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聖女さまにモブ子という名前をもらいました

作者: Shiki

ヒロインは無教養。駄文。誤字脱字多。当作品で不快感を感じる方は読むのをお控えください。

 異世界『日本』からいらした聖女さまは朝起きるのが苦手です。聖女さまを起こす際には、体に痣ができます。

でも最近は蹴りをかわすタイミングが分かり痛い思いをしないですんでいます。


 聖女さまはこの世界の寝具『ベット』が異世界『日本』の寝具『布団』と違うから夜ぐっすり眠れないそうです。だから朝早く私たちが起こすのが悪いとおっしゃいました。

 『現代』異世界『日本』ではお昼にみなさま起きるそうです。


 歴代の異世界聖女さま方は、きちんとこちらの世界の人と同じように生活されていたのですが、異世界『日本』とこちらでは時の過ぎ方が違うようなので、歴代聖女さまたちは大昔の人だから生活習慣が違うそうです。もちろん歴代聖女さまも異世界日本出身です。


 私が聖女さまの侍女になる前は毎朝、起こす係をジャンケンで決めていたそうです。今は私のお仕事です。


 もちろんこのジャンケンと言う素晴らしい選択方法も、歴代の異世界の聖女さまが教えて頂いたものです。歴代の聖女さまたちは本当に素晴らしい方々ばかりで、この世界にいろいろな文化を広めてくださいました。


 特に娯楽です。オセロ、トランプなどのゲーム。サッカー、野球など外で体を動かすスポーツ。他には食べ物です。ピザ、ハンバーガーなど手掴みの食事などなど。おもしろいお話もしてくれました。特に異世界日本には、飛行機と言う空を飛ぶ船や、携帯電話などの遠くの人と話たり一瞬で絵を交換したりする物などがあるそうです。


 異世界『日本』は大昔から文化の発達が優れた世界のようです。さすがに聖女さまがお生まれになった世界です。

 だから今回の聖女さまは歴代聖女さまより、さらに進んだ未来からいらっしゃったので私たちにすごいことを教えてくれると期待して楽しみにしています。

 でも今回の聖女さまは何も教えていただいていません。きっとすごい技術をお披露目するために時間が必要なんでしょう。


 ちなみに聖女さまがこの世に降臨するのは六十年に一度です。前任聖女さまがこの世界からいなくなった時に次の聖女さまが現れます。

 時によってはこの世界から聖女さまをお選びになる場合もあるそうです。先代の聖女さまはこの世界出身の方で半年前に亡くなりました。


 私は洗濯の下女として十六歳から三年間お城でお勤めをしてきましたから、体力はあります。十九年間、同性のみなさま方々からの「蹴り」「平手」「足ひっかけ」などなどの訓練のおかげで「避ける」「逃げる」「隠れる」「空気同化」などの防御スキルを持っております。スキルと言う用語は歴代聖女さま方がお使いになられた単語です。

 下女の私が聖女さま専用の侍女になれたのは、いままで出会った同性の方々のおかげです。

 まれにみない出世なので、頑張ってお勤めをしようと思います。


 こうして慣れない丁寧語尊敬語なども使いこなせるように勉強しています。

 田舎育ちの私が、今では聖女さま付きの侍女です。他の聖女さま付きの侍女たちは寿退社などの理由でこの三カ月の間に何人も次々お辞めになったそうです。ちょうど聖女さまが来られた同じ時期と重なります。そのようにみなさまが寿退社なされるのはなにか聖女さまのお力なのでしょうか? おめでたいことです。

 残念ながら田舎育ちの無知な私は一体聖女さまがどなことをなさるのか知りません。


 結局今いる聖女さまお付きの侍女は私の他二人です。他の二人は年配の方々で、華やかな聖女さまの近くのお世話は若い私に譲ってくれました。

 二人は裏方の仕事をしてくださっています。本当にやさしい方々ばかりです。

 


