[2]事件
「この本だよーこの本!!いやー人気で多分この本屋には在庫ないかなぁなんて思ってたけど...。さすがっすわぁ『ピロチャンBOOKS』!!」
「そうか...。よかったな。でもなんでそんなに欲しか
「いやーこの本さ、表紙はまぁ...。ちょっとオタクっぽいけど中身がスゴいいいんだよ!早く帰って読みたいなぁ...。あ、でも今日塾だったわどうしようっかなぁ...。ねえ今日読んでもいいと思う?」
「あ...俺は
「えええーーーどうしようーーあーでもなーー」
詞はこういう性格だ。うるさい。そして、うるさい。
最近はもう慣れた。
しかしやはり対等に会話することはできない。
なんていうのだろう、僕は他人とコミニュケーションを交わすとこは苦手ではないし、ボキャブラリーも不足しているわけでは無いと思う。
しかし詞と話す時には、そんな人間の本来持ち合わせているものは一切関係なくなる。
詞は物凄い早さで自分の話したいことをそのまま全て話す。
その早さに加え、聞くものを圧倒させる何かがある。
詞と真っ当に会話できる人は、多分詞と同じような話し方をするのだろう。
それよりも、僕も欲しい本があった。
彼は「ライトノベル」という部類の小説が好きらしいが僕は違う。
僕は、過去に何かにおいて大きな功績を残した人々の生き方を記した「伝記」と言われるものを読んでいる。
本においても彼とは大きく違うのだ。
あれ...詞がいない。
漫画コーナーにでも行ったのだろうか。
そんなことを思っている矢先だった、
「キャアァァァァッ!!」
僕が今いる本屋の通りの中央付近に人だかりが起きている。
その中の一人だろうか、女性が悲鳴をあげた。
「(何だ...?)」
僕はその悲鳴をただ事ではないと思い、詞には悪いがその人だかりの方に行った。
人が倒れている。
見た所、僕と同じ年齢くらいか、もしくは少し上くらいだ。
...!?
まて、倒れている人が着ている制服が僕と同じ学校のものだ。
同じ学校の人が倒れている...?
...!!!??!
この時点で僕はようやく気がついた。
倒れている人は...
詞だ。
何故。何故こいつがここにいるんだ、
何で...
血を流して倒れているんだ。