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P27

手ごたえはあったけれど、順位が発表されて、心の中で小さくガッツポーズをした。

二五位。入学してからの最高順位、一組継続確定だ。

三学期、一組に確定しているメンバーを確認しようとして愕然とした。

高城が六位、二学期が七位だから、これはまあ、納得。

それ以降、僕の順位までの間に佐倉も神崎も名前がない。

内心焦りながら順位を見ていく。

僕の次、二六位が戸川。

僕が二組から来て以来、あからさまに見下す態度をとり続けていたあいつが隣の席か。

うんざりする気持ちと、順位を抜いてやった優越感が湧く。

佐倉の名前は、三二位になっていた。

張り出された一覧の、僕が見ていた場所から少し離れたあたりに、

小さな人だかりができて、ひそひそと話す声が聞こえた。

まさか。

気になって移動して、素早く名前をたどっていく。

二一八位、神崎伊月。

なにやっているんだよ、あいつ。

この順位じゃ特進コースからさえも外れてしまう。

とりあえず教室に戻ると、クラスメイトの数人は、

もう二人が大幅に成績を落としたことを知っているらしく、

ざわざわとした雰囲気に包まれていた。

戸川にすごい目で睨まれたけれど、知った事か。

神崎、佐倉、そして高城の三人はまだ教室にいない。

落ち着かない気持ちで席についていると、高城が戻ってきて大股で教室を横切り、

自分の席に着いた。

立ち上がって彼の元へ向かい、湊君、と声を掛けた。


「まあ、自業自得だな」


言葉は冷たいけれど、落胆が滲む。

いっちは椎野に呼び出されて職員室に行った、

早瀬は順位あがっていたな、おめでと、といって、

笑いかけてくれる目もかすかに揺れる。

教室の視線が、後方に集まる気配がした。

振り向くと佐倉がこちらに向かって歩いてくるところ。


「チビいから、せっかく必死に一番前の席、キープしていたのにな。

 三学期は俺の後頭部で、黒板、見えづらくて大変だな」


戸川の声が教室中に響く。

佐倉は一瞬足を止め、彼の顔を見て再びこちらに向かって歩き出そうとして、


「相方の神崎、来期五組落ちだって?」


続けてかけられたその声に驚いたように振り返る。

あいつ、なんだってこんな事を。


「ま、二一八位じゃ、特進落ちでもおかしくないけど。

 とりあえず今回は温情ってやつ?

 副委員長は再選挙か、無責任な話だよなあ」


「やめなよ」


下卑た笑いを、女子の厳しい声が遮る。


「そんな、なんで伊月が」


「修」


戸川に向かって一歩進もうとする佐倉に、さすがに高城が声を掛けた。


「おまえらさ、怪しいよな」


佐倉はその言葉に、目を見開いて硬直する。

その様子を見て、さらに満足そうに続ける。


「あれえ、図星? なんだよ、お勉強ってなんの勉強してたわけ?

 ちゅーとかしちゃってんの。ホモとか、まじきもいんだけど」


近くにいた男子生徒数人が、軽く口笛を吹いたり、

囃し立てるような、からかうような笑い声をあげたりした。

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