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精霊呪縛  作者: 甲斐桂
第一部 プリエスカ・理学院編
27/105

第8話 空という名の(2)

 翌日は、秋休み前の最終授業日だった。

 この日はありがたいことに授業が午前中で終わる。翌日からの秋休みに備え、午後は帰省支度にあてられているのだ。とはいえ、勘当覚悟で家出してきたシフルに、帰省する気は毛頭ない。ヤスル教授が担当する午前中最後の授業の終わり、あらかじめ申しこんでいた者には帰省用の汽車の切符が配られたが、シフルはひとり席で待っていた。

 切符を受けとって席に戻ったアマンダが、切符を見せてくれた。シフルは黄色い遠距離切符を手にとると、まじまじとみつめる。

「ミドルスブラ? ずいぶん遠いんだな、アマンダん家」

「うん、家帰るの久しぶり! 両親がね、移動に時間がかかりすぎるから、どうせいつか嫁に行くんだし、帰ってくるのはたまでいい、なんて言うの。ひどいよね」

「はは、親なんて、それくらいがちょうどいいとオレは思うけどな。ユリスは?」

 切符を渡されると、同じく黄色い遠距離用。こちらはベルファスト行きだ。ベルファストも、ミドルスブラよりはやや近いとはいえ、王都グレナディンからはかなり離れている。ビンガムから学院にやってくるときは、えらく遠くまで来たように感じられたものだけれど、どちらかといえば近いほうらしい。

「俺の親は、いっつも問答無用で切符代送ってくる。いいかげん子離れしろっての! しかも、会うたびにそろそろあきらめろとか言うしさ」

「えー、それってきっとユリスを心配してるんだよー! いい親じゃない」

「『いい親』が、ことあるごとに子供の夢摘もうとするもんか」

 まったくだ、とシフルはうなずく。どこの親もそんなものか。

 が、アマンダは、もうちょっと心配してくれてもいいな、とこぼす。彼女の親は放任主義で、アマンダが何をしていても文句ひとついわないし、明らかにまずいことをしていても忠告ひとつしてくれないという。それで過去に失敗したのは、むろん親のせいではなく自分のせいだけれど、もし彼らがひと言いってくれたら、とも考えてしまうそうだ。

「まあ、どこの親も完璧じゃないよな。しょせん人間」

 と、シフルは相槌をうつ。

「そうだよねー。私の甘えなんだって、わかってるけど」

 アマンダは愛らしく苦笑した。「でも、甘えたいんだもん。家に着いたら、思いきり甘えてこようっと」

「出発はいつになるんだ? 二人とも」

「遠距離のやつは初日出発がお決まりだよ、だから明日。あとのやつも中距離、近距離に分かれて二日めと三日めに出る。汽車の本数がそうないからな。そのくせ学院生が一挙に各地に帰っていくから、分けないと乗れないんだ」

 ユリスが解説する。「そっか、シフルは大きな休みは初めてなんだな。切符買ってなかったけど、帰らなくていいのか? 次の休み、春までないぜ?」

「オレ、家出組。帰れない」

 シフルは肩をすくめた。そういえば、二人にはまだ家のことを話していない。「母親」についてはとうぶん教える気もないが、父と衝突して部屋に軟禁され、休戦記念日の祭の夜に実家を飛びだしてきたことも話していなかった。

 シフルが説明すると、ユリスとアマンダは一様に感心した。

「へえー。あのリシュリュー・ダナンが、息子を軟禁とはねえ」

 戦時中のビンガム市長といえば、戦後プリエスカ中で英雄同然の扱いをされるほどの活躍だったといわれる。二人ともそのころは物心もつかない時代で、直接は覚えがないものの、親からしつこく聞かされていたと見える。シフルはこの際なので、父への不満を一気にぶちまけることにした。

