王家の王女様方
今回はユリア視点になります。
前回、ユイトが手紙を送った第三王女です。
ユイトが病気を治して,お茶会もした王女様ですね。
「はぁ……」
ついつい溜息が零れてしまう。溜息なんて着いたら幸運が逃げてしまうかもしれないのに。
わたくし、ユリア・ユーラング・リーブハートはベットの上で窓から外見て溜息をついています。先日、わたくしとエマがユイト様やローリアちゃんとお茶会をして以来、ユイト様と会っていません。
わたくしの体調も良く、天気もいいのだから、またお茶会に招待しようと思ったのに、執事に探してもらってもどこにもいらっしゃらなかった。
わたくしには内緒でどこかに行ってしまったのかしら……
「はぁ……」
また1つ溜息。天気は晴れているのに、わたくしの心は曇り模様。
「お姉さま……大丈夫?」
エマがわたくしに声をかける。エマは優しいわね。
エマ・ユーラング・リーブハート
とても笑顔が可愛いわたくしの妹で、第4王女。 純粋無垢で本当にいい子なのよ。貴族らしい言葉遣いはまだ練習中だけど、わたくしは今の方が可愛くて好きよ。
わたくしも貴族らしい言葉遣いは少し苦手なの。だから、ついつい混ざっちゃう。
「大丈夫よ。心配かけちゃったわね」
そういってエマの頭を撫でる。
エマは嬉しそうに目を細める。エマは頭を撫でられるのが好きなのよね。
「でも、お姉さま、最近溜息が多いし……」
エマはまた少し心配そうな顔をする。
「えーとね」
少し言い訳を探します。恋慕で億劫とは言い辛いの。
「まだ例の殿方を恋焦がれてますの?」
「エリザベートお姉さま」
言い訳を探していると突然声がかかりました。この声はエリザベートお姉さまです。
エリザベート・ユーラング・リーブハート
わたくしの姉で第1王女です。別名は傲慢姫なの。確かに高飛車な物言いや思いつきで周りを動かすこともあるけど、悪いことをしようとしているわけじゃないのよ。求婚されたら伝説級の秘宝を取りに行かせようとしたこともあるけど、それは相手の愛を測るためですもの。
その結果が別名の傲慢姫だったりするのですけど……
「そんな男は止めてしまいなさいな。庶民と結婚するよりも有力貴族と結婚したほうがあなたは幸せになりますわ」
またお姉さまはそういうことをいう。エリザベートお姉さまは殿方の理想が高い。深い愛以外にもいろいろ条件があるみたい。
「お姉さま。いくらユリアが心配だからってそんなに尖った言い方をしたら嫌われるわよ」
今度はメディアお姉さまです。ついにわたくしの寝室に4人姉妹集まってしまったわ。後はお兄様1人だけね。
メディア・ユーラング・リーブハート
わたくしの姉で第2王女です。世間や貴族の方々には無口姫なんて言われているけど、それは表向きのお姉さま。本当は賢くて面白いことが好きでエリザベートお姉さまをからかうのが好きな変わったお姉さまですわ。
「べ、べつに心配なんてしていませんわ!ただ、そんな不義理な男は止めた方がいいと言っただけで」
「それを心配っていうんじゃないのかな~?」
エリザベートお姉さまとメディアお姉さまはいつもこんな感じです。メディアお姉さまがエリザベートお姉さまをからかって笑う。いつもの光景ですわ。
ちなみに、エリザベートお姉さまが心配してくれているのは本当ですわ。昔から素直じゃないの。
「それで、体調は大丈夫なの?」
エリザベートお姉さまをからかい終わったメディアお姉さまがわたくしに尋ねます。
「ええ、あれから体調はいいの、メディアお姉さま」
ユイト様に治療してもらってからは調子がいい。相変わらず身体は弱いみたいですけど、あれから病気になっていませんの。
「あら、じゃあ後は恋の病だけね」
「メディアお姉さまっ!」
メディアお姉さまはわたくしをからかうのも好きみたい。わたくしにしては珍しく大きな声を出しました。
「メディア。あんまりユリアをからかっちゃいけませんわ」
「はーい」
エリザベートお姉さまの言葉をメディアお姉さまがおざなりに返して退室した。
「まったく。エマ」
「は、はい!」
エリザベートお姉さまがメディアお姉さまを見送ったあと、今度はエマに矛先が向いた。
「あなたはそろそろ勉強の時間じゃないかしら?準備なさったら?」
「はい!」
エマは少し怯えたように返事をする。エマはエリザベートお姉さまが少し苦手みたい。
エマも退室した。
「ユリア」
「はい」
今度はわたくしに声がかかる。
「今は調子がいいかもしれませんが、無茶をしてはいけませんわよ?」
「ありがとう、お姉さま」
エリザベートお姉さまにお礼をいいます。
ね?お姉さまは優しいでしょ?わたくしはエリザベートお姉さまが大好きよ。
「ふん!」
そういってエリザベートお姉さまも退室しました。やっぱり素直じゃあないのね。
1人ぼっちになってしまいました。先までにぎやかだったのに、少し寂しいですわね。
「はぁ…ユイト様……」
また窓の外を見る。もう会えないのかしら。わたくしに翼があったらユイト様に向かって飛んでいくのに。
「あら?」
窓の外に見慣れないものが見えるわ。あれは……鳥かしら?
鳥のようなものはこちらに向かってくる。そして、窓に激突した。
「あら?」
ベッドから起きて窓を開ける。鳥はわたくしの前に留まった。わたくしが両手で受け止めると、鳥は動かなくなってしまいました。
よく見ると鳥は紙でできているではありませんか。
こんなことが出来るのはあの方しか心当たりがありません。そう思って紙でできた鳥をよく観察します。
すると、また鳥が動き出して宙に浮き、折り目が広がり、1枚の紙になりました。
まあ素敵!こんなことってあるのかしら。
広がった紙を見ます。どうやら手紙のようです。
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〈手紙〉
親愛なるユリア様へ
あれから病気などはしていませんでしょうか?それがとても心配です。
このような形で手紙を送ることをお許しください。同時に、急な出立のため挨拶ができなかったことをお許しください。
今回、手紙をお出ししたのは急な用事が片付いたため、僭越ながら謝罪のために手紙を送らせていただきました。
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「ほとんど謝罪ですわね」
わたくしはクスクスと笑いながら手紙を読む。謝罪ばかりなのが少し不満だったり、旅の話やどんな用事だったかが書かれていないことが不満だったりするが、わざわざ手紙を送ってくれたことが嬉しかった。
わたくしのことを気にかけてくれる。わたくしのことを考えてくれている。そのことが何よりも心をあったかくした。
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P.S.何か問題がありましたらこの手紙に書いて、窓から投げてください。紙は再び鶴になり、私の元に飛んでいくでしょう。手紙が私に届いたら、私も飛んで王都に戻ります。
あなたのお茶友達 ユイト より
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「ふふっ」
確かにユイト様なら飛んできてくれそうね。人族が飛べるわけがないのに、ユイト様ならありえる気がしますわ。
そんな手紙をくれたお茶友達を想って手紙を大切にしまった。
第1~第4王女まで出演しました。
個性的な面々ですね。なんかメインキャラよりも個性的かもしれません。




