもの女官たちも一緒で、女官たちは目をぱちくりさせていた。留学メンバーの三人に驚いた様子はないが、それぞれの顔に「公子相手にいったい何をしているんだ」と書いてある。あわてて口を塞いでももう遅かった。

「《おかげさまで、ひと眠りしたら治りました》」

 シフルは笑ってごまかす。「《キナリー先生はどうしてここに? 午後の授業ですか?》」

「《ええ、そうです。今日は重要な説明がありましてね。あなたにも直接聞いてもらいたかったのです。体調が回復したなら何よりでした。それと、せっかくなので留学生のかたがたと昼餉をご一緒しようと。ムストフ・ビラーディも、ちょうどそこでお会いしましたので、お連れしました》」

 キナリーは手で少年公子を指し示す。「《こういう言いかたは失礼ですが、もののついでです。婿殿にも説明を聞いていただきます。婿殿もまだラージャスタンにおいでになってから日が浅く、休戦記念日の儀式のことはご存じないでしょうからね》」

「《休戦記念日》? 《儀式》?」

「《説明はあとです。まずは昼餉にしましょう。隣の部屋で待っていますから、着替えていらっしゃい》」

 そう言って、キナリーたち一行は部屋を出ていった。シフルは寝間着を着替えると、隣室に合流する。

 キサーラから器と箸を受けとるや、勢いよく昼食をかきこみはじめた。朝食抜きの空きっ腹に、魚の煮汁入りの粥がしみた。

 ——休戦記念日か。

(ラージャスタンにもあるんだな。当たり前といったら当たり前だけど、なんか意外)

 休戦記念日は、十六年前の第一のサライの月十四日にプリエスカ・ラージャスタン間で休戦協定が締結され、両国間に平和が戻った日を記念して制定された。

 ただしこの協定は、ラージャスタン側がプリエスカ側の提示した条件を一方的に呑むことで成立している。よってシフルは、プリエスカ側にとっては記念すべき日だとしても、ラージャスタン側にとってはパチア自治州を手放した屈辱の日なのではあるまいか、と想像した。もちろん、休戦は望ましいことにはちがいないだろうが、平和のためとはいえ一方的に譲歩させられては、きっと腹がおさまらないだろう。

 それにしても、休戦記念日にしては時期が遅い、とシフルは疑問に思った。今年はラージャスタン行きの準備に追われていて、祭を心待ちにする余裕がなかったけれど、プリエスカの休戦記念日は、日付としてはシフルたちがラージャスタン入りしたころだ。ラージャスタンでの生活が始まったのは一週間と少し前だから、五、六日ばかり前の話になる。ラージャスタンはプリエスカとは暦がちがう、という単純な理由もあるだろうが、ちがう日を休戦記念日に制定したとも考えられる。

(プリエスカは協定締結の当日。それよりあとだとすると、何だろう)

 シフルは首をひねった。(うーん、思いつかないな。……あ、そういや、去年の休戦記念日だっけか。オレが家出たの)

 一年前の記憶が蘇る。あの祭の夜、シフルは父の監視の目をかいくぐって家を抜けだした。トランクひとつ抱えて王都グレナディン行きの汽車に飛び乗り、たどりついた理学院でカリーナ助教授に出会った。必死に勉強してAクラスにあがり、そこでセージと知りあった。やがて彼女と仲よくなって、今はともにラージャスタンに留学している。いろいろなことがあったのに、まだ一年しか経っていないと思うと、少年には不思議な気がした。

「シフル、体調はどう?」

 いつのまにかセージが隣に座っていて、シフルの顔をのぞきこんでいた。すでに昼食を片づけたらしく、彼女の手もとに食器はない。他の面々もおおかた食べ終え、女官ぐるみで雑談に花を咲かせていた。

「うん、もうすっかり」

「そう、よかった。けがのほうは? きのう余った湿布、とってあるけど」

「ほんと? 助かる」

 シフルが答えると、セージは、ちょっと待ってね、と断って腰をあげた。ベッド横においてあったトランクを開けると、中を探って湿布と包帯をとりだし、シフルのそばに戻ってくる。