「あの親父、とんでもない独善野郎なんだよ。自分の認めたものじゃなきゃ、息子に許さない。何しろ教会が大・大・大ッキライで、だからそもそも学院じたい気に食わないし、自分が修めた法学の道以外を息子が選んだら、冷静に話をする余裕もなくしやがった。しゃべるのが仕事のくせに、わけわかんねーよ」

 シフルはもともと抱いていた不満に、このあいだ目撃したばかりの十六年前の父の言動を加味し、ひと息で述べた。二人は興味深げに耳を傾けていたが、話を聞き終えるとどことなく安堵したように笑った。

「何かおかしいか?」

 シフルが首を傾げると、

「ううん、そうじゃなくて。やっぱりリシュリュー・ダナンも人の子だったんだなあって」

 と、アマンダは言う。「当たり前の話かもしれないけど、安心した。そうしたら、シフルもリシュリュー・ダナンの子だから、人の子だもんね」

 はあ? とシフルは不平を唱えた。人の子とは思われない言動ばかりした記憶はない。それに、明らかに人の子しかやらないだろうヘマもしょっちゅうである。こんな自分が人の子でなかったら、いったい何だというのだ。

「だってシフル、すごいんだもん」

 アマンダは言い切った。「私たち、一緒にAクラスあがったんだよ? なのにもう、シフルは《四柱》の人たちと肩を並べてる。……焦ってるの」

 最後は調子が弱まり、表情も真剣そのものだった。伏せられた目には、いつものほがらさかも華やかさもなく、今の彼女は一人の苦悩する学生でしかない。シフルはこれまで、アマンダをプレッシャー知らずだとみなしていたが、このとき初めて、彼女のもうひとつの顔を知った思いがした。



 昼下がり、シフルには特にすることがなかった。

 それで、同室のユリスの荷造りを手伝うことにした。もちろん退学するわけでなし、実家に一時滞在するぶんの荷物をまとめればいいだけなのだが、これが意外と大変である。ユリスは秋休みが終わる前日まで帰省している予定なので、休暇後にせわしなく始まる定期試験のための勉強道具は持参せねばならない。教科書の数々を放りこみ、服も充分に詰めこめば、トランクはすでにはちきれんばかりだ。

 二人で全体重をかけて、ようやく蓋が閉じた。遠距離切符や財布には別の鞄を用意して、ユリスの帰省準備が終わる。そこでまたしても暇になったので、今度はアマンダを手伝うことにした。

 階段を昇って、Aクラスの紅二点の部屋を訪れると、アマンダとロズウェルは二人揃って黙々と支度をしていた。扉が開いていたのでしばらく二人をのぞきみていたが、女子二人のあいだには申しわけ程度の会話が成立しているようだ。そうでなければ、共同生活などできやしない。

 たまにアマンダがにこやかに話題を振り、ロズウェルが無愛想もしくは少しだけ笑って返す。油と水のごとく相容れそうにない二人の女子でも、ちゃんと最低限の交流はもつようにしているらしかった。

「あっ! いやらしーい、のぞいてるー!」

 観察の途中で、アマンダが二人に気づいた。ロズウェルが無表情の顔をあげてこちらを見たので、シフルとユリスはうしろめたさをごまかすように笑う。

「オレは帰省しないし、ユリスの荷造りも終わって、暇なんだよ。何か、手伝えることあったら」

 シフルが弁解すると、

「帰省しない? なぜ?」

 ロズウェルは怪訝そうに尋ねてきた。「ダナンが家出したことについては前に聞いたが。……ラージャスタン留学のことは、それでも報告しないわけにもいくまい?」

「えッ、あれ、決まったのか?」

 ユリスが驚いて声をあげる。アマンダは何もいわず水色の瞳をみひらいていた。

「ちがう。まだ決まったわけじゃない」

 シフルは即座に否定した。選抜試験があったのは昨夜だ。カリーナ助教授が言っていたことには、留学メンバーを決定する教授会が開かれたのはその夜遅く。そして、決定メンバーの発表は今日の夕方。六時開会の《ワルツの夕べ》の一時間前、きのう助教授の研究室に集まった時刻と同じころに、あの掲示板に告知があるという。当然、今の段階では結果はわからない。

