作戦決行後
男は、二刀流を構えたままだった。一切の隙は無く、堂々と立っている。
「この野郎!よくもアストロを!!」
オリオンが攻撃を畳みかける。男は巨体の割に、機敏な動きで避けていく。オリオンの攻撃が当たらない。
「逃げるなぁぁ!!」
「ふむ…動きが手に取るようにわかる。お前は大した事はなさそうだ。」
男はレーザー刀でオリオンを斬る。オリオンの胸に十字の傷が残るが、バトルスーツを貫通してはいなかった。
「む…意外と厚いな。重量もそれなりにあると見た。その重量でその動き…見事。」
「こいつ…!!アストロ!同時攻撃だ!!」
アストロが後方からNoctisを放つ。オリオンが近接から攻撃を畳みかける。しかし、男はアストロの攻撃を避け、レーザー刀で弾く。オリオンの攻撃を受け流し、再び斬る。
「…連携はそこそこ取れている。だが、このブシドーには通用しない。」
「…ブシドー、だと?」
ポラリスがそう呟いた。その声は、信じられないといった様子だった。アストロがポラリスに聞き返す。
「ポラリス、何か知っているのか。」
「あぁ…そいつはDead Skyの戦闘隊長だ!剣人と呼ばれている、Dead Skyの幹部だ!!」
ポラリスの口から告げられる、男の正体。男の正体はDead Sky戦闘隊長 ブシドー。またの名を剣人。Dead Skyの幹部だ。
「こいつがDead Skyの幹部だと?」
「戦闘中に通信とは、余裕があるな!!」
ブシドーはレーザー刀の刃を飛ばす。赤く輝く刃が無数に放たれ、アストロとオリオンは避けていく。ブシドーの猛攻に、近づくことさえできない。
「Noah Reactor製はすぐに熱くなる…扱いが難しい。」
ブシドーの猛攻が一時的に止まる。この隙を逃さぬように、アストロとオリオンが攻撃をする。ブシドーはレーザー刀をしまい、徒手格闘に切り替えた。
「ハハハハハ!!弱い弱い!!どうした!?」
ブシドーはオリオンを蹴り飛ばす。かなりの重量があるオリオンが、いとも容易く飛ばされてしまった。
「オリオン!!」
「他人の心配をしている場合か!!目の男!!!」
ブシドーはアストロを殴り飛ばした。アストロは成す術もなく飛ばされた。この時、二人の脳裏をよぎるのは、敗北と死だった。アストロとオリオンは目を合わせる。
「オリオン、一度退く。トラックに乗り込め!!」
「了解だ!」
アストロがNoctisを放つ。ブシドーは再びレーザー刀を構え、アストロの攻撃を弾いていく。
「二度も三度も同じ手は通用せんぞ!これだから弱者はつまらない!!」
「あぁ、そうだろうな!狙いはそこではない!!」
その時、オリオンがトラックをブシドーに向かって走らせる。流石のブシドーもこれにはかなわず、すぐに避ける。ブシドーの態勢が一瞬崩れる。この隙に、アストロももう一台のトラックに乗り込み、そのまま撤収する。
「ハハハハハ!見事!敵ながら天晴れ!!今のは良かったぞ!!!」
ブシドーは刀をしまい、仁王立ちで声高らかに笑っている。追ってくる気配はない。ブシドーは、わざと逃がしたように見えた。
「クソ…やられたね。」
「あぁ…あいつは危険だ。想定よりも、Dead SKyは手強いかもしれない。」
ポラリスが苦い顔をして呟いた。しかし、それでもトラック二台分のルミナイトを確保することができた。これで半年以上は持つだろう。
◇◇◇
アジトに到着し、全員でルミナイトを運び込んだ。トラックは位置情報が漏れることを恐れ、カペラとアルタイルが遠くへ処分しにいった。
ヴァルカンは二人のバトルスーツの修理を行っている。今回はかなりの損傷らしく、機嫌が悪い。恐怖から、誰もヴァルカンに声をかけることができない。
残ったメンバーは映像を見ていた。空中から撮影した、ブシドーとの戦いだ。ブシドーの動きを、細かく分析していた。
「…凄まじいな。こちらの攻撃が一切通用していない。二人がかりで全く歯が立たないとは。」
ポラリスは真剣な表情で映像を確認している。アストロとオリオンも黙って見ている。自分たちの戦闘技術が全く歯が立たなかったのは、初めての経験だった。
「Dead Skyにこのような男がいたとは。これまで大きな活躍がなかったのが信じられないな。」
「…俺の目が、一切通用しなかった。」
アストロの感想は、その一言だった。これまで、どのような攻撃も自身の目で回避することができていた。機関銃から放たれる大量の弾丸、飛んでくる無数のレーザー刃、相手のパンチやキック。
だが、今回のように全く見えずに斬られたのは初めての経験だった。それほどまでに技術の差があった。アストロは自身の傷を見つめる。
「おそらく、これまでDead Skyが勢力拡大してきたのは、この男の実力も関わっているのだろう。」
「…見つけた、こいつだ。」
レイヴンがパソコンでブシドーの情報を発見した。その場の全員が、パソコンの画面を見る。
「…Dead Sky戦闘隊長【剣人】ブシドー。二刀流の剣士だな。出身は不明。ただ、五年前に初めて目撃情報があるな。」
「Dead Skyが勢力拡大を始めた時期に近いな…この男はやはり奴らの主戦力だろう。」
「…そう考えるのが妥当だろうな。」




