金メッキの斧
「にゃあ〜」
リケ・ミケランジェロは、霊廟でうなだれていた。
せっかく「神」となったのだ。
お金を持って町をうろつきたい。「ノワール陛下の気持ちが、わかるにゃあ〜」
しばし考え・・・
「そうだにゃ!
ここら一帯を、観光地にするにゃ!ミケランジェロ一族が管理しているとはいえ、いわばあちしのとちにゃ!
殺風景だし、キティルハルムとアトランティアの交流にいいにゃ!」
さて、リケは麓の森に入り「金メッキ」を施されたミスリルの斧を、取り出す。
「ここいらの森を開拓して、神殿兼お土産屋をつくるにゃ。」
カーンカーンと、いい音をたてて木に切れ込みが入る。
大概の人は、「お前神様だから、普通にぶった切ればいいんじゃね?」と、思うだろうが、まだリケは「新米」。
力の加減ができない。
すると・・・
斧がすっぽ抜け、近くの泉に沈んだ。
「高かったのに・・・」
ミアン女王から、お金を借りてようやく買った斧・・・
悲嘆にくれるリケ。
すると、泉の中から女性が現れた。
「私は、水竜神ティナです。
あなたの落とした斧は、金の斧ですか?」
「違うにゃ。」
即答。
「では、銀の斧ですか?」
「違うにゃ。」
「すると、鉄の斧ですか?」
「違うにゃ。」
「あなたは、うそつきなので、すべて・・・」
その言葉に、リケはカチンときた。
「待つにゃ!
ウソ言ってないにゃ!
「金メッキのミスリルの斧」返すにゃ!
高かったにゃ!
ここに、あちしの神殿つくって、観光客のみんなと平和トークを楽しむにゃ!」
とうとう、リケはキレた。
ここは、王立図書館・・・
「なんだコレ・・・」
キティルハルム王女・ユニィは、乱暴な文体で書かれた本を閉じた。
著者リケ・ミケランジェロ・・・
そう書かれていた。