アイリと会話
お久しぶりです。
最後に投稿したのが7月22日なので、随分と期間が空いてしましました。
ぜひとも読んでいただけると嬉しいです。
「愛理?」
「なに?結糸」
「そろそろ離してもらえるかな?」
「なんで?」
なんで?ときたか。
愛理に抱きしめられてから5分は経っただろうか。
それなのに愛理の力は衰えることもなく俺を抱きしめている。
俺はステータスが高いから大丈夫だが、一般人なら泡を吹いて倒れそうなくらいの力がかかっている。流石勇者。
「俺はこの城に忍び込んできているから、見つかると牢屋に入れられちゃう」
「結糸にそんなことする奴なら私が戦うよ?」
「ん?愛理だめだよ?」
愛理の言い方と表情が全然冗談を言っているように見えないので、とりあえず止める。
昔の彼女はこういう性格じゃなかったはずだ。なんというか、もっと大人しかった気がする。元の世界で俺が死んでから何があったのだろうか?
「愛理、離してもらわないとちゃんと話ができないからさ」
「このままでも会話が成り立ってるよ?」
「……ちゃんと顔を見て話そう?」
「そういうことなら」
少し無理に言い訳をしてやっと解放された。とりあえず、2人並んでベッドに腰を掛ける。
「まず何から話そうか?」
「結糸はなんでこの世界にいるの?」
「ああ、そうか。あのね……」
俺は愛理にこの世界に来たきっかけと今までのことを話した。
愛理は俺の前世を知っているからほとんど包み隠さず話した。
「ユイトは今女の子3人と一緒に旅をしているんだ。へぇー」
全て聞き終えたアイリの反応がこれだった。
勇者以上のチート能力。
街を救ったこと。
曲芸士をしていること。
そのどれよりも気になるのはそこなんだね。
ちなみにイントネーションが少し違うだけだけど、こっちの世界風にユイト、アイリで呼び合うことにした。
「ねえ。私もユイトと一緒にいきたい」
「んー俺はいいんだけど。難しいんじゃないかな?」
アイリは勇者として召喚されたから、他国を歩き回る俺と一緒に行動するのは難しいだろう。
大切な勇者を手放すわけがないからね。
「ならこの国を滅ぼせば」
「そんなことしたら本気で怒るからね?」
「ごめんなさい。やらないから嫌いにならないで」
アイリ、冗談でも目が笑ってないと分からないからね。
「何か理由を付けないと厳しいだろうね」
「理由……」
アイリは理由を考え始めた。
国が勇者を手放してもいいと思える理由とはいったい何だろうか?
魔物退治の経験をすることかな?
それならここの街を拠点として魔物を狩ればいいか。
あ、そうだ。
「アイリが召喚されたのは昨日だから、アイリの知名度って少ないでしょ?」
「そうね。あたしが召喚されたのをちゃんと知っているのって、この街の人だけじゃない?」
アイリを目視で確認したのはあの時パーティー会場にいた貴族だけだろう。庶民は女勇者が召喚された事は知っていても、アイリの顔は知らないだろう。
他の街や村や他国は女勇者が召喚されたことも知らないかもね。
「なら、勇者の宣伝ってことでどうかな?」
「勇者の宣伝?」
「そう。勇者が確かに王都ユーラングで召喚されたことを知らしめるために旅に出るってこと。魔物との戦闘も経験出来て一石二鳥だよ」
勇者が王都で召喚されたことが知られれば、戦争を仕掛けてくるような国はないだろう。
人伝いに勇者が召喚されたのは伝わるだろうけど、写真とかがないから正確な情報にはなりえない。
「うーん、でも、勇者が遠くに行くのを許すとは思えないわね」
「それもそうか」
王都を守るのが勇者の仕事だからな。王都を離れるのは難しいか。
「とりあえず、宣伝ってことで話してみるわ。他にも考えがあるもん」
「王様を襲ったりしたらダメだよ?」
アイリが召喚されたときに一緒に召喚されていた大剣はこの部屋にある。アイリが大剣を王様に振りかざす姿なんて考えたくもない。
「そんなことしないわ。ユイトに迷惑はかけたくないもの」
「そうしてくれると助かるよ。じゃあ、俺はそろそろ帰るね」
いつまでもここにいたら誰かに見つかるかもしれない。そろそろお暇するか。
「ユイト!」
立ち上がった俺の腕を、アイリががっちりと掴んだ。
「なに?」
「先にこの街を出て行ったりしないでね。待っててね。一緒に旅に行こうね。あと、それから……」
「大丈夫。待ってるから」
「……うん!」
アイリは安心したのか、俺の手を放して元気に返事をしてくれた。
誰も知っている人のいない世界に放り出されたと思った中で、知っている人に出会えたんだもんな。さぞかし不安だっただろう。
アイリに俺の泊まっている宿屋の名前と場所を教えて、アイリの頭を撫でてから俺は部屋を後にした。
撫でられたアイリは嬉しそうだった。
アイリは昔から頭を撫でられるのが好きだったなぁ。
帰りも【マップ】と【インビジブル】のおかげで誰にも見つからずに最短で帰ることができた。
途中でユリア様の様子を見に行こうかと思ったが、招待もされていないのに訪ねるのは失礼かと思ってやめた。
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「ただいま」
「おかえりなさいませ、ご主人様」
「おかえり!ユイト」
宿屋に帰るとローリアとメリーが迎えてくれた。
「また1人仲間が増えるかもしれないけど、いいかな?」
「女性ですか?」
「女の子だよ。ユイトだもん」
ローリアの質問にメリーが当然と言わんばかりに言った。
俺はパーティーメンバーに女性しか誘わないように見えるのだろうか?
なんかとても不服だ。
「いや、まあ、女性なんだけどさ」
「ね?言った通りでしょ?」
メリーがローリアに胸を張っていった。仲良くなるのはいいけど、そんなところで通じ合わないでよ。
「アーレは?」
「アーレさんは知り合いのエルフさんに会いに行きました」
「そうか」
アーレも用事があったんだな。それでも、ちゃんと行き先を言う辺りは真面目なアーレらしい。
寝る前にメリーが当たり前のように、こっちのベッドに潜り込んできた。別に構わないけど、いったい何のために2人部屋を取ったのか分からなくなるな。
翌日。
「おはよう、ユイト」
「……おはよう」
さも当然のように支度を整えたアイリがやってきた。
一体どうやって説得したのだろうか?昨日の今日でできることなのかな?
アイリが俺に抱き着いてきた。
「これでずっと一緒に入れるね」
アイリが一心に俺を見つめてくる。
「もうすでに攻略済みとは……。流石、ご主人様……」
「あと何人連れてくる気かな?」
「ユイトさんですから、予想できませんね」
ローリア、メリー、アーレの呟きは小さくて俺には聞こえなかった。
こうして新たに勇者が仲間に加わったのだった。
久しぶりで書き方の要領がよく分からなくなってしまいました。
現在のメンバーはユイト,ローリア,アーレ,メリー,アイリです。
ハーレムものらしい構成になりましたね。




