6、小説家になろう初心者仲間に贈る、書き始める前に踏まえておくべき『10か条』
人は成功より失敗により多く学ぶものである。
『小説家になろう』初アクセス→数時間後に悪役令嬢もの初連載☆の流れから。
この私には多くの失敗による気づきの機会があった。
なろうプロ読者である相方の指導も何回か入り、為になるご教授もたくさん頂いたのだ。
そこで、せっかくなので私がこの数ヶ月で学んだことを、このエッセイを読んでいる皆さんに、惜しまず披露しようと思う。
――まずは『小説家になろう』書き手生活においての最大の【精神的】な修羅場の話から――
それはなろうで小説を書き始めて一ヶ月ぐらい経過したある日。
私は、自分が気がつかないうちに犯していた、ある『重大』であり『致命的』かつ『痛恨のミス』に、気がついてしまったのである!
「ええっ、ま、ま、まさか!?」
その情報を知ったのは、日課のネットをしていた時だった。
よくある質問サイトをたまたま訪れた私は、『小説家になろう』、というキーワードの関連記事を順繰りに読んでいた。
すると、その中にこんな投稿記事があったのだ――
『なぜか、小説家になろうで、突然アカウントを削除されました。規約違反をしていないのに、理由がまったく分かりません』
なろうですでに小説文字数:10万字程度書いていた私には、とても他人ごととは思えない質問内容だった。
焦った気持ちでそこに寄せられている回答者の意見を読み進めるうちに、私は質問者と同様の『ある恐ろしいミス』を自分も犯していることに気がついたのである!!
「うわあぁああぁあぁぁぁっ!!」
その日はちょうど休日だったので、衝撃を受けた私は引きこもり部屋(←自室のこと)でショックのあまり大声で叫んだ。
かねてより「お前は精神病院へ一度入るべきだ」と忠告してくれているほど、正気を疑っていたNは、全く動揺せずに、居間に駆け込んでくる私を迎える。
自室へ閉じこもりがちな私と違い、Nは常に共有部分であるリビングのソファが定位置なのである。
一人になりたい派の根暗な私と、人間が好きで陽気なNとはそもそも人生のスタンスが違う。
「おっ、やっと引きこもりが出てきやがった!
ところで、休日の集合住宅で大声を出すなよ。
本当にお前と来たら頭がピーッ(←差別用語)なんだから」
「そっそっそっ、そんなことより大変なんだよぉおお、私の『小説家になろう』作家生活最大の危機なんだ!」
慌てふためき取り乱した、ただ事ではない私の様子に、すぐにNは聞く態勢に入りこう言った。
「よかろう、何が大変なのか三行で語れ!」
ここで解説しよう、相方は重度の2ちゃんねらーなため、回りくどい説明が大嫌いなのだ。
ゆえに家でも3行ルールが運用されているのである。
「『小説家になろう』では同居の人間とは同じアカウントを共有しないといけないらしいんだよ!
同じIPアドレスからの別アカウントでのログインは、複数アカウントと勘違いされ、アカウント削除の理由になるらしいの!
私、そんなこと知らないで、勝手にアカウント取ったから、Nと違うアカウントじゃないかああああああ!!!」
(後日、同居でそれぞれ別アカウントを利用しても、評価しあわなければ垢BANにならないと判明。
さらに上記の対応ではIDの共有という問題が生じる恐れが……)
一行あたりが長めの三行で私が語ると、Nは手元にある愛用のタブレットの画面を、こちらに向けて、ぐいっと、突き出して見せた。
「これを見るんだ、愚か者が!」
「?」
言われて覗きこんだ相方愛用のタブレット画面には、綺麗にツリー型に整理されたブクマが並んでいる。
「はっきり言わせて貰おう、読み専である人間には、アカウント登録などまったく不要であると!」
「――!?」
「それどころか、上限がない上に、なろう以外の巡回先も一括管理できる、ブラウザのブクマ機能の方が使いやすいだろ。常識的に考えろ!