「ちょっと!! 毎朝パンばかりで飽きたわ!! ご飯が食べたいわ! みそ汁と納豆が食べたいって言っているのよ!」


 聖女さまがパンを私の方に投げました。今日の恵みです。今は聖女さま付きの侍女になれましたのできちんとお城の食堂で朝ご飯を食べれるので、この恵みは後で城の周りにいる浮浪者の子どもたちに分け与えたいと思います。

 本当に聖女さまは慈しみ深い方です。

 いつかおやつの時間と言う異世界の貴重なお食事の時間に、クッキーやケーキを恵んでいただきたいと、密かに毎回思っています。

 クッキーやケーキなどは歴代の聖女さまが教えてくださった食べ物です。砂糖は高価なので庶民の、ましては田舎者の私は食べたことがありません。聖女さまがきっと、いつか、他の食事のように私に恵んでくださるはずです。そう信じて今日もお努めを頑張っています。


 ご飯と納豆とみそ汁は、異世界人は全員食べる物だそうです。ぜひ聖女さまにその料理をこの世界に広めて欲しいです。

 作り方などを料理長がお尋ねになりました。ご飯は南の国の主食でした。数百年前の聖女さまがいる時に調べていたそうです。

 でもご飯は我が国では全然広まなかったようです。

 みそ汁と納豆の製法をお聞きしたら、「納豆、腐らすの! なんで私があんたたちに作り方を教えないといけないのよ!」と怒られました。

 それはごもっともです。大切な料理方でお金儲けができると商家で働いていた私は知っています。


「なんでこんなにキツいドレスを着ないといけないの!」


 聖女さまの部屋の続き部屋は、聖女さまの衣装室に今はなっています。この世界に降臨されて三カ月たちます。その時にお作りなられたドレスは、聖女さまに合わないそうです。

 聖女さまは流行遅れとおっしゃっていましたが、他の侍女たちは食べ過ぎとおっしゃっています。私は侍女服二着と灰色のワンピースしか持っていないので、高貴な方々の話は分かりません。


 聖女さまは、「逆ハーレムを作るためにおしゃれが必要なの!」と今日も街から装飾職人が午後いらっしゃります。


 『逆ハーレム』は異世界日本の女性で流行している文化だそうです。どのような文化かお尋ねしましたが、「モブ子には一生縁のないことよ」と言われました。


 読み書きのできない私には、とても理解できないことなのでしょう。両親が生きていた時は畑仕事を手伝い朝から晩まで働いて。両親が魔物に殺された後に町の商家で下女として働いていた時も朝から晩まで仕事が忙しく字を学ぶ時間などありませんでした。


 その商家の大旦那さまが王都に店を構えて、私も一緒に大都会へ引越ししてきました。三年前に大旦那さまがお亡くなりなられて、後を継いだ旦那さまが金や女に甘い方でいつのまにか私は職なし家なしになりました。



 その後に運よく城の洗濯下女を募集しており、衣食住付きのすばらしいお仕事にありつけました。

 お城の洗濯は永遠に休憩を取ることなく次々と洗濯をひたすらするだけです。もともと頭のよくない私に合った仕事です。

 特にお城の隅の隅の仕事場だったので人気が少なく、私は安心して仕事ができました。


 私は人様に顔を表すのを極端に恐れています。歴代聖女さまの教えてくださった童話の「メディーサ」の容姿をしています。

 幼い時に両親に決して人に顔を見せてはいけないと言われて、私はつねに前髪で顔を被っています。近所の男の子たちが意地悪で顔を見られた時、その子たちが固まりました。そして顔が赤くなり熱を出しました。それからその子たちは、私に話かけなくなりました。話しかけても吃り、私の方を見てくれません。

 その経験から決して他の人に顔を見せないようにしています。鏡など高価な物は持っていませんので自分の顔をきちんと見たことがないので私は自分の顔を見て病気になることはありません。


