未確認生物
急いで搬出ゲートに急ぐ
そして無線をオンにする
「場所はわかるか?リュリィ」
「わかります、雪山の裏道Bの2です」
「…すみません、俺の…不注意で」
「別にいい、俺も気付くのが遅かった」
ガチャンと搬出ゲートがあく
「…いくぞ!」
アリア…
「どこだ!?リュリィ!!」
「もう少し先です!すこ……ま…ザッザザ」
「リュリィさん!?電波が…」
「くそ…、雪の影響か…」
そう、来たときから雪が降っていた
支部の灯りも見えない
「隊長!今日は…もう…」
「大切なものなんだろ?!訓練の時も
そういう風に見えたぞ!」
「!!ばれてたのか…」
「ザッー…ザッザ…てぃ……ふぉ…!」
「リュリィさん!?」
「種類変化生物…!せっ…ん」
種類変化生物…?!
「フォレル!閃光弾を打て!」
「了解です!!」
ピンッと栓を抜き上へ投げ出す
パァンと一面が照らされる
「…!!囲まれてる…?」
「しゅ…るい……ぶつ……」
「ざっと見、15……」
「……隊長、殺りましょう」
「フォレル…?」
ギュッと剣を握る
「種類変化生物は……アリアの…」
「…ああ、殺らなきゃな」
仇だろ?
全ての種類変化生物が
「でりゃあ!」
ガスッと剣で種類変化生物
を切りつけていく
「きりが…ない!」
「ざっ…ザザッ……フォレル!フォレル!!
聞こえますか?!」
「リュリィさん!?」
無線から声が聞こえ出す
隊長!とティアルをよぶ
「繋がったか!?」
「はい、繋がりました」
残りの敵は…3!
「リュリィさん!すぐ片付けます!
少し待ってください」
「やるか!」
ザンッと切りつけていく
アリア…
──お兄ちゃん
「っ!?アリア!?」
「どうした?フォレル!!」
「こ…声が…」
ティアルが最後の一匹を倒し近づいてくる
「あ、あ…あ、アリア…」
「…?リュリィ!フォレルは…?」
「精神不安定です!近くにまだ一匹!
これは…、特定不可能!未確認です!」
「どこに所属する!?」
少し待ってくださいと声が途切れる
「あ…あ…、ごめん…ごめんよ、アリア」
「しっかりしろ!フォレル!!
今ここにアリアはいない!いないぞ!」
「所属判別可能でした!」
リュリィが声をあらげる
「どこに所属する!?」
「精神変化種!超珍種に属します」
所属先がわかってもフォレルは異常のまま
「どうすればいいんだ?!」
声をあらげているとのし…のし…と
足音が後ろから聞こえた
「!?」
急いで剣を構える
そこにいたのは一人の少女だった
けれども白いワンピース。
この雪山ではまず死んでいるだろう
「誰だ…?」
少女は何も言わずにスッと手を出した
思わずザッと後ろに下がる
しかし少女の手にはフォレルのネックレスが
あっただけだった
「……?フォレルの…」
スッとそれを下に下ろすと少女は
悲しそうな目をしてフォレルを見、
そしていつのにか後ろにいた未確認生物を
見上げて言った
「行きましょう…」
「ん…?」
目を覚ますと自室だった
「あ、隊長…?」
「起きたか」
そう言ってコーヒーを差し出す
「ありがとうございます」
少し飲んでからフォレルは尋ねた
「俺…、あのあとどうなったんですか?」
「…ネックレスを見つけてすぐ帰ったよ」
「そう…なんですか、ありがとうございます」
少し腑に落ちないが無理やり理解した
するとティアルが手を出した
「……?」
スッと開くとネックレスが見えた
「あ…、ネックレス…。ありがとうございます…」
恐縮そうに手に取る
いつもと同じ輝きを保っていた