だからアカウント登録をしようとも思ったことなどただの一度も無いわ!!」
(↑現在はアプリを使って閲覧・管理している模様)
え?
ありえるの、そんなこと?
だってヘビーユーザーのNがさ、アカウント未登録なんてさ?
「無い線だろ、それ!!」
「なぜに、そう思う?」
「だって四六時中、なろうの小説読み散らかしておいてだよ? 評価やブクマで作者に還元しようと思わないなんて」
「その考えは、お前が底辺作家だからこそ、の発想だろうが?」
「――!?」
たしかにどちらかというと底辺作家であるが、書いてもいないNに言われるとさすがにカチンとくるものがある……。
「いいか、上位作家は一個ぐらいのブクマなど問題視しないし、評価点もしかり!!
1ポイントを争っているような、お前とは住む世界が違うんだ!!
そういう上位作家の作品しか読んでないから、ブクマや評価点でなんぞで還元しなくても問題ない!
むしろ、書籍が出た時、律儀に買っているから、優良読者である自信がある!!」
たしかにNの本棚はなろう書籍化作家の本でいっぱいである。
――私は気が抜けたように床にヘタりこみ、
「はぁー……とにかく良かった……そっか私、規約違反していないんだ」
安堵の息をつくとともに、この時ばかりは、Nのピーッ(←差別用語)な性格に心から感謝した。
おかげで、精神的危機は短時間で終了したのである。
すっかり安心した私は自室に戻りかけ、そこで大切なことを言い忘れていたことに気がつく。
「ねぇ、いつかなろうに小説を書く時は忘れず私のアカウントから書いてよね」
「書かねーよ」
「これは死活問題なの!」
「……」
「だから書かねーよ」
私はしつこくしつこく粘って、最後は相方にこう言わせることに成功した。
「もしも、書く事があったら、な。
無いけど……」
相方はそう言ったが、内心では強く書きたい気持ちがあると、私は確信している。
そうでなければ小説家になろうに対し、今まで私に語ったような深い考察はしていないだろう。
読み手ではなく、書き手としての目線で語られているとしか思えない、数々のNの言葉がそれを証明している。
だからいつかNの書きたい欲求が抑えきれなくなった時のために、ここで一言、書き添えておこうと思う。
きっとNが書く小説は、『小説家になろう』ニワカが書く私より面白いと思う。
タイトルも、ストーリーもなろうに相応しく、読者のニーズにしっかりこたえ、拙作よりもずっと人気の作品になることであろう。
だから、みなさん、もしも私のアカウントで、『異世界転生』、『チート』、『ハーレム』、『最強』、『なり上がり』、『内政』、『クラスごと転移』、『料理』……etc
などのキーワードがある作品が書かれることがあったとしたら、それは相方の作品なのです。
どうぞみなさん読んでやって下さい。
そんでもって、「ぎったぎたに酷評」してやって下さい。ヒヒヒ。
――さて、お次に書くとしたら、やっぱりあのことだろう。
『小説家になろう』挿絵問題!
私はある日の食事中の会話で、自分の作品についての新しい試みを軽い気持ちでNに語った。
「小説家になろう、ってイラストを載せる機能があるんだね!
私、せっかく絵が描けるから挿絵を入れようかと思うんだ」
その発言に対し、相方は恐ろしいものを見るような目で私を見てから、力を込めて言った。
「それだけは、止めろ!!」
「え?」
「挿絵だけは絶対に入れるべきではない」
なんだか凄い止められている。
「理由を聞いてもいい?」
「……絵っていうのは、描いている本人は案外、客観視出来ないものなんだよ。
どいつもこいつも自分的にはイケてる絵を描いているつもりでいる。
ところが読者にしてみれば、プロではない素人が描いた大抵の挿絵は、イメージを大きく損なう、ガッカリポイントになる……」
「……」
「だから、止めておけよ?