 聖女さまの侍女になるために、聖女さまの面接を受けました。


「貞子だ! 彼女は私の侍女にしてあげる。名前は」


 自分が選ばれてうれしくて名前を名乗ってなかったことに気づき急いで教えようとしたところ。


「モブ子でいいわ」


 聖女さまにお名前をつけてもらいました。「貞子モブ子」意味をお聞きしたところ、異世界日本で有名な方の名前とあだ名だろうです。

 これほど私を気にかけてくださり、感謝です。

 

 聖女さまは昼に起きてお風呂、衣装選び、商人と会合、衣装選び、お化粧などなどをしてお昼を過ごします。 


 このお風呂は結構大変な仕事です。歴代の異世界聖女さまたちも毎日お風呂に入られました。わざわざ聖女さまのお部屋までお湯を運ぶのは大変と気を使われて、大浴場というお風呂場を作られました。今までの異世界聖女さまはそこに毎日足を運んでくれました。

 でも今回の聖女さまは、歴代の聖女は「大昔の人だから、家にお風呂がないから大浴場で平気なのよ。あたしは違うわ!」とおっしゃりました。

 大浴場には歴代聖女さまが教えてくださった『シャワー』があってよい所なのに。と思ってしまいます。


「異世界に勝手に呼ばれて、あたしのことを誘拐して。お風呂くらいいいでしょう!」


 と言われ、私たちは何も言えません。王さまが特別に聖女さまのお風呂係にと30人の人を雇いました。大浴場は熱いお湯がわく泉の近くにあり、それをひいています。でも聖女さまのお風呂は井戸から水をくみお湯を沸かして聖女さまのお部屋の二階へ運びます。

 お風呂の後はそのお湯を外に捨てるために一階へ運びます。でも私が侍女になった後にお湯は掃除などに使うように提案しました。

 この提案はお城に務める下女や下働きの方々に感謝されました。


 夕方にこの国の第一王子と側近たちと近衛兵たちが聖女さまのお部屋へ訪れます。みなさまお仕事の後に、こうして毎日聖女さまにお会いになられて、本当に素敵な方々ばかりです。


 その他に神殿からも神官さまや神官騎士たちも聖女さまに面会にきます。


 聖女さまは神子降臨の儀式までお城に滞在しています。聖女さまのお仕事は神子さまの通訳だそうです。神子さまは魔物を狩る時に、魔物の力を抑えることができるそうです。


 と神官さまが聖女さまに説明されました。残念なことに同じ部屋に控えている私も真剣に説明を聞きましたが、意味がほとんど分かりませんでした。


「神子さまはわたくしと同じ異世界の女性ですか?」


 聖女さまが真剣な顔で神官に質問されています。いつも神官さまが聖女さまに会う時は、神官さまの腕にピッタリとくっ付いたり、前屈みになり下から神官さまを見上げて柔らかい微笑みを浮かべているのに今日は違います。でも胸がポロリと落ちそうなドレスは同じですけれど。


「いいえ、違います」


 神官さまの声を聞いた女性は、足に力が入らなくなり倒れると言う噂を聞きます。そして彼の顔を見たら鼻血が出るそうです。

 私は常に地面しか見ていませんので鼻血は出たことがありません。たまに聖女さまと神官さまのお世話をする時に神官さまの顔を見ましたが鼻血は出ませんでした。


 人の顔、特に男性の顔をじっくり見る機会がなかったので、私には人の顔についての美醜の判断があまり分かりません。


 ただ聖女さまのぽっちゃりした顔は裕福な美なのだと思っています。ぽっちゃりとついた低い鼻。化粧栄えする太い唇。アイシャドーがはっきりする一重の目。聖女さまの目の色は黒色と聞いたことがありますが、皆さまはどこが目なのか分からないと言う人もいます。皆さまも私と同じで高貴な方の顔を見れないようです。


