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異世界魔法で曲芸士!  作者: 常世 輝
ハーニカの街
13/87

ダンジョンは出会える

 まずは2階に向かうことにした。1階は多くの冒険者がいて、早く降りたい冒険者に混ざってすぐに2階に降りることができた。


 俺は冒険者たちから離れて違う道を選ぶ。そして魔法を使う。

 「【マップ】!」

 脳裏にダンジョンの2階の詳細な地図が思い浮かぶ。魔法の練習をしていた時に思いついたことを実践する。

 「【アナライズ】!」

 対象は頭に浮かぶ地図だ。

 地図に点や線など様々な情報が追加される。赤い点は魔物、黄色い点は人、黒い点が自分、線で鉱石を示している。

 さらにピンポイントで【アナライズ】したら、人の情報もわかるだろう。消費魔力は大きいが俺の総魔力からしたら微々たるものでしかない。


 ちなみに、俺の魔力の回復力は以上に高い。今もぐんぐん回復している。これも森の民の秘術の功名だろう。もしかしたら何人分もの回復力を持ち合わせているのかもしれない。


 早速脳裏の地図を確認しながら鉄鉱石の採掘ポイントに向かった。ダンジョンの探索は依頼のノルマを達成してからだ。採掘ポイントには先客がいて魔物と交戦しているようだった。


 ポイントにつくとゴブリンと女性が戦っていた。ゴブリンの数は三体で、女性は押され気味であった。


 俺は【アナライズ】を女性に向かって発動した。


名前:メリー

種族:獣人族(狼族)

年齢:14

レベル:10


ステータス

MP:F

魔力:F

攻撃力:E

守備力:E

魔法攻撃力:F

魔法防御力:D

敏捷力:D

ラック:

〈スキル〉

 ―戦闘―

体術(2)、剣術(1)、

 ―技術―

料理(2)、家事(2)、夜目(3)、

〈適正〉

短剣、隠密、加速

〈称号〉

Fランク冒険者、



 レベルもステータスも低い。頑張っているが流石に辛いだろう。


 俺は近づいて背後から1体のゴブリンを斬り捨てた。他のゴブリンは俺に気づくが、構えをとる前に俺に頭をはねられた。Fランクの魔物なら俺の相手にもならないようだ。


 女性に近づく。

 「えーと。助けたつもりだけど大丈夫だった?もしかして、余計なお世話だったかな?」

 魔物との戦闘に横やりを入れるのはマナー違反だ。前世で読んだラノベの知識だが、素材の分配で大抵揉める。倒す前に聞くべきだったが、余裕がなさそうだったので倒してしまった。


 「ありがとうございました!」

 女性は満身創痍だったがしっかりとお辞儀しながらお礼を述べた。身長は155センチくらいで、青っぽい白髪のショートで活発な印象を受ける。耳はぴくぴくと、しっぽはぶんぶん動いていて可愛らしい。


 「俺はユイト。君は?」

 「私はメリーです!」


 メリーは興奮気味に名乗ってくれた。【アナライズ】で調べたから知らないはずなのに、うっかり名前を呼んでしまったら怪しい。はやく名前を聞けてよかった。


 「助けてくれてありがとう!」

 「ああ、間に合ってよかったよ。大丈夫かい?」

 「えーと、あの大丈夫じゃないかもです……」

 お礼を述べた時はテンションが高かったのに、状態を聞いたらしょんぼりしてしまった。浮き沈みの激しい子なのかもしれない。


 「ああそうか。じゃあ帰ろう。出口まで送っていくよ」

 「え!いいの?」

 驚いたときとかに敬語が外れる。こっちが素なのかな?


 「ああ、出口までの道もわかるしね」

 「ありがとうです!」

 俺はメリーの取ってつけたような敬語に笑みがこぼれる。


 「じゃあいこうか。敬語はいらないよ。俺はFランクだからね」

 「そうなの?私と同じだね!すごいな~」

 無理して敬語にしていたのかすぐに敬語はなくなった。素直な子で好感が持てる。素直に褒められると照れくさいな。


 脳裏で地図を確認しながら出口に向かった。ダンジョンの階段は上りと下がりのそれぞれ1つだが、それに至るまでの道は多岐にわたる。地図で先行して魔物を発見できたので大回りして避けた。メリーは疲れているから戦わせたくないし、俺だけ戦って罪悪感を持たれたくない。


 道中はメリーと話しながら歩いた。

 「ユイトは強いんだね!まるで勇者様みたいだったよ」

 「勇者様か。勇者様ってどんな人?」

 面白い話題が出たので勇者について聞いてみる。


 「大都で召喚された勇者様だよ?大都の周辺は勇者様が魔物を狩っているから安全なんだって。盗賊も大都の周りにはいないらしいよ」

 知っていて当たり前みたいだ。召喚ってことは俺と同郷なのかな。


 「かっこいいね」

 「うん!らしいね!」

 どうやらメリーもあまり知らないようだ。


 「……ユイトは人族だよね?獣人は嫌じゃない?」

 少し暗い顔をしながら訪ねてくる。

 「え?なんで?」

 ラノベが大好きな俺は寧ろ本物の獣人族に興奮している。尻尾をもふもふしたいし、耳をぐりぐりもしてみたい。ラノベの主人公はそうしてコミュニケーションしていた。


 「人族は他種族を嫌っているもん。獣人は魔力が少ないから魔法道具も碌に使えないって言われるの」

 人族は最も優れているみたいな思想があるようだ。獣人族は五感や運動能力が優れているらしいから一長一短だと思うんだけどな。魔法道具が発展している世界だから、それを使えないのは論外なのかもしれない。


 「獣人族も人も他種族も別に関係ないかな。いつか獣人族の国にも行ってみたいし」

 「そうなんだ!本当に勇者様みたいだ。」

 そういうメリーの表情は明るくなっていて、こっちまで嬉しくなる。

 ちなみに、なぜそれで勇者様みたいなのかというと、勇者の従者に獣人族がいるらしい。


 そうこう話している間に1階の出入り口に着いた。

 「じゃあ、俺は戻って依頼の続きをするよ」

 俺は一緒に出ないで再び戻ると伝える。

 「ごめんね。まだ依頼の途中なのに付き合わせちゃって。今度何かお礼するね」

 メリーは少し落ち込んだ顔だ。喜怒哀楽の激しい子だ。

 「気にするな。メリーを襲っていたゴブリンの魔核は俺が貰ったんだし、いい稼ぎになったよ」

 そういって手を振って再び俺はダンジョンに潜った。


 ダンジョンに潜って最短で鉄鉱石の採掘ポイントに向かった。道中の魔物はスパスパと斬って空間魔法に収納した。採掘ポイントに着くと、【アナライズ】で鉄鉱石の分布箇所を調べて10キロほど採集した。


 依頼も完了したので俺は更にダンジョンを潜ることにした。ここら辺の敵は相手にならない。慢心してはいけないけど、流石にこれでは鍛えられない。

 しかも、奥の階層のほうがレアリティの高いアイテムが出るらしい。アイテム狙いの俺はどんどん奥に進むことにした。


※ステータスは修正することがあります.

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