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異世界魔法で曲芸士!  作者: 常世 輝
ハーニカの街
24/87

ハーニカの街での日々 装備とレクチャー

ハーニカの街での一か月の内の四日ほどをピックアップします。

今日中に四話ほど投稿する予定です。

ここ一か月くらいはローリアと魔法の練習をしたり、冒険者として依頼を受けたり、ダンジョンでアイテムを探したりいろいろなことがあった。その一部を紹介しよう。



――――――――――――――――――――――――


ある日


今はダンジョンの35階にいる。30階のボスは魔法であっさり倒してしまって面白くなかった。ドロップアイテムで大きな爪が出たぐらいだ。


35階に入ると【マップ】と【アナライズ】を使って探索していると地図に灰色の点が写った。この点はダンジョンの宝箱の反応だ。便利な魔法だ。


宝箱のある所に向かうと、無機質な小さい宝箱が置いてあった。

俺は宝箱に【アナライズ】をかける。異世界物のラノベでは大抵罠があるものなのだ。案の定、罠があったので解除して宝箱を開ける。


宝箱には小さな袋があった。少しがっかりしていると、この袋には見覚えがあった。これは俺も持っている道具袋だ。見た目以上の容量が開け口の大きさに関わらず入る優れものだ。


中身を確認すると様々なものが入っていた。片手剣、短剣、杖、謎の玉、ローブ、宝石、楽器、鉱石と中身は豪華だった。すべてダンジョンの魔法道具だ。


俺は次々と【アナライズ】をかけた。


名前:霊剣・ヤタガラス

種類:片手剣

ランク:A

概要:神が遣わした鳥の名を冠する霊剣。刀身には霊にすら攻撃が可能で、斬られたものは天に導かれるとされている。魔力が通しやすく、強化魔法を付与しやすい。


名前:ミスリルの短剣

種類:短剣

ランク:A

概要:名工に鍛えられたミスリルでできた短剣。ミスリルのため軽く切れ味が抜群で、魔力が通しやすい。


名前:ディザスター・トレントの杖

種類:長杖

ランク:A

概要:S級の魔物ディザスター・トレントを原料として作られた杖。先端の宝石はディザスター・トレントの魔核であり、杖はディザスター・トレントの硬い幹を削って作られている。魔力が通しやすく、魔法の発動が容易になる。


名前:守りの宝珠

種類:宝珠

概要:守りの効果を付与する宝珠。服や盾に使うことで対象の防御力を上げることができる。


名前:炎氷のローブ

種類:防具

ランク:C

概要:火と水の精霊の加護を得たマント。加護によって火の攻撃や氷の攻撃を軽減する。合わせて装備者の気温の変化から防ぐ。


名前:エルフのヴァイオリン

 種類:楽器

 概要:エルフが作ったヴァイオリン。材料は音の響きが良い精霊樹であり、弓にはユニコーンの尻尾が使われている。音楽を好むエルフが重用するとても価値のあるヴァイオリンである。



その他には金、銀、銅、ミスリルがあり、宝石は様々な原石だ。


俺は思わぬ収穫だ。すべてがランクC以上。これほど重畳なことはないだろう。


【霊剣・ヤタガラス】と【守りの宝珠】と【エルフのヴァイオリン】は自分に、【ディザスター・トレントの杖】と【炎氷のローブ】はローリアにあげよう。


俺はさっそく宝珠を着ているローブに使って霊剣を腰に差した。宝珠は消えてしまった。早速ローブを【アナライズ】する。


名前:守りの森の民のローブ

種類:防具

ランク:C

概要:守りの効果が付与されたローブ。頑丈に作られた森の民のローブに守りが付与され、並みの剣では歯が立たなくなった。


なかなかファンタジー主人公っぽい装備になった。チートというにはほど遠いが、かなりの便利装備だろう。


このあと、宿屋に残して魔法の練習をしてもらっていたローリアに杖とローブを渡したら大変感謝された。


―――――――――――――――――



そしてある日


「よお、ユイト」

宿屋に冒険者4人が訪ねてきた。この4人はダンジョンで助けた冒険者だ。ザック、エクス、トライ、アーレだ。


「どうしたんですか?」

「どうしたって、この前の礼に来たんだよ。忘れたのか?」

別に忘れていたわけではない。ただ、あまり気にしていなかっただけだ。

「そうでしたね。忘れられたかと思いました」


「はっは!忘れるわけがないだろ。命の恩人だしな!取りあえずこれは礼だ」

ザックが2本のポーションを取り出した。魔力回復ポーションと中級回復ポーションだ。俺が渡したのは下級回復ポーションだが、回復魔法の代金ってことで貰っておこう。

「はい。確かに受け取りました」

「それでよ……他に俺らにできることはないか?命の恩人に貰ったものを返すだけってのはよくねぇ」

エクスが尋ねてきた。確かに救われたら何かしたいというのはわかる。


「そうですね……じゃあ狩った魔物や獣の処理の仕方を教えてください」

空間魔法で収納した魔物が大量にある。食料になるからできれば処理して食べてみたい。

 「そんなことでいいのか?ギルドで聞けばいいだろう?」

「実際に見るのとでは違いますよ。魔物の死体もありますから、実際に処理して教えてください」

ついでに処理してもらおう。


「……わかった。じゃあ街の外に行こう。ここじゃあ血の匂いがひどいしな」

要求が簡単だからか納得がいかないようだが、了承してもらえてよかった。


俺たちは街の外に出た。いつも彼らが解体に使う場所があるそうなので付いていくことにした。どうやら森のすぐそばのようだ。


「よーし!着いたぞ。さあ、魔物を出してくれ!」

彼らには道具袋に入っていると言ってある。

「ああ」

短く答えて、俺はゴブリンを取り出した。

「ゴブリンか?お前今まで狩った魔物をどうしていたんだ?」

俺はダンジョンの23階で彼らを助けているので、それだけの人がなぜか最弱のゴブリンを出したのだ。この反応も頷ける。

「ああ。まだあるんだ」

ダンジョンの途中で倒した魔物を次々と出す。奴隷商人を助けた時の狼の魔物も一緒に出した。

「な、なんだこの量は……」

今度は魔物の多さに驚かれてしまった。


 「今まで貯めていたんですよ。」

悪びれもせずに言ってみた。

「じゃあなんで腐ってないんだよ!」

エクスに痛いところを突かれてしまった。道具袋は時間が流れる。空間魔法は時間が流れない。しっかり覚えておかないといけないな。


「冒険者には秘密は付き物ですよ」

内緒のポーズを作って誤魔化した.

「あーまあ、秘密を探るのはご法度だけどよお」

冒険者の秘密を探るのはご法度だ。問題や争いになるから。異世界物のラノベで読んだテンプレだ。


「いいや。めんどくせぇ。じゃあゴブリンだけどよ。魔核を抜いたら捨てちまえ。食ってもまずいし。使えるものもないな」

確かにゴブリンはまずそうだ。

「んで、このウルフは首や手を切って血抜きだな。毛皮も使えるから、皮の剥ぎ方と鞣し方も教えよう。それから……」


こうして魔物や獣の処理の仕方を教えてもらった。血の抜き方や皮の剥ぎ方はかなり面倒くさそうだ。手に臭いもつく。これからは全部魔法で処理しよう。


そして、部屋に戻って魔法の練習として血抜きの魔法と皮を剥ぐ魔法を考えたのだった。



当面の装備がそろいました。

ばらばらに一つ一つ集めるのも面白そうだったんですが、

長くなりそうなのでやめました。その代わり,とてもご都合主義な展開ですね。

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