アーレの相談
話がうまくつながらなかったため、前回の話を修正してアイリをメンバーに加入させました。
前回の最後に加筆してあります。
本当は立てたフラグを回収したかった……
「皆さん、少しお話いいでしょうか?」
そう切り出したのはアーレだった。
いつもどおり、朝起きてから俺が【クリーン】、【フレグランス】、【コンディショナー】を使ってから、アーレが話し始めた。
「私はこのパーティーから離れることにしました」
「……どういうこと?」
アーレのいきなりの離脱発言に、俺は少し戸惑って聞き返した。
何か俺に問題があっただろうか?
エルフのアーレは肌を見せられないから、周りに人がいるのが耐えられなかったのかな?
なんか申し訳なくなってきた。
「この街いるエルフに話を聞いたのですが、どうやら奴隷商人にエルフが捕まっているそうです」
この街に来てからアーレは何度かエルフに会いに行っていた。アーレはこの話をするために行っていたんだな。
「罪を犯したのならば仕方ありません。しかし、そのようなことはなく、そのエルフは強制的に奴隷にされた」
エルフは見目麗しいから奴隷としての価値が高い。他種族が嫌いでなければ、奴隷として欲しいという人がいるだろう。
強制的に奴隷にするというのは、この世界ではある話らしい。奴隷紋を刻むことが出来れば可能だ。もちろん犯罪。
「私たちは助けに行かなければいけません」
つまり、奴隷商人からエルフを助け出すってことか。
「で、なんでアーレが離脱する話になるの?」
「え?」
俺の質問にアーレが素っ頓狂な声を上げた。
俺は何か可笑しなことを聞いただろうか?
「もしかして、手伝ったら何かまずいのかな?」
「手伝ってくれるのですか?」
奴隷商人が悪いのだから、俺がエルフを奪い返しても問題ないだろう。
「うん」
「ですが、あなた方に迷惑が掛かります」
何だ、そんな事か。仲間なんだから頼ってくれてもいいのに。
「俺は気にしないよ」
「ですが……」
アーレの反応は煮え切らない。
「僕もいいよ?」
「私もご主人様がいいというならばお手伝いしたいです」
「ユイトと一緒にいられればそれでいいわ」
メリー、ローリア、アイリはそれぞれ反応を見せる。3人もいいみたい。
「ありがとうございます。話してみます」
アーレがエルフの知り合いに、俺たちが協力することを話すことになって、話し合いは終わった。
その後、俺たちはエルフ救出を手伝うことになった。
翌日。
「ユイトと一緒の旅!」
「楽しみ~!」
アイリが俺の右腕を取り、メリーが俺の左腕を取っていう。見た感じ女を侍らせている男にしか見えないだろう。
「アーレ、この人たちは本当に信用できるのか?」
「……そのはずです」
俺たちの様子に疑問を表しているのはアーレと同じくエルフのゲルムさん。
アーレと同じように、全身を隠している男性だ。きっと彼も端正な顔立ちをしているのだろう。
「2人とも離れてね。初対面の人には印象最悪だから」
2人はしぶしぶといった様子で離れた。だいぶ懐かれたもんだ。
「ゲルムさんですね。ユイトと申します。微力ながらお力添えします」
「ユイトさん。この度はありがとうございます」
「お話は馬車の中でしましょうか」
「はい」
そういって俺たちは馬車に乗り込んだ。他のメンバーの紹介は乗ってからでいいだろう。
今回は俺が馬車も出している。単にこの街に置いていけないという理由もあるが。
「魔法道具になっているのですね。ありがたい」
ゲルムさんが馬車の中を見て感想を漏らした。
この馬車は魔法をかけて拡張してある。俺たちのパーティーが5人で、さらにゲルムさんが加わると、流石に狭いので手を加えておいた。
空間魔法で馬車内の空間を押し広げて、外見からは想像できないほどの大きさになっている。
さらに車輪が地面から数センチ浮いているため、揺れが全くない。
魔法って便利。
「ローリアは御者をお願いね」
「はい」
御者はローリアが担当する。
アーレもメリーも御者を出来ないので後で俺が交代しよう。もちろん、この世界に来たばかりのアイリは言わずもがな。
「まずは、経緯とか教えてもらっていいですか?」
「そうですね。知ってもらった方が分かりやすいでしょう」
どういった経緯で攫われたのか。
どうやって場所を突き止めたのか知っておきたいね。
「まず、リーレは里のはずれで攫われました。目撃者もいます」
リーレというのは、攫われたエルフの名前だ。ゲルムさんとは恋仲らしい。
「そして、私は彼女を探しに旅に出ました。そして、ハーニカの街でエルフが捕まっているという情報を掴みました」
そういえば、ローリアを貰った時にエルフを【マップ】確認したな。あの奴隷商人だろうか?
「ローリア」
「はい?」
御者席からローリアが顔を出した。
「あの奴隷商人が売っていた中にエルフは居た?」
「分かりません。エルフなら特別扱いを受けているはずなので、私とは別の場所に隔離されているはずです」
ローリアは見ていないか。
「あの子は?」
「ローリアはハーニカで貰った奴隷です」
ゲルムさんの問いに答える。
「ローリアを貰うときに、奴隷商人が言ったんですよ。『エルフはやめてくれ』って」
「本当かい!?」
確かに奴隷商人はそういってたはずだ。
「そうか。やっと会えるかもしれない……」
だいぶ安堵している様子だ。恋人が攫われたら心配だよな。
「それで、この馬車はいつ出発するんだ?」
「あぁ、もう出発してますよ?」
「え?」
もう馬車は出発している。
ゲルムさんは馬車の外を見て驚いている。
あぁ、そうか。
「この馬車は魔法道具なので揺れはほとんどありませんよ」
「あ、ああ、凄いな……」
実際は俺が魔法で浮かせているけど、教える必要はないよね。
「……」
アーレは何か言いたげにこちらを見ているが秘密だ。
ハーニカの街に久しぶりに戻るか。
この作者全然更新しないな......とお思いのあなた!
一応完結させるつもりはあります。気長に付き合って下さると嬉しいです。
王都ユーラング編はここで終わりです。次回からはエルフの森編になります。




