「天気病み。」
今日も雨。
頭が痛い。
「ママ!ただいまっ!」
「…………。」
「ママ??又、頭痛いの??」
「ゆうちゃん、もっと小さい声で
喋ってあげて?
ママ、頭痛いんだって。」
「うっさいなー!
みーは黙ってろよー!」
「ゆう!ママはね…、」
「ゆう、帰るの遅いわね?
みーはとっくに帰って、、、」
「ママ!明日の遠足のお菓子は?
300円分って先生言ったから!
300円ちょーだいっ!!」
「笑、ゆう、明日は雨よ?」
ソファーに深く腰掛けながら
母親は自身の右手で額を押さえ
こめかみを指で触ってる。
妹が隣に、、、
心配そうに母親を覗く。
「シンジとかっちゃんが来ちゃう!
ママ!!300円ちょーだい!!」
「だから、明日は雨って
ママ、言ってるじゃん!」
「ゆーうくん!!」
玄関から友達の声が、、、
「みーは黙れ!!
ママ!ほら!来ちゃってる!
お菓子、
買いに行くから!300円!」
「おい、ゆう、
お前、お母さんの事、
ママって呼んでんのか?笑」
「ママだってさー!!笑」
スーパーマーケットの駐輪場に
自転車停めながら、
ヘルメットをかごに入れながら。
友達二人に冷やかされる。
何か知らんが無性に腹が立つ。
「は?何だよ?
かんけーねえじゃん?!」
「ママってガラかよー!笑」
「何か金持ちみたいー!笑」
「うるせー!!!
かんけーねーだろ?!
は?やんのかよ?!」
ガキ同士、簡単な事で
殴りあいになる。
只でさえチビなのに。
…2対1はキツイ。笑
「おかえり。
あら、ゆう、その顔??」
「遠足の用意して来る!」
母親に顔を見られるのが
嫌で急いで二階に上がる。
夕飯はお刺身で
お醤油が口の中に沁みて
痛かったが
平然を装った。
妹は根掘り葉掘りと
聞いて来たが無視した。
…ママは何も聞かない。
その晩、妹と会議した。
これからママの事は
お母さんって呼ぶ事に決めた。
翌日は、雨だった。
母親は自身の体調で
天気をピタリと当てた。
雨が近付くと体調不良になる。
俺の地方では、そんな人の事を
「天気病み」 と、呼ぶ。