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異世界魔法で曲芸士!  作者: 常世 輝
王都ユーラング
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エルフの里に到着

 ツイリの森に到着した。


 森というのは鬱蒼として暗いイメージがあるけど、異世界の森はそうではないらしい。なんとなく明るいし、動植物も沢山いるようだ。


「明るいね。これなら明かりもいらなさそうだ」

「そうですね。森はエルフが手入れしているのと、光る植物があるので意外と明るいです」

 アーレが補足してくれる。エルフは森と共生しているんだな。


「久しぶりね」

「そうだね」

 リーレさんとゲルムさんが懐かしそうにしている。仲良く手を繋いでいる。


「この中にエルフの里があるんですね」

「そうなの」

 俺の右手を握るローリアと俺の左手を握るユアが会話している。同じように手を繋いでいても、こっちは保護者みたいだな。


「じゃあ、行ってみようか」

 ゲルムさん、リーレさん、アーレを先頭にして森の中に進む。場所を知っている3人に案内してもらわないとね。


 ツイリの森は明るい。小鳥が歌い、綺麗な植物が咲いていて、小動物が駆ける。【マップ】を見ると、エルフの里の周りには魔物が少ないみたい。エルフは里の周りの魔物を定期的に狩っているのかな。


「なんだかピクニックみたいね」

 少し前を歩いていたアイリが振り返ってふんわりと微笑む。

「のどかでいいところだね!」

 同じく少し前を歩いていたメリーが振り返って楽しそうに笑う。


「そうだな。どこかいい場所があればシートでも広げて、みんなでサンドウィッチでも食べたいね」

 エルフの里を楽しんだらここら辺でピクニックするのもいいかもしれない。そもそもエルフの里を楽しめるか分からないけどさ。


「そろそろ到着します」

 みんなと会話を楽しんでいると、アーレが振り返った。


 それから少し歩くと視界が開けてくる。

「おー!」

 エルフの里を見て思わず声が出る。


 家が面白い。大樹を繰り抜くようにして家が作られている。しかし、大樹は青々と葉をつけており、いまだに育っているようだ。


 そして、里の中心にある大樹。この里のどの木よりも太く、どの木よりも高い。この大樹も家になっているようだ。


 俺のイメージのエルフの里って感じがしてテンションが上がるな。


 農作業をしているエルフや、遊んでいる子供などが見えるな。こういうところはあまり人族と変わらない。


「まずは長老のところに行きましょう。帰還したことを知らせなければ」

 アーレを先頭にして里の中を進む。攫われたリーレさんが帰ってきたんだから報告しないとね。


「アーレだ!リーレとゲルムもいる!」

 小さな子供が近づいてくる。カラフルな服を纏って全身を隠している。


「アーレ!?」

「リーレもいるぞ!」

 子供の声を聞いて近くで農作業していた人が近づいてきた。全身を隠しているのによく分かるな。同じエルフだからだろうか。


 近づいてきた人を観察する。エルフは全身を隠しているから分かりやすい。衣装は人それぞれ違っていて、カラフルな衣装を着ているエルフもいる。


 全身を隠してない人はドワーフだろう。人族よりも背が低く、大人の男性はずんぐりむっくりの鍛冶師とかが似合いそうな感じだ。所謂、ファンタジーのドワーフだ。女性は背が低く、人族の子供とあまり変わらない。まるで小人族みたいだな。


「随分と人気ですね」

「エルフとドワーフはみんな家族みたいなものなの」

 ローリアの言葉にユアがつまらなそうに返す。ユアはあの輪に入らないのかな?


「ユア?」

 つまらなそうなユアの顔を覗くと少し顔を逸らした。


「ユアもいるじゃないか。大丈夫だったか?」

 1人のドワーフがユアに話しかける。

「ん、大丈夫だったの。ユイトが助けてくれたの」


 ユアの言葉にエルフやドワーフがこちらも向いた。なんで俺たちがいるのか不思議に思っているようだ。


「彼らはリーレの救出を手伝ってくださった人達で、私の仲間です。信頼できる人達です」

 アーレがフォローを入れてくれる。


「そうか、アーレが言うなら大丈夫だろうな。リーレを助けてくれてありがとう」

 エルフが俺たちに頭を下げる。

「いえ、気にしないでください。仲間が困っていたら助けますよ」

 謙遜して答える。


「おーアーレにも春が来たみたいだな」

「ワハハハハッ」

 1人のドワーフの言葉に周囲が沸く。


「長老の元に行かなければなりません。これで失礼します。行きましょう、ユイトさん」

 少し足早にアーレが歩く。俺たちも遅れないようについていく。


「あっと、これは……」

 アーレを追いかける途中で後ろから何か聞こえたけど、なんて言ったんだろう。


 長老のもとへ、つまり中央の大樹に向かう間に何人ものエルフやドワーフに話しかけられた。驚いたのはアーレが随分と信頼されていることだ。俺たちがアーレの仲間だと分かるとすんなりと受け入れてくれる。普通はこうはいかないだろう。


「長老はこの世界樹の1番上にいらっしゃるはずです」

 アーレは大樹の上を指す。この木は世界樹というらしい。実に俺のイメージの世界樹らしいな。


 アーレは簡単に言うけど、世界樹はかなり高い。これを上ると思うとうんざりする。


「大丈夫です。上がるための装置がありますから」

 俺の表情を読んだのか、アーレが言う。


 アーレが世界樹の中に入るのを追って、俺たちも世界樹の中に入っていく。


 エルフの里に到着しました。

 ツイリの森という森にありますが、名前がないと不自然なので付けただけで、ツイリの森という言葉はあまり使わないと思います。たぶん。

 たまにアクセス解析を見ますと、一気読みしてくれたのかなーって思うことがあったりして嬉しいです。宜しければ、ブックマークやしおり機能を使って続きを読んでくださるとさらに嬉しいです。


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