「だが、決まったも同然だと私は思うよ。カウニッツは、——あれは、だめだ」

 ロズウェルは断言した。「私の予感では、彼はもう伸びない。いろいろな意味で、成長期を過ぎてしまった人間だ。彼がラージャスタンに行っても、むだ死にするだけだろうな」

「そんなの、わからないだろ」

 シフルは反論した。むろん、自分がラージャスタン留学のメンバーに選ばれたなら、喜ぶ。でも、あの年齢までひたすら努力を重ねてきたカウニッツを、ひと言で片づけてしまう気にはなれなかった。どちらがメンバーに残ったとしても、それだけの価値があると思いたいのだ。

「いや、感じるんだよ、私は」

 ロズウェルは頭を振った。誇張でも何でもない、当たり前のことだというように。

「カウニッツは、精霊とともにいない。……その人のそばに精霊がいるかどうか、私にはわかる」

 理由はダナンなら理解できるだろう、とでも言いたげな目つきをして、彼女は口を閉ざした。アマンダとユリスが怪訝な顔をしていたが、シフルは自分の胸のうちにおさめて黙っておく。これは彼女と自分との秘密であり、そう簡単に語っていいものではない。

 おそらくロズウェルは、妖精キリィとの交流によって、精霊により近づいているのではないかと思われる。精霊との結びつきが深い彼女だからこそ受けた影響なのだろう。

「だけど、オレもむだ死にするかもしれないぜ」

 シフルは反駁を試みた。が、

「それはない」

 ロズウェルはまたも一蹴する。「理由なんか説明する必要もないな、ダナン。しかし、精霊は奥が深すぎて、ときおり混乱するよ」

 彼女はそれきり黙りこみ、大鞄の中身をてきぱきと整頓していった。

 ユリスとアマンダは、またも理解不能という顔をしていたけれど、とても二人に言えることではなかった。もしこの二人に、自分は《精霊王》なる存在に呪われていて三級以上の精霊を召喚できないとされており、それにもかかわらず「実の母」の厚意で妖精憑きになったと伝えたら、どう反応されるだろう。午前中のアマンダの態度を考えれば、告げないほうがいいに決まっている。

「オレ、やるときはやるんだ。試験も、合格する確証はないけどけっこうやれたよ」

 シフルは二人ににっこりと笑ってみせた。根拠としては弱いとわかっていたが、これ以外に思いつかない。とりあえず、反論がくる前にさっさと話題を変えることだ。シフルは口を開いた。

「さてと、アマンダ、荷造りは? 何か手伝えることあるか?」

 いずれにせよ、この四人が揃うと都合の悪いことが多そうである。ロズウェルは行きがかり上シフルの事情を知りすぎているし、アマンダとユリスには教えることができない。自然と話題が不自然になり、二人に疑念を抱かせてしまう。ここはひとつ、場を去るのがいいか。シフルはそそくさと部屋の扉を開けて身を滑りこませ、

「ないんだったら、オレ部屋で昼寝してくる。きのう興奮して寝られなくてさ」

 顔だけを隙間からのぞかせると、小さく手を振った。「じゃあな、支度がんばれよ」

 そうしてシフルは、その場から逃げだした。

 下の階の自室に帰ると、とたんに眠気と疲労を感じてベッドに倒れこむ。いいわけはあながち嘘ではなかった。選抜試験までの五日間、寝る間も惜しんで召喚の練習に励んだうえ、試験後は試験後で結果が気になって寝つけなかったのだ。いいかげん、極限状態といっても過言ではない。

