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異世界魔法で曲芸士!  作者: 常世 輝
王都ユーラング
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道中 エルフの里のこと

本日、ユリア視点の話を投稿しています。

良ければそちらもどうぞ。


「アーレ、エルフの里ってどんなところ?」

 エルフの里に向かう道中、俺はアーレにエルフの里について尋ねる。


 エルフの里については、エルフであるアーレに尋ねるのがいいだろう。


 ちなみに、ゲルムさんとリーレさんは仲良く御者している。ぴったりくっついて仲良さそうで何よりだ。あの2人の邪魔をするのは憚られる。


「里を出たのが随分前なので、あまり最近のことは分かりませんが……」

 アーレが話始める。そういえば、アーレが里を出たのっていつなんだろう?


「エルフの里は森の中にあります。ツイリの森といって自然にあふれていて、精霊も多いそうです」

 アーレは思い出すように話す。アーレは精霊が見えないから伝聞なんだな。


「里は人族の生活と比べたら何もない所です。エルフは精霊を愛する種族なので、魔法道具は使いませんから」

 魔法道具に使われる魔法陣には魔物の核が使われている。精霊は魔物や魔物の核を嫌うようだ。


 俺のスキル【精霊視】でアーレを見ると、精霊はアーレの近くにいない。アーレは体中に魔法陣を刻んでいるから。


「かといって、不便ではありません。エルフには精霊魔法があります。普通に過ごす分には困りません」

 アーレは平淡に説明しているけど、アーレは精霊魔法が使えないから結構辛いことなんじゃないかな。


「こんなものでしょうか」

「ありがとう、アーレ」

 話終えたアーレにお礼を言う。


「私たちがエルフの里に行っても大丈夫でしょうか?」

 ローリアが疑問を漏らす。

「ダメなの?」

 俺が聞き返す。俺たちがエルフの里に行っちゃいけない理由って何かあるのかな?


「人族と他の種族はあまり仲良くないので……」

 少し言い辛そうにローリアが答える。


 メリーも頷いている。人族には人族が優れているみたいな思想があるからな。自分たちを下に見る種族とは関わりたくないよな。


「ユアさんやゲルムたちを送るという理由があるので大丈夫だと思いますが、長居はできない可能性があります」

 アーレが答える。だいぶ人族は嫌われているな。


「どうにか仲良くなれないかな?」

 どうせエルフの里を訪ねるなら、良好な関係を築きたいよね。


「音楽が好きなエルフが多いですから、音楽や歌などで仲良くなれるかもしれません」

 アーレが提案する。


「んー難しそうだな……」

 音楽か。確かに、共通の好きな話題や一緒に演奏することは仲良くなるには最適かもしれない。


 かといって、いきなり演奏しても訝しく思われるだけだよな。


 こんにちは!演奏します!うん、変な人だ。


「まぁ、着いてから考えようか」

「ユイトは楽観的だね」

 メリーもあまり人のこと言えないと思うけどな。


「じゃあ、少し練習しておこうか」

 俺は収納魔法を使ってダンジョンで手に入れた【エルフのヴァイオリン】を取り出した。


「ヴァイオリンですね。弾けるのですか?」

 エルフが作ったヴァイオリンらしいから、アーレなら見覚えがあるのかな。


「まあ、少しね」

「あら、ユイトは上手いわよ。私が保証するわ」

「そうですね。上手だったと思います」

 アイリとローリアが褒めてくれる。パーティの中ではアイリとローリアには聞かせたことがあったかな。


 アイリには元の世界で聴いてもらった。


 俺は立ち上がってヴァイオリンを弾く。


 ヴァイオリンの綺麗な音が広がる。馬車の中だけど、空間魔法で広くしてあるからうるさくない。音に深みを感じるのは良いヴァイオリンだからかな。


 みんなヴァイオリンの音に耳を傾けている。見た感じ気持ちよさそうに聞いているから、不快ではなさそうだ。


 1曲弾き終える。

「上手いものですね」

「うん。ユイトはなんでもできるね!」

 なかなか好評のようだ。もしかしたらスキルの恩恵もあったかもね。


 弾いた曲は俺の元いた世界では有名な曲でも、みんなは聞いたことないよね。アイリは聞いたことがあるか。


「少し貸していただけますか?」

 アーレにヴァイオリンを渡す。アーレはじっくりとヴァイオリンを観察した後に構えた


 綺麗なヴァイオリンの音が響く。所々違うけど、曲はさっき俺が弾いた曲だ。でも、あの曲は俺の元いた世界の曲だ。アーレは知らないはず。


 演奏が終わって拍手する。

「アーレ、この曲知ってるの?」

「いえ、さっきユイトさんが弾いたのを聞いただけです」

 ということは、聞いただけでコピーしたってことか。そういえば、アーレのスキル【演奏】も高かった。


「凄いな」

「大したことじゃありません。小さい頃から演奏していましたから」

 アーレは謙遜する。凄いことだと思うけどなぁ。


「ユイト!僕も弾いてみたい!」

 メリーが興味あるみたい。


「わかった。じゃあ、こっち来て」

 メリーを手招きする。アーレにヴァイオリンを返してもらって、メリーに渡す。


「こう構えてっと」

 メリーにヴァイオリンを構えさせる。メリーの後ろから抱え込むようになる。


「え、ユイト、恥ずかしいよ~」

「ごめんね、この体勢が教えやすいんだ」

 慣れないと少し恥ずかしいと思うけど、この体勢なら俺から見る向きと同じだから分かりやすい。


「ユイト!次はあたしね!」

 アイリが妙に高いテンションで催促してくる。

「うん、次ね」


 メリーにヴァイオリンを教えた後、アイリとローリアにも教えた。メリーはあまり得意じゃないみたいだったけど、アイリとローリアは直ぐに音を出せるようになった。


 練習すればみんなで演奏できるかもね。







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