「ほら、足出して」

「悪いよ。今日は自分でやる」

「いいから」

 どうもセージには弱い。シフルは袴の裾をたくしあげ、左足首を見せた。セージはそっと湿布を貼ると、器用に包帯を巻いていく。弟妹の世話で慣れているのだろう、彼女の処置はすばやく正確だった。

「ありがと、セージ」

「ふふ、どういたしまして!」

 シフルが礼をいうと、セージはなぜか語尾に力をこめた。シフルに対して言っているというより、シフルの背後にむかって言っているようだったので、少年はうしろを振り返る。背後では《五星》女官の三人が、キナリーやルッツを交えておしゃべり中だ。が、ファンルーはさておき、メアニーとキサーラの表情が明らかに不自然である。微笑が顔に張りついており、心ここにあらずという様子だった。

(? やっぱ、仲悪いのかな……?)

 シフルは首を傾げたが、とても訊ける雰囲気ではなかった。少年は、少女三人の対決を見なかったことにし、セージに向き直る。さすがにセージは強者で、あくまでも異和感のない表情を保っていた。

「そうだシフル、ひとつ訊いていい?」

「あっ、えっ、うん。なに?」

 つい、シフルのほうが挙動不審になる。

「さっき怒ってたみたいだけど、オースティンとけんかでもした?」

 セージは声を低くした。「それとも、オースティンが一方的に怒らせたのかな?」

 相変わらず鋭い。シフルは苦笑した。しかし、同じ室内で陰口を叩くわけにもいかず、少年は軽くてのひらを振ってみせた。

 すると、

「聞き捨てならんな」

 オースティンが聞きつけて、すかさず口を挿む。「事情も聞かずに、僕が悪いと決めつけるのか? サルヴィア」

「日ごろの行いがものをいうんです」

 セージはすまし顔で返した。

「情の差のまちがいでは?」

 オースティンがせせら笑っても、

「私がシフルに好意をもっているのは確かですが——」

 セージは動じない。

(えっ)

 思わぬところで妙な話になって、シフルはどきりとした。けれど、

「——それとこれとは話が別です。あなたには前科があり、シフルにはない。それだけです」

 セージはあくまでも冷静である。「具体的にいうと、あなたは人に迷惑をかけておもしろがる傾向にありますが、シフルはそうではありません。事情を聞かないでも、充分に判断材料は揃っているんです」

(……って、論理の一環か)

 彼女があまりにも冷静に話を進めるので、シフルは肩を落とした。

「それで何をしたんです、オースティン。また何かいたずらでも?」

 セージは議論する余地はないとばかり、断定的に尋ねる。

「男にいたずらして誰がうれしいものか」

「さあ、いるんじゃないですか。……そうそう、私たちが宮殿に到着した日、朝の客舎で何をしてました? オースティン」

「……何?」

 オースティンは《英雄の現身》たる美々しい顔を、これでもかとしかめる。セージの黒い瞳が、きらりと光った。

(朝の客舎?)

 シフルにはさっぱりわからない。少年は、意気揚々と皇女婿を追いつめつつある彼女に、問うような視線を投げた。

「セージそれ、何の話?」

「言葉どおり、そのままだよ。あの日、早朝にここに着いて、そのあと昼ごろまで寝てたでしょ?」

「うん」

「寝入ってしばらく経ったころかな。オースティンが客室にやってきて——」

「サルヴィア」

 少年公子は固い面もちでセージを制止した。セージは短く笑い声をたてて、

「ムストフ・ビラーディはお困りの様子」

 と、戯れ言めく。「さしあたり、黙っておいてあげましょうか」

 それでいて、彼女の唇は「あとでね」と動いた。シフルは吹きだす。オースティンはそのやりとりの意味を即座に察して、サルヴィア、と語気を強めたが、彼女は笑うだけだった。セージのいう朝の客舎の件が何なのかは知らないけれど、目下オースティンに振り回されているシフルとしては、ちょっといい気味である。

「《お話を中断して申しわけありませんが、そろそろ始めましょう》」

 そのとき、キナリーが少年少女たちに声をかけた。「《みなさん、私のまわりにお集まりください。ムストフ・ビラーディもどうぞこちらへ。ダナン君、体調は本当に大丈夫かね?》」

