表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使と術者の永遠機構(リンネシオン) ~運命をもたらす天使巫女~  作者: もふもふ(シノ)
第一幕 「運命をもたらす天使巫女」
34/44

第五章「異端の天使」 3

どうも、こんばんは~!

今週も楽しい創作活動をスローガンに、本作品を書かせて頂いておりました!

「第五章」に突入して、第三部目!!

視点の移り変わりとしては、リンネ→TOD-Ⅲ(霧雨翼)→時雨と、目まぐるしくはなりますが、それぞれのキャラクターの心情や生い立ちを感じて頂けるようになっていますので、楽しんで頂ければ幸いです。


twitterでの「第一回 プチキャラクター投票」にご協力頂いた皆様、本当にありがとうございました!

ちなみに、結果は以下の通りとなりました!


リンネ・アス・レイヴィア 4票

影居エレナ 2票

TOD-Ⅲ(霧雨翼) 1票

霧雨奏夜クレイジーサイコパス 3票


一位:リンネ

二位:奏夜

三位:エレナ

四位:TOD-Ⅲ


クレイジーサイコパスさんも、最初は圧倒的票数で一時はどうなることかと思いましたが、最後の最後で、メインヒロインの「リンネ」が票数を持っていく形となり、さすがメインヒロインの風格と安心しました(笑)


今後もランキングなど作品に関連づけたアンケートを随時実施し、読者の皆様と楽しく触れ合いながら、楽しい作品にしていければと思います♪♪


また、各キャラに応じた個別の番外編なども企画段階であるのですが、ランキングの結果に応じて次回から公開していこうと考えていますので、お楽しみに!


それでは、長くなりましたが、本編をお楽しみください!

また、後書きで会いましょう!(笑)

リンネが療養施設を一人離れてから、数時間後――――すっかり日も暮れてしまい、昼間に活動していた土地神や精霊たちも眠りについたのか、精霊の森の内部は一層暗がりを増し、風に吹かれてざわめく木々の音だけが静寂に包まれたこの空間に鳴り響いていた。


 時雨は《刀剣覚醒》の姿をした《紅焔の思想アグニ》――――《焔刀-ヒノカグツチ-》を右手に硬く握りしめて、障害物を薙ぎ払いながら森の中を全速力で駆け抜けていく。


(――――完全に、出遅れた)


 自分の不甲斐ない失態に時雨は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて、胸中で呟いた。


 リンネの《式札》による睡眠効果が強力だったこともあるが、それ以前に、奏夜との戦闘で核心力を大幅に消費してしまったことが災いしてしまった……。


日の傾き具合から鑑みるに、かれこれ一時間程は眠ってしまっていただろうか……。


時同じくして、奏夜との戦闘で『毒』による負傷を受けていた彼女が同施設内で眼を覚ましてくれていなかったら、本当に危ないところだった――――、



※~十分程前~



「シグレ、起きて! こんなところで呑気に寝てる場合じゃないって! 早くリンネの後を追い掛けないと……!」


「……うん? むにゃむにゃ……」


「……あぁ、シグレの可愛いらしい寝顔、花提灯なんか膨らませちゃって、テラ愛おしい!徹底的な瞬間を端末で保存して――――って、そんなことしてる場合じゃない! シグレ、シグレってば!」


「……すぴー、すぴー」


エレナは時雨の身体をこれでもかと強引に揺らしながら、耳元に口を近づけて大声で叫んだ。


しかし、それほどに強力な睡眠作用が働いているのか、時雨は間の抜けた寝息を立てるだけで、エレナの呼び掛けに応じる素振りはない。


掛けられた《術》のせいだと十中八九理解しているつもりでいても、そんな時雨の冷たい反応を見て、エレナは何処か無視をされているような疎外感を覚える。


そして、同時に腹の底から苛立ちのようなものが込み上げてきた、その刹那――――寝具の横に備え付けられていた、ショック療法などで用いられる《科技術の産物》にエレナの視線が止まった。エレナはそれを透かさず両手に収めると、躊躇することなく、時雨の背中へと押し当てた。


「シグレ、お覚悟! エレナは技を繰り出した。喰らえ、で~んきショック!」


「……すぴー。――――あば、ばばばば、ばば、あばばばばばっ……!」


 押し当てた背中を通して時雨の身体全体に高圧の電流が走り出す。


 あまりに刺激的な起こし方に時雨は声にならない嗚咽を吐きながら、頭からジリジリと焦げたような薄黒い湯気を発生させていた。


そして、一度力尽きたように勢いよくその場に顔を埋めて倒れ込むと、その状態から反射的な速度で姿勢を起こして眠たげだった眼をカッと見開いた。


「おい、エレナ! 今のは洒落にならないぞ……死ぬ! 冗談抜きで死ぬ!」


「ようやくお目覚めのようだね、おはよ~、シグレ。そして、おやすみ!」


「いやいや、起こしておいて人を勝手に殺すな! そして、拝むな!」


「やはは。単なるエレナジョークだよ~。気にしない、気にしな~い」


「ほんと、お前はいつも掴みどころがないというか、無茶なことばっかりするな……でも、まぁ、お陰様で助かったよ。ありがとうな」


「えへへ~、そう思うんなら、頭をそっと優しく撫でて欲しいところだけど……今はそうも言ってられない状況だよね」


「そう言えば、リンネの姿がないな――――まさか……!?」


「その、まさかだよ……あの子、妙に意固地なところがあるから、きっと、シグレにこれ以上迷惑を掛けないように、一人で……」


「くそっ! 俺は、リンネのことを分かった気になってた……。あいつの傍に居てやる、頼ってくれていい――――なんて、カッコつけた傍からこの様だ、ほんと自分を情けなく思うよ」


