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一目惚れ2

作者: WAIai
掲載日:2026/10/12

ジョンは自分の部屋で、どきどきしていた。

キャサリンからの手紙が届き、待ちこがれていた人の返事が気になっていた。

ーそろそろ邸に来ませんかって、誘ったからな。

ふふと1人で笑う。

ペーパーナイフで封を切るのだが、下手に開けないように慎重になる。

ーもう何回も手紙のやり取りをしたし。大丈夫だと思うんだけど。

キャサリンは字も綺麗で、読みやすかった。

お互いについて、例えば誕生日とか、好きな本や食べ物など、交換したのだった。

ーいい返事が書かれているといいのだけれど。

ジョンは緊張しながら、封を開ける。

手紙を開くと、いつもの優しいキャサリンの字が見えてくる。

「えっと…何々?」

恋する乙女のように、胸をときめかせながら、読んでいくと、ジョンは「わお」と声を上げる。

どうやら邸に来るのをOKしてくれたようだった。

「やった、やった、やったあー!!」

椅子から立ち上がって、ジャンプする。

手紙は大事なものとして、胸に抱き、キャサリンの代わりとする。

ー今から準備しなくては。

キャサリンが来るのは、1週間後だった。

まだ時間があるような、ないような期間に、ジョンはもどかしさを感じる。

ー彼女の好きなもので歓迎しよう。

そう思うと、ジョンは手紙を丁寧に封筒に戻し、執事を呼ぶ。

「1週間後、大切な人が来るから、用意しろ」

当主として命じると、執事は丁寧に礼をしたのだった。


ーそして1週間後。

ジョンは朝から緊張していた。

キャサリンが早く来ないか、うろうろしているのである。

もちろん正装しており、自分で思うのもなんだが、良い男だった。

ーキャサリンと会って3か月。やっと、やっと、この日がきた!!