 が、そこまでつらいとはシフルは思わなかった。疲れよりも何よりも、彼は驚いていた。なりゆきとはいえ——自分がロズウェルと同じ妖精憑きになるとは、思いもよらなかったのだから。

 妖精憑きの精霊召喚士は、確か一級召喚士の数より少ないはずだ。どこかで聞いた話では、せいぜい一人か二人。それに、キリィを従えているロズウェル。しかも、彼らの妖精エルフは一級か二級の精霊が美しい器に宿っているもので、それを下僕として従えている以上、単なる一級召喚士より確実に精霊の力を使役できるわけだが、実力は一級召喚士と変わらない。

 ところが、シフルの妖精はひと味ちがうのだ。

スーニャの元素精霊長……」

 ぽつりと口に出してみて、気が遠くなってきた。

 元素精霊長とは、その属性を統べるもの。すなわち、世界の根幹をなすひとつの要素のおおもと。

(元素精霊長……ね)

 シフルはあの青い妖精の容貌を思い浮かべた。あくまでも美しいが、あくまでも無愛想な。

 あの彼が、世界を構築した?

(そんなわけ……あるのか?)

 シフルは自問自答しつつ、仰向けになった。(あいつが元素精霊長で、……ってことは、《時姫》とやらも『《時》属性を支配してる』んだから、元素精霊長で。オレは《精霊王》の妻の元素精霊長の息子で、元素精霊長を使役する?)

 少年はあまりに現実離れした事実を突きつけられたため、ベッドの上で何度も何度も寝返りをうち、あげく大人しく寝転がってはいられずに、毛布を引きずったまま床に転がり落ちて、しばらくじたばたしていた。大きな力を「得られた」ことが、うれしいようでうれしくない。

 ——『得られた』わけじゃない。

 シフルはそう胸のうちでつぶやいた。

(あれは与えられた力で、オレの力じゃない)

 自分の声で召喚した、サライ五級。あれが今の自分の限界であって、未知の属性の元素精霊長の力なんて、分不相応としかいいようがない。だからなのだ、うれしくないのは。確かにスーニャを呼びだしたとき、あの場にいた人間で驚かない者はなかったけれど、欲しかったのはそんなものじゃない。

 もっと。もっと、肌で感じられるような——自分自身の、力。

(失敗だったのかもしれない)

 シフルは思う。絶望のほうがましだったかもしれない。自分が何を求めているのか、わかっていたはずなのに、それなのに誘惑に負けたのだ。楽なほうに、流れた。どうしても今、ロズウェルにおいていかれたくなくて、自分の望みを曲げた。

 ——ばかだった。

 いま、少年の心には後悔しかなかった。ひどく、苦しかった。

 あの試験ののち、まわりの態度が一変した。以前、ロズウェルの態度には、一応シフルを認めているとはいえ、一段下の者を見下すようなふしがあった。が、さっきのロズウェルはアマンダと同じ、弱者の強者に対する卑屈な姿勢が見え隠れしていた。ルッツはもはや本格的に珍獣扱いしてくるし、カウニッツもメイシュナーも、あの試験に同席した者はみな同じだ。妖精憑き、しかも中身の精霊が元素精霊長であることは、それほど人の評価に直結する。

 そうしたまわりの変化も、自分自身の努力の成果なら喜びもしよう。しかし、そうではないのだ。あたかも恋人から贈られた宝石を誇るように、シフルは力を手に入れ、選抜試験に臨んだ。それはシフルの問題にみえて、まったくそうではない。人が讃えるのは、宝石とそれを贈ってくれるありがたい相手の存在、つまり運のようなものであって、それを獲得したシフル自身ではないのだ。

 ベッドによじのぼり、毛布にくるまった。眼だけ出して、ぼんやりと窓を見やる。格子窓から差しこむ光は、淡い、秋の午後の光だった。目の前はとても明るいのに、部屋の中はどこか漠然としている。ひとりの、感覚だった。

(眠ろう)

