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逃げちゃだめだ1

そして僕は途方に暮れる2から話は続いています(飲み会の続きから始まります)

「で、ちーちゃんはどうする?仕事辞める?」

そう、前に彼女達とトラブルになった時……休職後一度は職場復帰したけれども、彼らの所属会社の飛行機と認識しただけで一気に血の気が引いて卒倒してしまった。そんな僕を見た上司はもうしばらく休職して退職も含めて前に進むのもいいんじゃないかな?職場での評価は一番よくしてあげるけど、メンタルが至って弱いとだけさせてくれなと言ってくれた。

それから1週間たってなんとなく行ってみたハローワークから帰るときに僕は社長に捕獲された。社長にしてみたら出会いだっていうだろうけど、今になればどっちでもいい。

まるっきり違う職種で最初から初めてみてもいいと思って、次の週にはプチエトワールの事務所に向かって今の僕の状態、こうなった状況を全て話した。そんな僕の話を聞いた社長は「今までの職場より福利厚生は良くないよ。休日も出勤だよ。それでもいい?それなら僕たちの所においでよ」と相当訳アリな僕を快く受け入れてくれて、どうせだから半年しっかりと休職しちゃいなよって言ってくれたので、しっかりと心も体も休めることができた。

心が落ち着いてから両親に預けていた婚約不履行に関する全てのデータを読んだ。あの時青木先輩が聞いたらいけないと言われた理由が分かった。あの頃の僕が聞いたら本当にダメだったと思う。彼女は僕が言いなりになりそうで、実際に財布扱いされていたと思う。強請られた婚約指輪も相当高価なものだったけどCAだから見栄の部分も大きかったんだと思う。まあ連れていかれた宝飾店で言われるままに予約して後日一括で支払ったんだが、あの時の彼女の顔は忘れないと思う。あれから事件発覚までに3カ月位だったけど、結構高価なものを買わされたな。僕が彼女に使ったものを家計簿にも領収書も全部残しておいたから、そこからお強請りにしてはどうかと思われるものは全て購入した金額で買い取ってもらうことにしてもらったっけ。婚約指輪を返品するのもどうかと思うし、自分の分はリサイクル屋で処分させてもらった。プラチナのリングにして本当に正解だったよ。


あの当時の彼女は僕がどれだけ傷ついていたのかも理解していなかっただろう。僕たちが僕の職場と彼女たちの職場に訴えた為か、これ以上表沙汰にしないで、円満に解決するようにと双方のトップサイドから言われた。だから僕も僕のことを知っている人もあの頃の真実を話すことはない。

彼女の方は僕がいた省庁から他かの省庁からも合コンのお誘いがなくなったと聞いている。僕の高校の先輩とか大学の先輩にネットワークがしっかりしすぎたみたいで後でそのことを聞いて苦笑いしかできなかったっけ。

男性の方には浮気をしたが引き金になって婚約不履行になったこと、僕のマンションの部屋を宿泊場所にして彼女の逢引の場所にしたことのへの慰謝料の請求をさせてもらった。本人から青木先輩に連絡が来るかなと思ったら、最初に電話をかけてきたのは彼の伴侶である奥さんだった。今までは確固たる証拠がなかったそうだが、今回は証拠があるということで、自分も慰謝料請求をして離婚がしたいと訴えてきたのだ。僕らが持っている証拠は奥さんの離婚のときのいい材料になる。

僕は青木先輩に頼んで奥さんに彼のクローゼットを探してもらった。そうしたらあったんだ。

僕が無くしたと思い込んでいた品物の数々。品物を原状回復で返してもらうという条件で窃盗罪をつけることは辞めた。大変だったと思うよ。ニューヨークのラルフローレンで買ったスーツとか僕の体型に合わせて作ったシャツとか。全て原状回復と言ったためか全部は不可能ということになり、購入額で支払いたいということだったので支払ってもらった。相当な金額だったと思うよ。ある意味ではむしり取ると言った方が正しいかもしれない。奥さんの方の離婚協議には青木先輩の知り合いを紹介したそうだけど、かなりいい条件で離婚ができたらしい。

