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異世界魔法で曲芸士!  作者: 常世 輝
王都ユーラング
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ハーニカへの道のり 精霊魔法

 ハーニカの街への道中、ゲルムさんに精霊魔法を見せてもらうことになった。


 もちろん、エルフ救出のためにどれほど使えるか見るためだ。


 ただ単に、俺が見たいというのもある。


「それではお願いします」

「はい」

 ゲルムさんは集中した様子だ。


 魔力を練っているのだろう。【アナライズ】を応用して魔力の流れを見るか。


 ゲルムさんの掌に魔力が集まっている。少しずつ減っているから、精霊が持って行っているのかな。


「あれ?魔力があまり減らないな?」

 ゲルムさんが疑問を表した。


 どうやらあまりうまくいっていないみたい。


 そういえば、俺にはスキル【精霊視】があったな。発動してみるか。


 俺は目に魔力を込める。スキル【霊視】よりも魔力を使うみたいだから、今まで使ったことがなかった。


 俺の目の前が色とりどりに彩られた。目の前が見えなくなった。何この状態?


 目から魔力を抜くと、普通に見えるようになった。


 もう1度魔力を込める。また目の前が色とりどりに染まる。


 どうやら俺の目の前に大量の精霊がいて、俺の視線を遮っているようだ。精霊は手のひらほどの大きさだ。


「まりょくほしいの。まりょくちょーだい」

「ちょーだい。ちょーだい」

「あまいものでもいいの」

 精霊が俺に語り掛けてくる。というか、ただ強請られている。俺から魔力を貰おうとしているから、ゲルムさんの魔力が減りにくかったんだね。


「魔力ならそこの人のを貰いなよ」

「あなたのがいいの」

 俺がゲルムさんの魔力を勧めると、一体の精霊がいった。


「あとであげるから、ね?」

「わかったの」

 意外と精霊は物分かりが良かった。


「そろそろ発動できるよ」

 精霊がゲルムさんの魔力を食べ始めたことで、ゲルムさんは魔法の発動を感じているようだ。


 ゲルムさんの魔力を食べている青い精霊が水を吹き出した。


 なるほど、精霊魔法は、精霊に魔力をあげて発動するというのはこういうことなのか。


「他にもできるんですか?」

「私ができるのは水系統の精霊魔法だけなんだ。攻撃魔法以外は、人を眠らせたり、水を綺麗にすることだけかな」


 ゲルムさんは水精霊魔法使いなのか。精霊使いにもいろいろあるようだ。


「発動にはいつもこれくらい時間がかかるんですか?」

「いや、今回は遅いかな。精霊は気まぐれだから」

 遅かったのは俺に精霊が集まっていたからだろう。なんかすみません。


『やくそくなの』

『まりょくちょーだい』


 俺は掌を出してゲルムさんと同じように魔力を出す。

「俺にも精霊魔法は使えますかね?」

「難しいと思うよ。精霊魔法は精霊に気に入られないといけないからね。勇者ならできるんじゃないかな?」

『おいしーの』

『もっとなの』

 精霊には気に入られているみたいだけど……


 ちなみに、勇者が精霊魔法を使えるというのは、過去に前例があるかららしい。


 流石大体のRPGの主人公だ。勇者って凄い。


「精霊魔法を発動するにはどうすればいいんですか?」

「気持ちを込めて、精霊にお願いするんだ」


 精霊魔法も普通の魔法と変わらないようで、イメージなんだな。


 起こしたいことをイメージして精霊に魔力をあげればいい。


 精霊に魔力を受け取ってもらえないと精霊魔法は発動できないから、精霊に気に入られることが大事なんだな。


 なんか俺でもできそうだな……。あとでやってみよう。


「ありがとうございました。魔力を消費したでしょうから、馬車で休んでください」

「ああ、そうさせてもらうよ」

 ゲルムさんは馬車に乗り込んだ。


『おいしかったの。ありがとう』

『なにかする?まほうつかう?』

 精霊が話しかけてくる。


 ゲルムさんは馬車に乗ったから見えないだろうし、せっかくだから精霊魔法を使ってみようかな。


「じゃあ、この鍋に水をお願い」

『おやすいごようなの』

 青い精霊が答えた。


 青い精霊が水を鍋に水を生成する。澄んだ綺麗な水だ。飲んでみたらとても美味しかった。


『ほかにはー?』

『わたしたちはー?』


 他の精霊も何かしたいみたい。意外と働き者なのか、はたまた俺が気に入られたなのか。


「鍋の水を温めてくれる?」

『わたしがやるの』

 赤い精霊が答えた。


 赤い精霊が鍋の上をくるりっと回ると、水がお湯になって湯気を上げた。


「鍋をコンロに置いてくれる?」

『わたしのでばんなの』

 今度は緑の精霊が答えた。


 ふわふわと鍋が持ち上がり、ゆっくりとコンロに置いた。


『私はー?』

『必要ないの?』

 別の色の精霊は暇を持て余しているみたいだ。


 なんとなく法則が掴めてきた。


 赤い精霊が火属性で、青が水、緑が風か。


 ということは、黄色の精霊が雷属性で、紫が闇属性、白が聖属性で、透明なのが無属性、桃色が光属性かな?


 俺は全種類の精霊魔法を使えるみたい。アイリはいくつか使えて、他のメンバーは使えなかった。


「さて、お湯も沸かしてもらったし、料理するか」

『あまいものなの?』

『あまいのがいいの』

『まりょくほしいの』


「……ごめんね。今度何かあげるからそれまで静かにしてもらえるかな?」

『わかったの』

『やくそくなの』

『あまいものがいいの』


 ずっと周りで喋られると俺が集中できない。楽しそうに話しているけど、少し黙っていてもらおう。


 また話すときまでスキル【精霊視】は切っておこう。


「ご主人様。今日は何を作りますか?」

「シチューにするの」

「の?」


 あ……


「ローリア、今のなし」

「あ、はい。何も聞いていません」

 精霊の話し方が移ってしまった。めちゃめちゃ恥ずかしい。


 俺以外に精霊の声は聞こえていないみたい。後で確認したら俺のスキルにスキル【精霊対話】が追加されていた。


「ユイト!お肉も焼くの!」

「メリー、肉も焼くからやめて!」

 攻めてくるメリーの言葉に悶絶する。


 この後、メリーには一日からかわれた。からかう人がメリーだけで良かった。


 ローリアとアーレはあまりそういうことをしない。ただ、アイリが楽しそうにしていたのが、俺にはよく分からなかった。




ユイトが精霊に気に入られました。

道中の話はあと一話続きます。

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