季節は冬から春になり、優しい日差しが部屋に入ってくる。

鳥達も祝うように活発に動き、ジョンは窓を開く。

すっとした空気の中に、ふわりした暖かさを感じ、花の香りがするような気がする。

庭師に頼んで、庭園にも花が咲き誇っているし、キャサリンが楽しめるように工夫がしてあった。

「ーあ!! 馬車」

ついにキャサリンが来たと思い、ジョンは部屋を出る。

急いで玄関ホールに向かうと、使用人達が並んでお辞儀してくる。

当たり前の行為なのだが、ジョンはいつも違和感を持つ。

人に頭を下げられるほど、自分は賢いのだろうか、自分はしっかりしているのだろうかと思ってしまうのだ。

ー他人の評価を、つい気にしてしまう。自分の邸なんだから、堂々とすればいいのに。

こほんと空咳すると、服を整える。

キャサリンが馬車から降りたのか、扉が開かれる。

「ージョン様!!」

姿を見せてきたキャサリンは素晴らしく、春らしいピンクのドレスだった。

ジョンはここでも「わお」と声を出し、彼女を凝視する。

柔らかそうな髪に、少し染まった赤い頬。

それに、しずしずと入ってくる態度。

どれをとっても、ジョンの好みだった。

ー抱きしめたくなる。

ジョンはここはぐっと我慢して、キャサリンを迎え入れる。

「いらっしゃい、キャサリン。ようこそグランド家へ」

声はしっかりしたもので、ジョンはほっとする。

緊張しているので、声が震えたらどうしようと思ったのだ。

キャサリンは気づかなかったのか、ドレスの裾を持ち、礼をしてくる。

「ー本日はお招きあずかって、嬉しいですわ。よろしくお願いいたします」

キャサリンの美声に負けたのか、鳥達が静かになる。

使用人達も安心したのか、和やかな雰囲気になっていくのが分かる。

ーそうか。私が緊張すると、使用人達も緊張するのか。気をつけなければ。

ジョンは顔を引き締めると、腕を差し出す。

「部屋を用意してあるから。行こう」

そう声をかけると、キャサリンはにこりと笑い、腕をからめてくる。

細くて柔らかな肌を感じ、ジョンは抱きしめたいのを我慢する。

頼るように力をかけられ、ここは男としてエスコートしないとと、歩き出す。

「ー応接室へ行こう。キャサリンが楽しみものがあるから」

「私の楽しみなもの? 何かしら?」

「さあ。見てのお楽しみ」

ふふと笑うと、応接室へゆっくり歩いていく。

まるでバージンロードを歩いているようで、ジョンの身体が熱くなっていく。

キャサリンも緊張しているのか、表情が硬かった。

ほぐすためには、応接室へ急がなければと進んでいく。

「ーほら、ここが応接室だよ」

扉を開くと、キャサリンが眩しそうに目を細め、ゆっくりと室内を目にする。

「ま、まあ…!! 絵画が…!!」

「そう。キャサリンが好きそうな絵画を飾ったんだ」

ジョンは得意気に言う。

応接室は邸の中で、貴重な絵を飾るために作られたものだった。

「まあ、まあ、まあ!! 素晴らしいですわ」

ジョンが惜しむように腕を放すと、キャサリンが絵画に見惚れる。

景色を描いたものを始めとして、領主と領民を描いた勇ましいもの、両親と子どもが映った絵など、色んなものを用意させたのだった。

「どうかな? どれが気に入った?」

「私は…そうですわね。ーこの1枚でしょうか」

それは馬に乗った人物と青空、橋が描かれており、ジョンも気に入っている1枚だった。

遠出をしたくなるような1枚であり、今日の天気と同じく、綺麗な空と雲のバランスに、キャサリンは釘付となったようだった。

「私も馬に乗ってみたいですわ」

「じゃあ、男装しないと駄目だね」

2人は笑い合うと、ジョンが椅子を勧める。

「どうぞ、お嬢さん」

「まあ。失礼いたしますわ」

キャサリンは椅子に座ると、興奮したように、顔を赤く染めている。

ジョンはやったと心の中で喜び、自分も椅子に座りつつ、執事に言う。

「例のものを」

「はい。畏まりました」

執事が去っていき、2人きりとなる。

2人とももじもじしていては話にならないので、ジョンから口を開く。

「キャサリン、今日の君は素敵だよ。春の花のように美しく、まるで妖精みたいに輝いて見える」

「まあ!! 言い過ぎですわ」

キャサリンは口に手を持っていき、声を上げて笑う。

それからジョンを見て、言ってくる。

「ジョン様も素敵ですわ。この前、会った時よりも、とても男らしく見受けられます。春の日差しも協力してくれているようで、私には眩いですわ」

「そうかい? それは良かった」

キャサリンに褒められ、ジョンは上機嫌となる。

それから手紙の話をする。

「君からの手紙が待ち遠しくてね。ずっと、ずっと待っていたんだよ」

「私も楽しみにしておりましたの。早く来ないかなと、そわそわしていましたのよ」

「そうなのかい? それは良かった。ーそれで」

ジョンは息を吸うと、真剣な表情で口にする。

「私のことを好きになってくれないかな?」

「それは…その、もちろん好きですわ」

「駄目。好きと愛しているのとは、違うから。私は愛しているのほうなんだけれど?」

「ジョン様…。もう困らせないでくださいませ」

キャサリンは心が綺麗らしく、顔が真っ赤になる。

手応えを感じ、ジョンは心の中で喜ぶ。

「ーキャサリンのことを愛している。ぜひ婚約者になってくれないか?」

「ジョン様…。…そ、その、私は…」

キャサリンは言葉を選びつつ、続ける。

「…私でよろしいのでしょうか? その、ジョン様との手紙のやり取りでお互いのことを知りましたが…。私、女らしく見えますでしょうか?」

「当然さ。キャサリンは女性らしい。他の女性達も、嫉妬するくらい素敵さ」

「そんな…。恥ずかしいですわ」

手で顔を覆うキャサリンを可愛いと思いつつ、ジョンは期待する。

「ー返事は? どう?」

「…そうですわね。その、あの」

「その、あの?」

身を乗りだすと、キャサリンは横を向いて答える。

「私で良ければ、喜んで」

小声だったのに、はっきりと聞こえ、ジョンは嬉しさのあまり、キャサリンを抱きしめる。

「きゃ!! あ、あのジョン様…!!」

「嬉しい…!! 嬉しいよ、キャサリン!! やった!! やったぞ!!」

細い首を抱き寄せ、髪にキスをする。

キャサリンは恥ずかしさからか、逃げようとしたが、ジョンは許さず、こめかみに口づける。

「私の可愛いキャサリン。よろしく」

「よろしくお願いいたしますわ」

キャサリンも腹を決めたのか、ジョンに手を伸ばしてくる。

2人は祝福する光に支えられ、しばらく抱き合う。

ーキャサリンから良い香りがする。

自分のものとなったことに、ジョンは喜びを隠せず、キャサリンの顔を間近で見ると、瞼にキスをする。

「じ、ジョン様…!! キスのしすぎですわ」

「いいの。私のものなんだから」

ふふと笑い、ジョンはキャサリンの髪を構う。

ずっと触れたかったものなので、味わうようにゆっくりとすいていく。

キャサリンは気持ちがいいのか、ほうと息を吐く。

ジョンはくすりと笑うと、キャサリンに触れていく。

肩や腕、顔といったように、手を動かしていく。

キャサリンは嫌がらず、むしろジョンを受け入れるかのように静かになり、うっとりとした表情となる。

ー押し倒したりしたら、まずいよな。

そう思いつつ、ドレスに手をかけようとしたその時、扉がノックされた。

いいところだったのにと舌打ちしつつ、

「どうぞ」

とぶっきらぼうに言う。

「失礼いたします。例のものをお持ちいたしました」

「ああ、ありがとう」

「例のもの? 何かしら?」

キャサリンの目が輝いたので、ジョンは優しく微笑み、口にする。

「ーケーキスタンドだよ。今は苺が旬だからね。キャサリンが甘いものが好きだと聞いて、用意させたんだ」

「まあ!! まあ!! 嬉しいですわ」

キャサリンは手を合わせ、興奮する。

グランド家のシェフに頼んで、彼女が好きそうなケーキをデザインしてもらったのだった。

執事が紅茶を注ぐのを確認し、ジョンはキャサリンに聞く。

「どこから食べてもいいよ。キャサリンの好きなものを教えてくれ」

「そうですわね…。えっと」

キャサリンは子どものように迷い、1つを指差す。

「これでしょうか。美味しそうですもの」

「そう? それなら私もそれにしようと。ほら、ケーキを合わせて」

軽くケーキを触れ合わせると、まるで2人がキスしたみたいだった。

執事が去っていくと、2人はゆったりとした時を過ごす。

「あら、美味しいですわ!! どうやって作るのかしら?」

「後でこっそりシェフを呼ぼうか?」

「はい!! 嬉しいですわ!!」

素直なキャサリンに、ジョンは満足し、まるで結婚式みたいだと微笑むと、自分もケーキを口にする。

「うん、美味しい。キャサリンに乾杯!!」

ケーキを持ち上げると、キャサリンがますます真っ赤になっていく。

ジョンはにこりと笑うと、ケーキを口に運ぶのだった。

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