彼の場合は機長としての仕事ができなくなったら職場からお払い箱だと思うから今までのように女の子に入れあげることは不可能だろう。離婚された奥さんの方は、僕とは直接会うことはないけれども、僕の業界に近いところで働いている。今ではテレビでも見かける売れっ子のマナー講師として活躍している。なので、青木先輩を介して何かあれば連絡がある……と思う。

僕の家での飲み会のことから推察していくと、僕の方に元婚約者が近づいている可能性が大いにあるということだろう。今のところは様子を見ておくつもりだけど、さすがにこのマンションは知られたくないなあ。


「ちーちゃん、顔バレしているじゃん。事務所で出待ちされたらアウトじゃん」

「ああ。そうだよね。だったらふうのウィッグを僕にも一つ作ってもらおうかな」

「ふうくんのメッシュのウィッグなら一瞬ごまかせるかもな」

「それ賢いじゃん。それと、今まで彼女の前で着ていなかった服も有効じゃない?」

「えー、スーツならフィットするようなものを買ってこいてこと?」

「そうそう。似非ホストみたいな服。それとふうくんのウィッグなら完璧じゃないか」

寿と修吾が何気なく楓太のメッシュの入ったウィッグを被ると言ったら似非ホスト風なスーツを着ろと言ってきた。確かの彼女の前ではそんな服は確実に着ていない。

「で、念のためにお前のその髪も一時的にメッシュでも入れておけよ。美容院に相談して顔に似合う色を入れてもらえ」

「似非ホストのコーディネートは知り合いにいないか?スタイリスト役をしてくれる人」

スタイリストか……社長の奥さんが元スタイリストだったなあ。社長に青木先輩に言われたことを報告してからお願いしてみるか。

「何とかなりそう?」

「うん。多分。お前たち笑うなよ」

「折角だから変身したときの恰好を写メで送ってくれよ」

「なんか他人事だと思ってない?」

「そんなことないさ。もちろん何かあれば協力するよ。まずはこのマンションを知られないための工作を考えないとな」

「ここのコンシェルジュ基本的に優秀じゃん。俺達だって最初はコンシェルジュさんに紹介してくれたじゃない」

「そうだった。二回目からはちーちゃん呼び出してくれたっけ」

「「今はそれすらないけどな」」

二人が声を揃えて言う。当たり前だろ。お前たちは居着き過ぎなんだよ。

「とりあえず、事務所に近い所に住んでいる知り合いでちーちゃんを一泊させてくれそうな人を探しておいてやるよ。ソファーでもいいだろ?」

「構わないよ。最悪寝袋でも」

「いや、冬は寝袋止めようよ」

「寿……普通の家では暖房入っているから」

「そっか。そうだよな。俺がピリピリしてた」

「大丈夫だよ。最悪寿の所に行くよ。寮と言っても借り上げだから僕がいても平気だろ?」

「もちろん。でも1LDKだから狭いよ?」

「僕が前に住んでいたのだってその位。しかも品川だからもっと狭かったろ?」

「確かに。あの家だっけか。ダブルベッドに一緒に寝たの」

「マジか。俺でさえもソファーにしたのに」

「寿が一度落ちたんだよ。その音で苦情を言われてしまってからそうしたんだよ」

「ああ……でもお前たちが同じベッドで寝ていても何にもないのは分かるけどさ。確実に黒歴史だよな。内緒にしてやるよ」

「「本当にお願いだから」」

あの話が世間に出てしまったら本当にそっちの人と思われてしまうじゃないか。

その後も、僕らはストーカー対策について少しだけ話して、話題になった洋画のDVDを見ていつも通りの週末を過ごした(家主の僕が仕事なのも関係なしに二人は連休明けまでしっかりと泊まっていった)


次回、ちひろ改造計画本格的始動(今日は何の日?1月5日の後の飲み会なので、

事務所内の地下組織もじわじわと広がっております)

でも、当人は一切知りません。知らないんです。

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