エルフの里での予定と就寝
貸し与えてくれた家は広く、俺たちが泊まっても十分な広さだ。食料も十分にあり、家具や調理用具がそろっていて、特に不自由なことはなさそうだ。
アーレとユアは実家に戻った。今頃、家族と食事でもして会話に花を咲かせているだろう。
そして、俺たちは食事をとっている。俺とアイリで食事を作った。
「ご主人様、エルフの里で何をするつもりですか?」
「曲芸をしたいけど、いきなり魔法を里の中で使ったら驚かれるから、しばらくは様子見かな?あと、里のみんなと仲良くなりたいね」
ローリアの問いに返す。
見ず知らずの人がいきなり里の中で大規模な魔法を使ったら怖がられるだろう。少しずつ魔法が使えることを浸透させないとね。
「じゃあ、しばらくはのんびりできるってこと?」
「うん、里の人が俺たちに慣れるまではのんびりかな」
アイリに答える。
「今度、模擬戦に付き合ってくれる?のんびりしてたら身体がなまっちゃうよ!」
「いいよ」
「やったぁ!」
メリーは全身で喜びをあらわにする。どうやら身体を動かしたいみたい。メリーって結構戦いが好きだよね。
「ご主人様、わたしも魔法の練習に付き合ってもらってもいいでしょうか?」
ローリアからお願いされることは珍しいな。
「うん、いいよ」
メリーの時と同じように了承する。メリーみたいに喜んだりしないけど、少しうれしそうに食べている。
「ユイト!あたしは両方やりたい!」
アイリは模擬戦も魔法の練習もしたいみたいだ。勇者はどちらにも長けているから練習したいのだろう。
「了解」
こうしてみんなの特訓に付き合うことにした。
食事の後は久しぶりに風呂に入った。エルフの里までは【クリーン】で綺麗にしていたから、久しぶりに入った風呂はとても気持ちが良かった。
後は寝るだけなのだが、
「なんでみんな俺の部屋にいるのかな?」
部屋に入ると寝間着姿の仲間に迎えられた。風呂の順番は俺が最後だったから全然気が付かなかったよ。
「すみません。つい癖で」
ローリアはそういって目を逸らす。エルフの里まではテントで一緒に寝ていたから仕方ないか。あれ?仕方ないのか?
「え?一緒に寝ないの?」
アイリは当たり前のことを尋ねられたような反応だ。そういえば部屋割りを決めたのはアイリだったか。俺の部屋が一番大きいのはみんなが寝ることを想定していたのか。
「ねーユイト、もう寝ようよ!」
メリーに至ってはすでにベッドの上で女の子座りをしていた。眠そうだから頭が回ってないのかそれとも無邪気なのか、どちらにしても無防備すぎる。元の世界ならなんと危ないシチュエーションだろうか。
「いや、でも流石に4人は……」
そういってベッドを見ると、それはそれは大きなベッドが目につく。もう1人増えても余裕がありそうなくらい。
アイリはクスリと笑う。どうやら考えが読まれていたらしい。まさかアイリはベッドの大きさまで確認していたのか。これではベッドの大きさを理由に同衾を断ることができない。
「流石に4人だと暑いんじゃ……」
俺が言い切る前にローリアが指を振った。すると、室内が少し肌寒いくらいの温度になった。まるで、クーラーでも効かせたかのようだ。
ちゃんと魔法が上手になっていて嬉しいよ。うん。
「といっても男は俺一人だし遠慮したほうが……」
すると今度はメリーが首を傾げた。何を言っているのか分からないといったようすだ。
メリーは思ったより純粋のようだ。そんな穢れのない目で見られたら困るじゃないか。
「……寝ようか」
諦めた。俺の言葉を聞いてアイリは小さく拳を握る。もうどうにでもなれ。
メリー、ローリア、俺、アイリの並びだ。意外と疲れていたようですぐに眠れた。
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目を覚ます。最初に移ったのはメリーの寝顔だった。少し視線を動かすと俺の胸の辺りにローリアが眠っていた。ローリアは小さいから一緒に寝ていると抱え込むような体勢になることがある。今回はそのパターンのようだ。
身体を動かそうとするとアイリが抱き着いているのが分かった。アイリは抱き枕が必要なタイプのようだ。
アイリを起こさないようにこっそりと抜けだす。
少し伸びをして吐息を漏らす。まだ早朝で良く晴れているようだ。
今日もいい日になるといいな。




