ポゼッションアームズ
初投稿、初執筆となります。
お粗末な文章ではありますが、最後までご覧いただけると幸いです。
戦闘開始のアラームが鳴り響いた直後、目の前に銃弾の雨が降り注ぐ。
舌打ちしながら回避運動を取ろうとするも、それを見越したかのように弾幕が追いかける。
右脚に衝撃が走り、視界に被弾メッセージが走る。
まるで蛇がのたうちながら襲い掛かってくるようだ。ユウゴは機体を奔らせながらそう感じた。
―弾幕の濃さからして敵はガトリングガンを装備しているようだが、それなら今の被弾はなんだ?
―開始位置から即座に撃たなければ、あの速さはありえない。しかしガトリングは弾をバラ撒くもので、遠距離狙撃できる代物ではない。加えて掃射までに若干の時間が必要なはず。
―知らないうちに新製品でも出たのか?
一人思案に暮れながらも、ユウゴは弾幕をくぐり抜け、敵が居るであろう方角に近づいていく。
既に視認できる距離まで近づいた筈だが、肝心の敵影は見えない。
代わりに陽炎のように空間が歪んでいる場所があり、そこから弾がとめどなく吐き出されでいる光景にユウゴは思わず噴き出した。
「…光学迷彩?」
傍から見れば非常にシュールな絵面に、しばし攻撃を躊躇ったが後、ユウゴは両腕のマシンガンを陽炎に向け叩き込んだ。
すぐさま陽炎から電流が走り、その全容を現した。
全体的に丸っこい風貌で、やはりガトリングガンを担いでいた。しかし銃身は短く切り詰められており、とてもあの距離から狙撃できるものには見えなかった。
常に敵の視界から外れるよう機体を奔らせながらユウゴは攻撃を続ける。
敵はユウゴの動きにまるで付いて行けておらず、ただ闇雲に弾幕を吐き続ける。
そしてユウゴは気付いた。敵の頭部に狙撃用のセンサーモジュールが装着されていることに。
恐らく最初から今までずっと望遠モードで戦っていたのだろう。であれば先程からの動きも納得できる。ガトリングの銃身を切り詰めて弾速を速め、センサーをフル活用してアウトレンジがらの狙撃。さながら自走砲だ。
―ならキャノンタイプの武器に榴弾積んでて撃てば良いんじゃ…?
そんな疑問がよぎったが、深く考えないようにした。
―にしても堅い…!
100発入りのマガジン2本分を撃ち切っても敵はびくともしない。初弾から機体を覆う透明な膜のようなものに弾かれ続けている。
小口径の弾丸なら易々と弾く電磁フィールド、しかも高出力タイプてあろう。
重火器、高性能センサー、電磁フィールド、それらを両立できる機体性能…。
とりあえず高額パーツで組めば勝てる、そんな成金趣味全開な構成だ。
だが機体コンセプトはあいまいで、見るからに使いこなせていない。
呆れと嫉妬の感情が入交り、ユウゴの動きもそれに呼応するように雑になっていく。
これ以上は弾の無駄だと、ユウゴはマシンガンをガンラックにマウントし、腰の長刀を引き出した。
いざ切りかかろうと上段に構えたその時、視界に「TIME UP」の文字が走った。
しまった、と思う間もなく、視界がぼやけ、意識が機体から切り離される。
―相変わらずこの感覚は慣れないな…それが生きている証なのかな…
そんなことをぼんやり考えながら、ユウゴは意識が自分の本来の姿に戻っていくのを感じた。
最後までご覧いただきありがとうございました。
この短編をベースに長編にも挑戦したいと考えております。
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