「《はい》!」

 シフルが元気よく返事をすると、老人はうなずいて、

「《それでは、休戦記念日の説明をお聞かせしましょう》」

 と、口を切った。留学メンバー四人とオースティンは、キナリーのまわりを囲んで腰を下ろす。女官三人は、昼食の残飯と容器が乗ったワゴンを押して客室を出ていった。

「《休戦記念日とは、建国記念日と元日にならぶ、ラージャスタン三大祭のひとつです》」

 老人は五人の少年少女ひとりひとりをみつめ、そう告げる。「《ブリエスカにも同じ祭があると聞いていますが——メイシュナー君》」

「《はい。ブリエスカの暦で第一のサライの月十四日、ブリ……ラージャスタン・ブリエスカ戦争の休戦協定が締結された日です》」

 メイシュナーは、いったんなじみのある「プリエスカ・ラージャスタン戦争」を使いかけたものの、すぐに「ラージャスタン・プリエスカ戦争」と言いなおした。いかに一見優しそうであっても、また実際に優しかったとしても、キナリーはアグラ宮殿で皇帝に奉仕する人間なのだ。些細なことから、プリエスカへの悪感情が噴出しないとも限らない。

「《ブリエスカでは、休戦記念日をどのようにお祝いしますか》」

「うーんと、そうだなあ」

 続く質問にも、メイシュナーが答える。「《とりあえず町中大騒ぎで、みんな酒をガバガバ飲んでガツガツ食います。ちなみにいっとくと、建国記念日と元日も同じような感じですかね》」

「《ふむ。ブリエスカの『三大祭』の中心は宴にあるということかね》」

「《まあ、王族や貴族は肩凝りそうな式典もやるみたいですけどね。おれら平民は飲み食いするだけですよ》」

「《なるほど。やはりラージャスタンとは多少異なるようです》」

 キナリーは興味深げに述べた。「《ラージャスタンの休戦記念日は、休戦協定が締結された日ではなく、そのほぼ一か月後。バチア地方が完全に帝国の統治を離れ、バチア自治州として半独立した日を記念しています。一か月というのは、協定締結時にブリエスカ側が取り決めた独立期限であり、バチア半独立の際の行政手続にあてられた期間でもあります。休戦記念日の日付は、ラージャスタンの暦で雲の月の十日。今は雨の月ですから、来月の上旬ですな》」

「《そうか、休戦記念日——》」

 唐突に、オースティンがうめく。

「《ムストフ・ビラーディ、何か?》」

「《……いや、何でもない》」

 皇女婿は不自然に取り繕った。「《続けてくれ》」

(なんだ? あいつ)

「《次に、記念日の内容ですが》」

 キナリーは話を継いだ。「《三大祭の他のふたつが、ブリエスカと同様に祝宴を中心とする祭日であるのに対し、休戦記念日のみ特殊な儀式が必要不可欠です。この儀式はラージャスタン史の縮図というべき特色をもち、現在は休戦記念日において執り行われますが、本来は建国以来の伝統行事でした。これについては、ラージャスタン史の揺籃期から説明せねばなりません》」

 そうして老人は、ラージャスタン建国史に言及する。ラージャスタン帝国は約千年前、ひとつの都市が国家に発展したかたちで成った。当時、今日のラージャスタン一帯には三十もの小国がひしめきあっており、各国は隙あらば自国の領土を拡大しようとにらみあっていた。皇都ファテープルを本拠とし、《皇帝のおわしますところ》ラージャスタンという攻撃的な国名で名のりをあげたマキナ皇家は、群雄割拠の時代にさっそうと舞い降りる。

 マキナ皇家は、互いに牽制しあうばかりで行動に出ようとしない各国を尻目に、さっそく南隣の王国シキリとの開戦に踏み切った。すみやかにシキリ全土を制圧すると、西隣の王国チャルバグを、次いで北のパチア沙漠に点在する多くの小規模集落を押さえていき、ラシュトー西岸一帯において少しずつ支配をひろげていく。

 おおよそ今日の基盤が固まるまで、百年近くの月日を要した。パチアとの間にある小王国エルドアの征服をもって、ラージャスタンはひとつの転換点を迎える。

(……ん? エルドア?)