「……むぅ。シグレ、ちょっと良いかな……?」


「……ん? なんだ?」


 時雨が自分の不甲斐なさに肩を落としていると、エレナは頬を膨らませながら、ムスっとした表情を浮かべて丸椅子に腰掛ける時雨の顔を覗き込んだ。


「あのさ、シグレ。ワタシはシグレと長い付き合いだからさ、シグレのカッコいいところだって、いっぱい知ってるよ。ワタシが窮地に陥った時だって、ここぞ、と言う場面では颯爽と駆けつけてくれる。シグレがすっごく頼りになることも――――ワタシは知ってるんだから!」


「……えっと、もしかして、励ましてくれてる?」


「そうだよ。シグレももっとワタシを頼って良いんだからね? ワタシだって、シグレの力になりたいって、思ってるんだから」


 エレナはそう語気を強くして言い放つと、途端に自分の発言に恥ずかしさを覚えたのか、微かに紅く染めた頬を隠すように、ふいと、そっぽを向いて見せた。


 自分だって奏夜の『毒』による負荷がまだ完全には払拭出来ていないだろうに、他人の心配なんてして……おまけに『他人を励ます』なんて慣れないことまで。


(……ほんと、お節介なところも含めて、エレナには適わないな)


 時雨は胸中で静かにそう呟くと、エレナの頭にそっと手を置いて、その頭を優しく撫でながら、今度は声に出して言葉を続けた。


「あぁ、俺もすごく頼りにしてるよ」


「……やっぱり、シグレはずるいね。でも、頼られたからにはエレナちゃん、本気出しちゃうもんね!」


「ん? 何か良い策があるのか?」


「ふっふっふ~! エレナちゃんを甘く見ては困るよ、シグレ。こんなこともあろうかと、じゃん! 《陰影の爪痕シャドー・ポイント》! リンネにはしっかり爪痕を残してあるから、ワタシの付けた影の目印を辿っていけば、追跡だって可能だよ!」


 エレナは自分の右人差し指をぴんと、と立てながら指先に集まる影の集合体を見せびらかすようにひらひらと操りながら、えっへんと言わんばかりに堂々と胸を張って答えた。


 時雨も始めて垣間見るエレナの特技に思わず驚きを隠し得ない。この術を使えば、影の集合体が爪痕を残した対象の現在位置まで影の道標を繋いでくれるとのことで、それは真夜中の森の暗がりにおいても、例外なく導いてくれるという優れたものらしい。


「おお、マジか! さすがエレナ、頼りになるな!」


「ふっふ~ん♪ まぁ、本当はシグレに纏わりつく悪い虫を影で奇襲するためのとっておきの術なんだけど、この際、仕方ないよね☆」


「……おい、折角の感動が台無しなんだが!」


 まぁ、色んな意味でも危険を感じるところはあったものの、エレナのおかげで《式札》の睡眠状態から脱することに成功し、リンネの位置情報も正確に把握することが出来ている。


 エレナの《陰影移動シャドー・ワープを使えば、エレナだけでも影の道標を経由してリンネの元へ駆けつけることは可能だが、魔術街で事件を起こした際の奏夜の用意周到さは計り知れない。ましてや、まだ病み上がりの彼女をそんな未知だらけの適地に一人で潜り込ませるなど危険過ぎる。


 今は、一刻も早く敵の根城に辿り着かなければならない状況だが、冷静さを欠いた行動は決して逆境を好転させる上での弊害となることは必須だ。


 エレナも省エネモード(時雨の影に潜むことで、一緒に移動している)で影の道標を地面に投影しながら、なるべく障害物の少ない道筋を選んで誘導してくれている。


 最短ルートで焦らず、慎重に、一人ぼっちで孤独に闘う《天使》の少女を必ず救い出す!





 ――――さぁ、今度こそ、決着の時だ。




 時雨はそう自分に言い聞かせて、地面を蹴る力に一層の力を込めると、闇夜に照らされた淡く幻想的な森の中を疾風のごとく駆け抜けて行った。




さて、今回のお話はどうでしたでしょうか?

しばらく登場のなかったエレナもようやく話に戻り、時雨との賑やかなやり取りを久しぶりに見せてくれていたことと思います!


作者目線ではありますが、エレナは個人的にも好きなキャラで、ついつい時雨とのやり取りを書く際に色々と想像が膨らんで力が入ってしまいます!(時には暴走しているかもですが、目を瞑ってやってください(笑))


次回からは、奏夜との決着編となりますが、前回の魔術街の戦闘が個人戦とするならば、今回のは団体戦といった形になるのでしょうか。

バトルシーンに関しても、力を入れさせて頂きますので、熱いバトルも楽しんで頂ければ幸いです!

来週は意外(?)なあのキャラも登場しますので、楽しみに待っていてくださいね!


最後に前書きでも記載させて頂いていたランキングに関して、twitterで統計を行う場合がございますので、感想や評価など気軽に頂けると嬉しいです!


twitterなどの詳細は、なろうのプロフィールを参照して頂ければ、と思いますので、何卒よろしくお願い致します!


それでは、また来週、読者の皆様に楽しんで頂ける創作を!

そして、自分自身も楽しいと思える創作を!

では、また次回お会いしましょう~! 今後とも私と本作品をよろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