5、小説家になろうの15禁でどこまでラブシーンを書いていいのか、問題
これはあくまでもNの個人的な見解で、なろうの運営側の判断とは異なっている可能性が高いです。
「もちろん☆ 真面目に言っているけど、違うわけ?」
ここで解説しよう、漫画脳であり漫画とアニメとゲームで脳が染まりしこの私は、普段漫画しか描かないゆえ、規制=絵的な過激さ、という脳構造になっている。
今までweb漫画における創作活動においても、ネットに載せてOKな『画像なのか』ということにしか、心を砕いてこなかったのである。
つまり『文章』や『言葉』の規制については、全く考慮して来なかった。
ぶっちゃけ画像に比べて文字の規制は、ユルいと思っていたのである。
そんな人間が書いた小説のラブシーンなのだから、お察しの通りだ。
対して、『小説家になろう』ヘビー・ユーザーであるNは逆になろう小説ばかり読んできた『なろう小説脳』の持ち主。
もっとつっこんだ解説をさせていただくなら、学生時代と社会人になってから数年ほど『自分で小説を書く趣味』のあった人間の脳みそなのである。
(現在は会社役員という立場と仕事で、心が消耗しているので書く余裕がないそうです)
もちろん、そんな相方の視点は『物書き』、もっと言うなら『小説書き』としてのものである。
ゆえに、私の中では、こと小説という分野においては、自分の感覚よりかなり信じられる、『価値観』なのである。
そんなNがその後、私に語ったのは、驚くべき『小説家になろう』の15禁の定義であった。
「いいか、小説家になろうで18禁以外の小説を書く場合の基本を教えてやる」
「おう! 教えてクレクレ」
勿体ぶった前置きをしてから、相方は一気に核心に触れた。
「18禁以外の、なろう小説を書くなら、15禁タグをつけてようがつけてなかろうが、一緒だ。
一切ラブシーンなど書くな!!!!!!!!」【※注釈1】
「――!?」
思いがけない意外性と威力のある発言であった。
15禁タグをつけていても、一切ラブシーンを書くなとは、なんぞや?
疑問に思ったことをさっそく私は口にする。
「じゃあ、何のために、15禁ってタグがあるのさーーーーーーー!!」
それに対する、相方の答えは、きっぱりしたものだった。
「意味なんて、ない」
「――!?」
「15禁なんてタグには、意味なんて、一切ないんだ。
15禁というのは曖昧な基準で、完全に運営側の判断になり、書き手側の認識など一切関係ない。
――であるからして、自分の判断でここまでなら許されるなどとは考えず、一切排除する方がいい。
運営の気分次第ではキスシーン、水着姿の描写だけでも15禁の基準をはみ出していると判断する可能性がある。
いずれにしてもラブシーン自体、はっきり『白』とはいえず、『グレー・ゾーン』なのだから、書かないことに越したことはない」
要するに、○○するとか、具体的な局部の用語を出さなかったら良いという、単純な話ではないらしい。
「……」
相方の持論はさらに続いた。
「では、何のために15禁などといタグがあるか、という問いにあえて答えるならば、『気休め』の為だ……と答えるしかない。
書き手が『15禁』って注意してるし、これぐらい許されるよね?
という甘えや言い訳をするために用意されているのだ!!」
相方から放たれた、驚愕の真実を受け止め、私は噛み締めるように復唱する。
「……意味なんてない」
「そう、意味なんてないのさ。
ラブシーン書きたきゃ、素直に18禁版のなろうで書いてろってことだ。
――だが、まあ、これだけでは何なので、それでも、ラブシーンが書きたいなら、という前提の話もしてやろう」
「おうおう、ありがたや」
完全にお告げ状態で、相方のを教えを請う私なのであった。
「朝チュン、キスはソフト・キスまで、それ以上の行為は比喩的かつ抽象的な表現でどうとでも取れるようしておけ!」
「……朝チュン、ソフトちゅー……なるほど……」
せっかくありがたい教えを受けたわけだが、その時点ですでに私は、○○チュー余裕のかなり際どいシーンを描写済である。
「やべー、こうしちゃいられないぜ!!」
私は相方の忠告を聞くや否や、急いで自室に戻りPCに向かう。
「急げ、うぉーーーー、急げ!!」
慌てて、際どいシーンをソフト表現に差し替え、具体的な描写表現をカットするお仕事を始めたのである。
これが結構、難しい作業で、シーンのみならず、筋自体が変わってくるという、厳しいものだった。
途中で私はため息をつき、自分に厳正な基準を設けることを諦めることにした。
「Nはああ言ったけど、いずれのラブシーンもグレーゾーンならば、自己責任で、己の基準をつらぬくのもありかもしれないな。
やばいシーンなど書くつもりはなどないし、本意でもないが、もし運営の判断基準以上の表現であるなら、なろうプロ読者の誰かが通報してくれて、運営から注意がくるはず。
その時に大いなる反省を込めて直せばいいんだ!
とりあえず、今後は、ラブシーンが頻出する物語は書かないようにしよう。
もしもラブシーン書きたい場合は素直に18禁の方へいこう」
(そう思ったのに、次の作品もラブシーンだらけだったやつ↑)
かくして、『小説家になろう』ニワカであり、小説初心者の私は、この痛恨の失敗により、ヘビー・ユーザーかつプロ読者のNの教えを受けることになり、新たな教訓を得ることになったのであった。
――そうして、すっかりライフワークとなった小説執筆作業をはじめてから一ヶ月ぐらい経過した頃――
『小説家になろう』書き手としての私に、最大の危機と、試練が訪れるのであった――
<続く>
【注釈1】:このNの指摘は、今だからこそ「物凄く的を射ていた」ことが分かる。
もしも時を巻き戻せるものならば、現在の私なら迷い無く拙作「喪女がビッチな悪役令嬢なんて、無理ゲー過ぎる!」をなろうのR18版サイト、ムー○ライト・ノベルで連載していたであろう。
連載の後半で深い関係になる男女をR15版で書くことは、後の私にとって大きな苦悩を生んだ。連載休止の2割ぐらいの原因がコレのせいである。
だから、終盤であろうとも熱いラブシーン描写を書く(書きたい)予定がある物語なら断然最初からR18で書くことをおすすめします。伸び伸び書けるし「この表現大丈夫かな?」などとビビリながら書かなくて済みますからね!!
R15で書く場合はソフトキス以上の行為は描写はせず、○○した、という事実のみの表記にしましょう。