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天国への階段  作者: グー
11/17

10段目:早川 桜を登録しました

感想・評価・指摘やアドバイスなどよろしくお願いします!

俺は光に言ったとおりただ座ってハンバーガーを食べているだけだった。

目の前では高校生の男女が仲良さそうに話している。

黒髪ロングのストレートと、茶髪ポニーテール、そして光だ

何か自己紹介はされた気がするが覚えていない。俺の紹介は光がしてしまった。

親友で面白い奴とか言う評価をつけられていた。心外だが面倒だから黙っておくことにした


どうやら茶髪が光の友達のようだ。光も色素が少し薄めでひかりに当たると明るく輝くためすごく絵になっている。俺にはどうでもいいことだが…

先ほどの話しでは俺を(男なら誰でもいいようだが)紹介しろと言っていたのはこいつのようだ。しかし見る限り茶髪は光の方しか見ていない。こいつは気付いていないのだろうか?俺でさえ何となくわかるのに…


はぁ、時間の無駄だな。さっさと食べてこいつらおいて帰るとするか

しかしそうなるとこの黒髪は何のためにいるのだろうか?口実のための人数あわせか?

光達の会話に時々相槌を打ってはいるがどうやらこちらをチラチラ見ているようだ。しかし目が合うとすぐに逸らしてポテトを食べ出す。

なんなんだ?少しイラっとしてきた。言いたいことは言え、と言いたいがもちろん口には出さない。面倒なことになるのは目に見えてるからな


「あの…関君?関君も行く?」


唐突に黒髪がそんなことを言ってきたものだから少し驚いた。

何のことを言っているのかと一瞬思案するが先ほどまで漏れ聞こえてきた話しを総合すると光達はこの後どこかに行こうとしているようだ。どうせカラオケの類だろう

俺にとっては死んでも行きたくない場所だ。いや、生きてる限り行きたくない場所、の方が正しいのかな

故に俺の返答はただ一つ


「帰る」


「そうなの?私もカラオケ苦手だし…私も帰ろうかな…」


「悠輔。早川さんのこと送っていってやれよ。同じ方向だってさ。ご近所さんみたいだぞ」


「勝手にしろ」


方向が一緒なら勝手にしろ。余計なことさえ話さなければすれ違う人たちと大して変わらん。何となくだがこいつ-早川-は饒舌じゃなさそうな印象をうける。あかねのようにいらんことばかり喋って俺に危害を加えることはないだろう

俺が視線を向けたのを受けて早川はおず、と喋りかけてきた。


「いいの?じゃあ…お願いします」


そんなことを言って頭を下げてきた。

たまにはあかねにもこんな殊勝さがあったらな。そんなことを考え思わず苦笑が漏れる。あかねに殊勝さなんぞ身に付くわけがない。それより俺が生きる希望に満ちあふれる方が余程現実的だ。そんなことは絶対に有り得ないと言い切れるが…


閑話休題



俺と早川は一緒に帰路に就くことになった。後ろで光が何か生暖かい目をしてる気がするのが気にくわないが

知らん。俺にはきっと関係ないことだろう。せいぜい茶髪と仲良くやるがいいさ。


歩き出して数分、一つ誤算があった。

こいつ、意外と良く喋る

おずおずとだが色々なことを話しかけてくる。しかもそれが質問形式になっており、黙っているとしょんぼりした顔になるのでなぜか返さないといけない気分になってくる。


曰く、家族や兄妹はいるのか

曰く、光とはいつから仲がいいのか

曰く、休日は何をしているのか

曰く、好きな音楽や本はあるのか


その全てに適当で曖昧な返事をしつつようやく俺の家付近まで着いた

こんなに人と意思の疎通をしたのはいつぶりだろうか。しかしなぜだかわからんがそこまで嫌な気分ではなかった。面倒だという気分はあったが、自分で話すことを考えなくていいからだろうか。あかねの時にもそれは言えるのだが…

よくわからなかったが、早川の家の近くの交差点でじゃあな、と一声かけて背を向ける


「良かったら…アドレス交換しない?」


後ろからそんな声がかかる。こんなほとんど意思疎通が出来ない奴とアドレス交換したがるなんて奇特な奴だ。

しかしどうするか…普段の俺なら面倒だ、の一言で切り捨てるだろう(俺の携帯の電話帳にはあかねと光を始め指の数で足りるほどしか入っていない)

しかし今日一日でわかったがこいつは人に邪険にされるのが嫌なようだ。じゃあ何で俺と話してたんだという疑問が残るがきっと、沈黙も嫌なタイプなのだろう。そうに違いない。

断るときっとこいつは悲しそうな顔をするだろう。俺は男女で全く態度を変えない、変えるのが愚かしいとすら思っているが以前聞いた話によると女の子を泣かせた男は地獄に堕ちるそうだ。

それは俺としては望むところではない。

仕方ない、か


「俺はメール不精だぞ」


「ありがとう!今度連絡するね!」


携帯を出しながらそう伝えると嬉しそうな笑顔を見せてきた。

俺の選択は正しかったのだろうか。よくわからんが俺だって見るなら泣き顔より嬉しそうな顔の方がいい

ま、いいか

アドレスを交換し終え、こんどこそ早川と別れる。

家の鍵を開け、扉にもたれた。

ふ、と嘆息する。今日は予想外なことだらけだった。疲れたな。

まだ早いが風呂に入って寝ることにするか

閑話を1,2話挟む予定です(早川視点、光視点)

予定は未定です

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