 聖女さまの不思議な美は、なにより髪の毛です。この世界はほとんどの人が黒髪黒目か茶色です。色は白いですが日焼けもしますので、外で働く農民や騎士たちは浅黒いです。

 私も農民の子でしたが、人目を避けてるように常に顔を布で隠していたので白いです。髪の毛は黒くてまっすぐです。異世界の有名人の貞子さまも同じ容姿だそうです。

 

 聖女さまの髪の毛は金髪でクルクルでした。歴代の聖女さまは、ほとんどが黒です。たまに薄い茶色をした方もクルクルした髪の方もいたそうですが金髪の方は、はじめてだそうです。


 その金髪クルクルが最近では生え際が黒い毛になっています。


 異世界に来た影響で、髪質がこちらの人と同じになったと嘆いていましいた。


「シャンプーとリンスがないから、ボウボウじゃない!」


 と嘆いています。シャンプーとリンスについて神官さまが調べたところ、歴代の聖女さまの中にそのような物を作った方がいたそうです。残念ながら世間には広まりませんでした。秘密にされていたのでしょう。


 私も市販で売っている石けんで髪を洗っていますが、ボウボウにはなっていません。聖女さまに市販の石けんでも大丈夫ですよ、と教えましたら。


「貞子は油べっとりがセオリーなの!」


 と返事をいただきました。油べっとりがセオリーとはどう言う意味なんでしょう? やはり私はまだまだ勉強する必要がありそうです。


 神官が聖女さまにシャンプーとリンスを材料を用意しますので、ご自分でお作りになるようにすすめましたら。


「なんでわたくしが下々の労働をしないといけないのですか! わたくしはここに無理やりつれて来られたのよ」


 と神官の胸に飛び込み泣かれました。神官さまが聖女さまの柔らかい体に抱きつかれて固まっていました。よっぽど嬉しかったのでしょう。

 聖女さまが泣き止んだ後に、不思議なことに神官の服は濡れていませんでした。聖女さまは、異世界人は泣く時に涙を出さないで泣けるようです。


 話が脱線しまくっています。私は無学なのでついつい思ったことをだらだらと、言葉の勉強のようにつづっていますのでお許しください。と言っても誰も私の書いたこんなくだらない駄文を読む方などいないので好き勝手に書きます。


 神官さまによれば神子さまはいろいろな姿で現れるそうです。

 聖女さまは、もし今度の神子さまが女性だったら神殿の奥に幽閉してください。と言われました。女性の神子さまと下々の民となにかあったら大事なことになるそうです。


 でも聖女さまはまだ「仮」聖女なのです。神子さま降臨の儀にて、本物の聖女と認められるのです。

 


 神子さま降臨の儀に、なぜか城の侍女の私まで付いて行くことになりました。

 聖女さま曰く、「モブ子が側にいれば、あたしが引き立てられるのよ」と言う素敵なお言葉をいただきました。私の存在がいくらか聖女さまのお役に立てているようでうれしくなります。


 国の上級階級の方々のいる中で、私は部屋の隅で様子を伺っています。本当に一生に一度あるかないかの出来事で感動しております。


 神官さまがかなりお年をめされた神官長の代わりに儀式を行っています。はっきり言ってなにを言っているか分かりません。一番前にいる聖女さまはウトウトと瞑想されているようです。

 朝早くの行事にもかかわらず、今日はしっかりお勤めをされているようです。


 聖女さまは神子さまは「イケメン」と言う姿で現れるのが主義とおっしゃっていました。どうやら聖女さまには未来を見れる力があるようです。


 異世界日本には「乙女ゲー」という若い女性にしか見れない乙女バイブルがあるそうです。「異世界トリップ」イコール「イケメン逆ハーレム」と言う方式は決まっているそうです。

