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異世界魔法で曲芸士!  作者: 常世 輝
王都ユーラング
49/87

勇者に別れを

お陰様で総合評価が100ptを超えました。

有名な作者と比べたら少ないですが、最初の方は全然増えない状態だったので、嬉しいです。

これからもよろしくお願いします。

 


「やめ!」

 法弥がいつものように休憩の合図言った。

「ふう」

 俺は息をついて休憩する。


 訓練を始めてから15日が経った。毎日来ては特訓して、俺には訓練がかなり身になっている実感がある。


「そういえば、結糸はスキル【勇者剣技】何レベになった?」

 法弥が首を傾げて質問してくる。


「【アナライズ】」

 そういえば、俺も確認していなかったなと思って【アナライズ】を発動する。




 名前:世良 結糸

 種族:人族

 年齢:15

 レベル:96

 状態:良好


 ステータス

 MP:SSS

 魔力:SSS

 攻撃力:SSS

 守備力:SSS

 魔法攻撃力:SSS

 魔法防御力:SSS

 敏捷力:SSS

 ラック:63%

 〈スキル〉

 ―魔法―

 全属性魔法(10)、

 ―戦闘―

 体術(9)、勇者剣技(10)、剣術(8)槍術(4)、斧術(2)、鞭術(3)、棒術(5)、杖術(3)、盾術(5)、鎌術(1)、弓術(5)、棍術(5)

 ―技術―

 魔力応用(10)、魔法陣(8)、鍛冶(6)、装飾(7)、裁縫(6)、演奏(7)、歌唱(7)、算術(7)、錬金術(6)、料理(8)、家事(8)、薬学(6)、舞踏(8)、鑑定(8)、手加減(7)、夜目(9)、回避(8)、御者(7)、歌唱(6)、絵画(6)、演劇(6)、自己治癒(8)、剣舞(9)

 ―耐性―

 毒耐性、魅了耐性、麻痺耐性、恐怖耐性、全属性耐性、

 ―その他―

 異世界知識(中)、言語理解(上)、霊視、精霊視、魔力視、

 〈適正〉

 全魔法、全武器、魔法、演奏、片手剣、



 え?


 俺の時が止まった気がする。絶句してしまったのだ。


 ステータスが大変なことになっている。高すぎる

 レベルが96というのも高すぎる。

 スキルのレベルもいくつか上がっているし、スキル【剣舞】がレベル9で追加されている。

 スキル【勇者剣技】もすでに10レベルだ。

 称号の街を救った者っていうのは、ハーニカの街の事か。


「おーい。おーい。結糸?結糸さーん」

「あ、ごめん」

 呼び掛けてくれた法弥に礼いう。


「どうした?」

「実は……」

 俺は全て話した。



「やっぱりお前のほうがチートじゃねえか!」

 話を聞いた法弥が絶叫を上げた。

「お前がいたらこの世界の勇者いらねえよ!」

 そしてテンションが高い。メロさんを思わせる反応だ。


「いや、俺もこうなってるとは思わなかった」

「なんでお前のほうが唖然としてんだよ!」

 俺が惚けていると法弥から突っ込みが入った。


 どうせ大抵の相手に勝てるステータスだと思っていたし、特に確認する必要がなかったから全然気づかなかった。


「あーあれか。もうお前には教えることはないってやつか」

 そういって法弥は項垂れた。もうすでにスキル【勇者剣技】はレベル10だ。教わる必要はないだろう。


「なんかすまない」

「あーもういい。気にすんな」

 そういって法弥は気持ちを持ち直した。切り替えの早いやつだ。


「じゃあ、成仏するか。もう教えたし」

 法弥はさっぱりとした様子でいった。

「何か未練はないか?出来ることなら頑張るぞ?」

 何か未練があるなら俺が晴らしてやろう。法弥のためなら努力するくらい仲良くなった。


「あーあるけどな。妻と息子とは話せないしな」

 そういう法弥は王都の方向を向いて遠い目をした。その表情には憂いを感じる。


 法弥は地縛霊みたいな存在になっており、どうしても森を離れられない。もし可能ならば、俺は王都で法弥を発見していただろう。


「そうだ。ついて来てくれ」

 そういって法弥はふわふわと移動した。すっかり幽霊に慣れているみたいで、足を動かしていない。クルスさんと同じだな。


 ついて行って森を進むと、拓けた場所に出た。

 地面には隕石でも落ちたかのような窪みがいくつもあって、周囲の木々もなぎ倒されていて、明らかにここら一帯だけ異常だ


「ここは?」

 俺は連れてきた張本人の法弥に尋ねる。

「悪魔との死闘の場所、俺の死んだところ」

 そういって、法弥は茂みに入っていった。


「あった!ゆいとーこっちきてくれー!」

 茂みをキョロキョロと探した後に、俺を呼んだ。俺は言われるまま近づいた。


「これ。これを俺の息子のエドワードに届けてくれ」

 そういって法弥は落ちている1つのネックレスを指さした。法弥の息子の名前がエドワードだというのは初めて知った。


「これは?」

 俺はネックレスを拾って法弥に尋ねた。


「【疾風のネックレス】だ。まあ、妻にお守り代わりに貰った。俺が引退するときにエドワードにあげることになってたんだ。俺の形見だな」

 そういって不適に笑った。


「わかった。必ず届ける」

 俺にしかできないだろう。今まで俺と勇者の面識がなかったので、俺があらぬ疑いをかけられる気がするが、それくらいなら引き受けてやろう。


「ああ。頼む」

 そういって法弥は頭を下げた。今までにない神妙な気配だ。


 俺も前世で死ぬときは悲しかった。俺は家族に看取ってもらえたが、法弥はそうはいかない。


「ああ。まかせろ」

 俺はそう強く答えた。


「じゃあ、成仏させてくれ」

 法弥は顔を上げるとそういって笑った。

「いいのか?」

 成仏させると言ったのは俺だが、ここまであっさり言われると聞き返してしまう。


「早くしてくれ。決心が鈍る」

 法弥はそういって腕を少し広げた。魔法を受け入る態勢だろう。


「わかった」

 そう答えて、俺は手を組んで祈りの体制に入った。成仏させるための魔法に名前を付けていない。クルスさんの時と同じように、魂が癒されるように祈った。


 法弥の身体から白い光が溢れる。魔法が発動している証拠だ。


「おーこんな感じなんだな」

 法弥は身体を見下ろして感想を漏らした。


「あー死ぬんだな。いやもう死んでるのか」

 法弥はボロボロと涙を零した。


「ありがとうな。結糸」

 こちらに笑顔を向ける。涙を隠そうともせず、拭う様子もない。男泣きだ。


「最期にお前に会えてよかったよ。あとさ」

 そういって歯を見せて笑った。

「家族にごめんって伝えてくれ」

 そして、法弥は目を閉じた。もう思い残すことはないのだろう。


 法弥の身体が足から光に変わって天に昇っていく。


「まかせろよ」

 俺はその光に、法弥が背を向けて去っていく様子を幻視して、その背中に声をかけた。


 法弥がこちらを向かずに、手だけ上げて返事をしたような気がした。


「……ローリア、アーレ、王都に戻ろうか」

 俺は感傷に浸ってから、2人に声をかけて王都に戻ることにした。




主人公のステータスを爆上げしました。驚かせようと思ってこの回までステータスを表示しませんでした。

詳しくステータスを覚える必要はありません。めちゃめちゃ強いことが分かれば大丈夫です(笑)。

これだけ強ければ旅を満喫できますね。


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