 今は、何もしたくない。シフルは、白い光のなか眼を閉じた。ほどなくして、夢とも現ともつかない曖昧さを漂っていく。

 ふと目を覚ましたのは、物音がしたからだった。まぶたを持ちあげると、背後に誰かの立っている気配。

「……ユリス?」

「いや」

 穏やかな、女子にしては低めの声。「セージ・ロズウェルだ。時間になったよ、ダナン。一緒に見にいこう」

「うん……」

 シフルは眠い目をこすり、起きあがった。いちおう相手は女子なので、寝癖のついた髪を撫でつけ、身だしなみを整える。それから、ふたりで階段を降りていった。通りすがりに壁時計を確認すると、時間は五時を少し過ぎたところ。そろそろ、留学メンバー四名の名前の書かれた紙が、掲示板に貼られているはずである。

「ユリスたちは?」

 シフルは肩をほぐしつつ、おもむろに訊く。

「ああ、彼らなら、今《ワルツの夕べ》のドレスを選んでる」

 ロズウェルはわずかに笑みを浮かべた。「私も少し見せてもらったけど、レパンズはきれいなドレスをいっぱい持っていた。毎回、何を着ていくか考えるのが楽しいそうだ」

「なるほど」

 シフルは適当に相槌をうつ。《ワルツの夕べ》、踊りがもう少し得意であれば楽しみたいところだけれど、今回はむりそうだ。何しろ心の余裕がない。

「ダナンは参加しないのか?」

「まさか!」

 シフルは苦笑した。「オレ踊りヘタだし、誘う相手もないし。それに、今回はそういうの楽しめる気分じゃないよ。ロズウェルは?」

 ロズウェルは、一瞬、思案顔になって、しかしどこか楽しそうな顔で、

「私は、久しぶりに出てみようかと考えてる」

 と、答えた。

 ふうん、楽しんでこいよ、とシフルは返す。言いながら、シフルは自分をうわのそらだと感じていた。楽しめないとか誘う相手がないとか、そういう問題ではない。今、そんなものはどうだっていい、というのが正直なところなのだ。シフルに与えられた力について、教会と学院の判断がどう下されるか。それだけが気がかりで、他は何もかも関心の外にある。

 シフルのそういう空気を察したのかもしれない、あるいは単に彼女も緊張してきたのか、ロズウェルはそれ以上その話題を振ろうとしなかった。階段の途中からただ黙々と歩いていたふたりは、玄関が近づくにつれ足をはやめた。自然と気が急く。

 近づいているのは、変革のとき。すべてが動きだすのか、——あるいは何も変わらないのかは、今日このとき目にする結果にかかっている。

「さあ、行くぞ。ダナン」

 ロズウェルは扉を押した。シフルは小さくうなずいた。望まぬかたちでの変革を喜べるかどうかは、わからなかった。

 掲示板の前には人だかりができていた。先日、留学生募集の告知があったときと同じである。このあと寮の中庭で《ワルツの夕べ》が開催されるので、ある者はドレスに付着した毛玉を取りながら見にきていたし、ある者はワルツの伴奏を担当するらしく、バイオリンを抱えたまま背伸びをしている。彼らが注目するのは、一枚の小さな紙。

 ふいに、

「ああ、やっぱりな」

 シフルの耳にそんなつぶやきが飛びこんできた。それで少年は、ひとり静かにすべてを理解した。

 それでも、学生たちのあいだから頭を突きだして、彼のその目で発表を見る。白い小さな紙の上の、そっけない文字列。



〈ラージャスタン留学 選抜試験合格者


 ルッツ・ドロテーア

 セージ・ロズウェル

 ニカ・メイシュナー

 エルン・カウニッツ


  以上四名。

  合格者は、


 一、重要書類の配布と説明があるので、発表を確認次第、ボルジアの研究室に来ること。

 二、新学期より特別カリキュラムを受講すること。〉

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