 シフルは首を傾げたが、キナリーは気づかず話を進めた。

 エルドア攻略は、ラージャスタンが単独で成し遂げたのではない。南西からラージャスタンが、北東からカルムイキアが攻めこんで首都を挟み撃ちにしたのである。そのころはカルムイキアも周辺諸国を吸収しての膨張の過程にあり、ラージャスタン同様大国として頭角をあらわしつつあった。エルドア滅亡後、両国はエルドアをふたつに分割、半分ずつ自国の領土に編入する。以降、ラージャスタンとカルムイキアは大国として名を馳せるようになり、同時に大国同士の対立の歴史も始まった。

「《ここから、ラージャスタン、カルムイキア、ロータシア、スーサ、ニネヴェ——いわゆる五大国の対立期に入り、次いで戦乱期、狂った魔物の跋扈による混乱期、そしてかの英雄クレイガーンの登場となるわけですが、それは蛇足ですな》」

 と、キナリー。「《ともあれ、ここで重要なのは、我らがラージャスタンの発展に多くの小国の犠牲がともなったということです。至極当然の話ではありますが……》」

 しかし、ラージャスタンが伝統的に行ってきた「征服」には少々特徴がある、と老教師は言った。まず、他の国がやるように、旧支配者層を一掃する。そのあとで彼らに成り代わるのだが、亡国の民が喜んで新しい支配者に従うかといえば、通常そう簡単にはいかない。

 そこでラージャスタンが採用したのは、大胆な懐柔策である。

「《みなさんにお尋ねします》」

 キナリーは一同を見渡した。「《我らがラージャスタンに独特な懐柔の手段とは、どのようなものだと思われますか?》」

「《それが休戦記念日の儀式に関係しているということですか》?」

 セージが質問する。キナリーは首を縦に振った。

「《お察しのとおりです。ロズウェルさん》」

「じゃあ、あの黒い袴が何か……」

「袴?」

 シフルが訊くと、

「あ、ごめん。言ってなかったね」

 セージいわく、今日から慈善園では書道の時間を使って黒い袴を縫いはじめたのだという。書道教員タマラの簡略な説明によると、この黒い袴は休戦記念日の儀式に用いる装束であり、毎年新調する決まりになっている。セージたち留学メンバーも、各々寸法を測って型紙をつくったそうだ。

「ふーん、袴」

 シフルは思案する。なんだか、いかにもそれらしい印象だ。

「《儀式に使う黒い袴って、なんか喪中みたいですね》」

 と、シフルは発言する。「《キナリー先生にはちょっと言いにくいんですが、休戦記念日に関しては、ラージャスタンはすっごい悔しかったと思うんです。だから毎年喪に服して、屈辱を忘れない日にするとか。で、戦勝時の懐柔策としては、戦争で死んだ人を弔ってやることで、被征服民の怒りをおさめる》」

 キナリーは、《授業ですから、どんなものであれ、意見をためらう必要はありませんよ》と断ってから、

「《かなり正解に近いですね》」

 と、答えた。「《ですが、それだけでは、かたちだけだと思われかねませんし、効率よく統治を進めようとする支配者であれば、誰でもみせる最低限の誠意ですね》」

「《はあ》」

「《本当に犠牲者の死を悼んでおり、なおかつ真心からの誠意をもって被征服民を受け入れる準備がある、と暗に表明するために、初代皇帝マブランが実施した政策とは何でしょうか》」

(誠意? 本当? 真心?)

 抽象的な話になってきた。どっちにしろ、目的が効率のいい征服にあるのなら、真心も何もないような気がするが。

「《どうです、ダナン君》」

「うーん……」

 わからない、とは言いたくないので、黙りこむ。キナリー老人は、《他のみなさんはどうですか》と、留学メンバーと皇女婿を交互に見やったが、誰ひとり核心に触れることができない。

「《ひとつ、正解への手がかりをお教えしましょう》」

 と、キナリーはいった。「《一般にはあまり知られていませんが、ラシュトーで四大精霊崇拝と英雄崇拝が主流になったのは、狂った魔物による混乱期と英雄クレイガーンの登場以降です。それ以前は、聖者崇拝や唯一神信仰など多岐にわたる崇拝対象が存在し、国や地域ごとに独自の信仰を守っていました》」