 これは男性の場合は「異世界トリップ」イコール「俺つえーれむ」なんだそうです。

 異世界の方々は言語にすごく秀でていて私にはさっぱり意味が分かりません。


「儀式が終わりました。聖女さま、神子さまはどちらにいらっしゃいますか?」


 と尋ねられました。


 聖女さまは「儀式しっぱいなんじゃな~い」と神官さまに言われました。


 一瞬、部屋が寒くなりました。


『別に失敗していないわ』


 と私の足元から声がして、私は「ギャアー」とすごい声を出してしまい。今、お偉い方々の視線の真ん中にいます。いいえ、私ではなく、足元にくっついている黄色い魔物です。怖くて体が固まって動けません。



「神子さまですね?」


 神官が私の前に来て足元にいる魔物に話かけます。


『そうですわ』


 と黄色い鼠に似た魔物が答えました。

 でも神官さまは何も言わずに、話かけています。そして聖女さまをが王子さまに腕を支えられながら近くに寄ってきました。


 数人の騎士たちが魔物に剣を向けたら、剣が解けてしまいました。

 もう部屋中は、何があったのか分からずにみなさま唖然としています。もちろん私も魔物が足にピッタリくっついているので、後ろに下がり逃げようとしましたが体が動きません。


「聖女さま。神子さまは何とおっしゃっているのか通訳してください」


 と神官が聖女さまにお尋ねになりました。


「知らないわ! それ本当に神子なの? それって、ピカ (ちゅん)だよ」


 聖女さまはこの生き物の名前を知っているみたいです。


『私、ピカって光ってチュっと泣く生き物じゃないわ。そんなパクリをしたら読者から盗作って避難メールの嵐よ。あなた、そこの異世界貞子、ちゃんと通訳するのよ』


 とチュウチュウとしか聞こえないはずの泣き声がそんな風に聞こえてきます。


「神子さまが私のことを異世界貞子と言うお名前をおつけくださいました。そして神子さまはパクリをすると毒者と言う方から殺されるそうです。神子さまは雷のように光る生き物ではないそうです」


 なぜか私の口が勝手に動きます。


『なかなかいいわ。そこの日本人の仮聖女は、失敗だったから。あなたが聖女になったの。だって、本当はダブル聖女で異世界トリップする予定だったのに。

 最近のアラサーはたくましくなって、穴の下に女子高校生と一緒に落ちてくれなくて。落ちそうになった時に、とっさに近くにあった電信柱に捕まって。

 美少女ヒロインもそのアラサーにしがみついて。気がついたら、寝ぼけたその仮聖女が穴に落ちてしまったのよ。

 私もいろいろダブルトリップのプロローグを考えたのに、どれも読者に文句言われそうな設定ばかりで、諦めて王道ヒロインで物語を書くことにしたの』

 

 私は神子さまに質問をしようと思って口を開こうとしたけれど口が開きません。


『ほら、最近、悪役令嬢に陰りが見え始めて、じゃあ昔からある聖女や神子設定だったら、非難なしに萌萌できそうでしょう? ん? 普通にハーレクイーンかハイファンタジー書いたらといわれるけれど、私には難しいの。ただ萌え萌えするだけでネット小説書いているだけだから、マジ難しいのだめ。

 息抜き萌え萌え。が好きなのに、滅茶苦茶小説書いていたら、チラシ裏小説書くな!て言う感想もらうし。だから王道聖女さまにして、少しひねってダブルヒロイン。

 ダブルヒロインで、高校生がかわい子で。もう一人がお局さま候補だったのに。トリップしたヒロインがーーー。私の予約した人物じゃないし。

 でも、なんと蓋をあけたらおもしろいシチューエッション。もううれしくて自分も神子ピカとして登場してみたの』


「君、まさか、君が聖女に選ばれたのか? ちょっと額の聖女の徴があるか確認させてくれ」 


 と神官さまに前髪をどけられた!