百害あって一利なしだ」
この辺で一応擁護しておくが、こんな話し方と言葉使いをしているが、相方は非情に温厚で情に厚く責任感のある人物である。
一方、私はその真逆に近い人間であり、凶暴かついい加減および薄情な性格なのだ。
だから口では、
「分かった」
と、言っておきながら、食事を食べ終わるとソッコーで自室に戻り、アカウントログイン後、小説に自作の挿絵を入れる作業を開始したのである。
――私の記憶にある限り、後でそのことを報告した時ほど、『小説家になろう』関係のことで、相方に激しく批判されたことはない。
それぐらいプロ読者のN的にはプロ並ではない人間の挿絵は許されない暴挙であるらしい。
その時の言われようが想像を絶するほど酷かったので、以来、すっかり挿絵を入れる気が無くなったことは、私にとっていいことだったのかもしれない。
さて、そんな『小説家になろう』作家活動における、二大出来事を報告したところで、私が、経験を生かして作った、なろう初心者仲間に贈る十か条を公開したいと思う。
<小説家になろう、初心者仲間に贈る十か条>※【訂正版】
1、同居している人間がいる場合「同一IP使用=複数アカウント保持者」と疑われないように気をつけよう。それぞれアカウントを所有している場合、絶対に評価しあっては駄目。(アカBANされる恐れ有り)
2、出先で別のPCからログインする場合も気をつけよう。理由は1と同じ。
3、高アクセス狙いたいなら素直に小説家になろう『テンプレ小説』を書こう。人気のテーマやキーワードは時期によって微妙に移り変わるので、総合ランキングを参考にして「旬のテーマ」を的確に嗅ぎ取って書こう。
4、高アクセス狙いたいなら人気キーワードを忘れずぶちこんでおこう!(男性向き:異世界、転生、なり上がり、ハーレム、主人公最強、チート、等。女性向き:悪役令嬢、婚約破棄、ざまぁ、異世界、転生、乙女ゲーム、等)
5、高アクセス狙いたいなら、釣り(長ったらしい説明的な)タイトルと、抽象的な表現とひねりを避けた、作品の売りがしっかり伝わり、期待値をあげる面白そうなあらすじを書いておけ!(ちなみにこのエッセイのタイトルはそれを試みた失敗例のようです)
6、ラブシーン描写を書きたければ最初から素直に18禁の方へいっておけ!(特に恋愛メインで男女が深い関係になる物語はそうすべきだと、血反吐を吐きながら私から訴えさせて頂きます)
7、非テンプレの読者に媚びない自分の好きな作品を書きたければ、ブクマ数とか気にしない。むしろ多いほうが異常値。
8、日間ランキングに載りたければ、ある程度書き溜めて、毎日投稿して、日間ランキングに【リーチ】がかかる程度のポイントが稼げた日に一気に連投するのがおすすめ。(ただしテンプレ作品以外だとやるだけ無駄だから気をつけて下さい)
9、欝展開は嫌う読者が多いから要注意! 特に男性向けでは嫌われる傾向有り。女性向けに限っては「ドアマット・ヒロイン物」という人気ジャンルがあるのでそう言い切れない面も……。●相方からのアドバイス:読者から信用されていない自覚があるなら、あらすじに【ハッピーエンド】とか、成り上がる、無双する等、その後の展開がハッピーであることを、しっかり見えるところに明記して、保証しておけ!
10、挿絵はプロ並の画力がないなら、マイナス要因にしかならないから、絶対に載せちゃ駄目ってじっちゃんが言ってた!!
まだ拙者も初心者なので↑間違っている部分もあると思いますが、これから小説家になろうに新規参入しようとしている方は、どうぞ、ご参考にして下さい。
――そんなこんなで『小説家になろう』への知識もすっかり深まった、書き手歴数ヶ月になったある日――私は、ついに、ある決定的な言葉を、Nから言われることになったのである――
<続く>
【訂正版】:ランキング改正後に変更したため、元の10か条と内容が変わっています。