「《信仰の自由か》」

 おもむろに、オースティンが口を開いた。「《いや、それでは凡庸だな。いっそ、被征服民のためにすべての民を強制改宗させるというのはどうだ? 被征服民の信仰を共有し、被征服民に被征服民らしい卑屈な精神を植えつけず、以前からの民も、同じ信仰をもつ者として自然に被征服民を受容する》」

「《それはやることが極端です。オースティン》」

 セージが冷静な判断を下した。「《それでは、すぐに元からの民の反発が噴きだします。被征服民の受容どころか、反乱を誘発しかねないのでは》?」

「《でも、おもしろいな。それは》」

 ルッツはオースティンの肩を持った。

「《ほう、ルッツ・ドロテーア、話がわかるじゃないか》」

 少年公子はにやりと笑う。ルッツも口の端をあげたものの、

「《俺はおもしろいほうにつきますよ、ムストフ・ビラーディ。勝ち目があろうがなかろうが、ね》」

「《……》」

 彼の性格は相変わらずらしい。渋面のオースティンが、シフルにはおかしかった。

「《メイシュナー君とダナン君は、ムストフ・ビラーディのご意見をどう思うかね》」

 キナリーが、大人しく耳を傾けていた二人の少年に振る。

「《確かにそれなら、『大胆』にはちがいないですよね》」

 メイシュナーは無難に返答した。「《どうなることやらと思いますが……》」

 シフルも彼に同調する。キナリーは微笑んだ。

「《実は、ムストフ・ビラーディが正解なのです》」

「《そら見ろ!》」

 オースティンは膝を打った。それに対し、老人は、ふふ、と遠慮がちに笑みをもらす。

「《ロズウェルさんのおっしゃるとおり、当初の反発も生半可ではありませんでしたがね》」

「《それはそうでしょう》」

 セージはうなずいた。

「《ですが、皇帝マブランがそれを実行に移したことは事実です》」

 キナリーは笑みをおさめた。「《また、やがてその政策は民に受け入れられていきました。初代皇帝マブランの名は、建国の父として、ラージャスタンの基礎を築いた名君として、今に伝えられているのです》」

 キナリーいわく、マブランは新しく領土を増やすごとに、その国教を導入したのだという。ファテープル市の一角、ホラーシュと呼ばれる地区には、古くからラージャスタンにおいて信仰されてきた女神神殿があった。しかし、最初に南隣の王国シキリを攻略したのち、女神神殿のすぐそばに聖人廟が建てられた。西隣の王国チャルバグを支配下に入れると、聖人廟の前に礼拝堂が現れた。パチア沙漠の小規模集落はそれぞれの様式で神や精霊を崇拝していたため、マブランはすべての祭壇を一堂に並べもした。

 宗教建造物のみならず、マブランはそのつど改宗令を発布し、人々になじみのない信仰を強いた。ラージャスタン民衆は、国土が広大になることを喜びはしたものの、女神信仰の放棄とシキリの聖人崇拝を強要された際には激しく抵抗する。だが、戦死者のためのシキリ式葬儀をひととおりすませたころには、チャルバグ式が新たにシキリ式にとって代わり、ラージャスタンの民も、ラージャスタンの民になったばかりのシキリの民も、怒りを通り越して混乱を余儀なくされた。

 周辺諸国を制圧していくにつれ、ホラーシュ地区の宗教建造物は増えに増え、ラージャスタンの民はさまざまな教えに親しんでいった。世代が交替するうちに、次々に宗教を乗り換えていくことが慣例になっていき、固有の信仰というものをもたないことがラージャスタンのならいになる。それは、ラージャスタン人としての誇りがないということと同義だったが、それゆえに新たに同胞となった被征服民を蔑むこともなく、ラージャスタン国内で新旧の民が相争う事態は免れたのである。そのため、マキナ皇家は心おきなく領土拡張に没頭することができ、他方では戦争効果により国内産業が潤って、ラージャスタンの民に富をもたらした。それゆえ、民はマキナ皇家を支持した。

 果たして、ラージャスタンとカルムイキアが大国の仲間入りを達成し、ラシュトー大陸が五大国対立時代に突入したころ、ある重要なできごとが発生する。

 あの、サライの伝説である。

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