「きゃーー」


 丁寧な言葉を使っている暇がない。です。神官さまに顔を覗かれました。案の定、神官さまが固まっています。


『どう中二病見たいな額にある蓮の刺青。気に入っていただけた?』


「あなたこそが、聖女さまです」


「ちょっと、どう言うこと!! なんでモブ子が選ばれているのよ!! じゃあ、あたしはどうなるのよ!!」


 神官さまの前では「わたくし」と言っていたのに、「あたし」に戻っています。相当動揺しているようです……。


「元の世界に同じ時間に同じ場所に同じ状態で戻ってもらうわ」


 神子さまに勝手に通訳されて口が勝手に動きました。


「モブ子! あなたが全部いけないの! モブはモブらしくモブ役ちゃんとしてないから、あたしの逆ハーレムがダメになったんだから!」


「黙れ! ギャンギャン煩い!」


 いつも物腰が静かな神官さまが大声を出されて辺りがシーンとしました。


「な、なによ。勝手にこの世界に連れて来たのはあなたたちじゃない! その保証しなさいよ!」


『どうして、こんな肉食ヒロインしか私の小説世界に引っかかってくれなかったんだろう……。もうヒロインさん帰っていいよ。三カ月、お城に住んでイケメンたちにチヤホヤされて。いい夢だったと思ってね。

 ちなみに私の勝手でこの世界の住人には何も罪ないから』


 神子さまの言葉を伝える度に、聖女さまの顔が歪んでいきます。

 私は二人の会話をほどんど意味が分かりません。


「三カ月もギャップがあったら、今までの覚えていた勉強忘れるじゃない! せっかく浪人して勉強頑張ったのに。ここで永久就職できる予定だったのに。もう私も聖女に戻しなさい」


「大丈夫。三カ月前に頭の状態もそのままで戻すから。きっと側に電信柱にしがみ付いているお局さまとお局さまの足にしがみ付いている美少女高校生もいるよ」


『聖女さまには退場してもらいます。うん、退場物は結構いい路線いっているかも』


 聖女さまが叫びながら消えました。

 それから神官さまに常に前髪を隠して過ごすように言われ。おとなしく神官さまの隣の部屋で過ごしています。

 でも神子さまに前髪を切られて、その後に王子やら宰相の息子などなどと面会しています。


 以前の聖女さまのように多くの男性が私に会いに来ます。

 みなさまは全然私と目を合わせてくれず、会話も続かないのに、私が聖女と言う肩書きをもらったせいで気をつかってくださり、本当に申し訳なくなります。


 それよりこうして多くの男性の囲まれて過ごすのは大変辛いです。

 本当に仮聖女さまは立派なお方だったのだと、改めて思います。


 一つ、永久就職と言う職業について教えてもらえなかったのは残念です。黄色い鼠の神子さまに聞いても教えてもらえませんでした。

 神子さまはよく姿を変えて降臨します。今回は青い鼠でした。


 なんでも異世界「日本」では鼠と言う物がかわいいそうです。キャラと言って愛する物なのだそうです。この世界では鼠は汚くて嫌がれる物ですが……。異世界「日本」は鼠まで優れているのでしょう。


 はやく私の代わりになる新しい聖女さまが降臨するのを待っています。60年後と言うことですが、神子さまに頼んですぐに交換できるように頼んでいます。


 もし交換する時は、ぜひ聖女になるように多くの異世界人「日本人」に参加してもらいたいものです。


後日~


 この私の駄文、物書きの練習をするように言われて書いた作文を、神子さまに読まれてしまいました。神子さまの課題で『逆ハーレム一員腹黒神官についてスパイして作文提出』と言われています。無学の私は毎日勉強で忙しいです。聖女さまの侍女をしていた頃が懐かしいです。

 モブ子と呼んでくださった仮聖女さまに会いたいです。もう誰も私のことをモブ子と呼びません。でも神子さまから『王道テンプレ脇役ヒロイン! で、聖女名前なんだった? 別に返事はいいわ。覚えるのも考えるのも面倒だからモブ子聖女でいいわ』と言われました。周りが聖女さまと呼ぶ代わりにモブ子聖女と呼んでくれたらいいです。あれ異世界貞子と言う名前はどこに行ったのでしょう?

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