表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽なき世界のアストロ  作者: 夕凪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/8

月光をその手に

 それから数時間後、アストロは目が覚めた。疲れはほとんど残っていないが、体の芯はまだ重い。傍に置いてあるコップの水を一気に飲み、部屋の扉を開けた。


 部屋を出ると、アジトの中にルークは居なかった。恐らく出かけたのだろう。アストロは財布を懐にしまい、アジトから出た。出かける際に、手に入れたAkatsukiも懐に入れた。


 ここは【トウヨウ】。この国の首都であり、最も設備が整った都市である。アストロが向かう先は闇市だ。


 NR-KS Akatsuki――正式名称は、Noah Reactor-Katana System Akatsuki。Noah Reactorという武器開発会社が販売している商品だ。市場価格は八十万。中古でも六十万は下らない。


 この社会を生き抜くには、自分で自分を守る他ない。そのため、様々な武器製造・開発を行う企業が多数現れた。現代において武器は生存必需品となっている。


 Noah Reactor。

 安価・高出力を売りにした大量生産企業。


 Lux Series。

 精密制御と高品質で知られる高級兵装ブランド。


 Luminary Defense。

 各国政府と直接契約を結ぶ正規軍需企業。


 Helios Arms。

 ZERO戦争期に勢力を拡大した老舗軍需メーカー。


 Prometheus Industries。

 ルミナイト発見の中心企業にして、戦争の火種。


 Elysion Heavy Works。

 Arkを含む大型機動兵器を製造する重工企業。


 これらの企業が現在大手武器製造・販売メーカーだとされている。


 アストロは闇市にやってきた。闇市といっても、屋台のようなものだけではない。この辺りには様々な店が密集している。その一角に、武器や装備を取り扱う店がある。


 アストロは店に入った。個人店だ。中古品の買取や販売はここで行っている。アストロがカウンターの前に立つと、店主がゆっくりと近づいてきた。


「いらっしゃい。今日はどうした?」

「買取を頼む。これだ。」


 アストロはAkatsukiをカウンターに置いた。店主はAkatsukiを手に取り、起動させた。


「NR-KS Akatsukiか。見たところ不具合や損傷個所はないな。四十万ってとこだな。」

「…もう少し何とかならないか。」

「うーん…まぁ、兄ちゃんはうちの常連だからな。四十五でどうだ。」

「それで頼もう。」


 店主はAkatsukiをカウンターの棚にしまい込むと、すぐに現金四十五万を手渡した。アストロは金額を確認し、店を後にした。


 次に、アストロが向かった先はLux Seriesの店舗だった。白銀に輝く店内には、まるで美術品かのように丁寧に飾られた武器が並べられている。


 アストロの銃、LXS-LHS-03 Noctis。

 Lux Series-Laser Handgun System Noctis。


 これもLux Seriesが取り扱っている商品だ。Noctisはこれまで三回に渡る改良・設計の見直しが行われてきた。第一世代型は百万程度であったのに対し、第三世代型は二百八十万となっている。


 Noctisとの出会いは二年前のことだった。Dead SkyがLux Seriesの保管倉庫を襲撃した事件が起きた際、アストロがDead Skyを制圧した。すべての商品はLuxへと返還され、Luxは謝礼として、最新モデルのNoctisをアストロに送った。


 性能の高いLuxの製品を気に入ったアストロは、これまで使用していたNoah Reactorの製品をすべて売り払ってしまった。仲間からは余計な出費が増えることで怒られてしまった。


 アストロは店に入ると、店員がすぐに駆け付けた。店員は、アストロの腰にある銃を一瞬見て、すぐににこやかな笑顔で出迎えた。


「いらっしゃいませ。本日はどのような品物をお探しでしょうか。」

「短刀を探している。レーザー式で、軽いものがいい。」

「すぐにご案内いたします。こちらへどうぞ。」


 アストロは店員に連れられ、近接武器専用の棚へ案内された。そこに並ぶのは、どれもが美しく、まるで装飾品かのように飾られた武器。


「短刀で、レーザー式ですと、こちらがおすすめですね。」


 店員が差し出したのは、LXS-BDS-02 Umbra。

 周囲の光を吸い込むかのような黒銀のレーザー刃に、アストロは思わず見とれてしまった。手に取ってみる。軽い。握り心地も悪くない。これならば、鉄板でも装甲でも確実に焼き切ることができる。


 ――しかし、どうもしっくりこなかった。一級品であることは間違いない。しかし、自身が求めている武器ではない。そう感じた。


「…他には」

「…えぇ、こちらはどうでしょうか。」


 店員の表情が一瞬変わる。次に差し出されたのは、白銀のレーザー刃の短刀だった。


 LXS-BDS-04 Tsukikage

 Lux Series – Blade Dagger System Tsukikage。


 Tsukikageという和風な名前も気に入った。握り心地は先ほどの者より良い。まるで月光を思わせるかのような、レーザーの色も気に入った。


太陽を失った世界で、人が思い出すのは月だ。優しい月光の光を思わせる。黒雲によって月も見えなくなってしまったが、この短刀はこの暗い世界を照らし、仲間を守る希望の光。そう思えるほどだった。


「そちらはレーザーを飛ばすことも可能となっております。さらに、刀身の延長も可能となっております。中距離、遠距離戦に適しています。」

「これを貰おう。いくらだ?」

「百二十万円でございます。」


 アストロは一瞬硬直した。仲間に怒られる未来が見えたが、すぐに財布を取り出し、一括で支払いをした。財布はとても薄くなったが、後悔はない。


 店を出る際、アストロの腰にはNoctis。懐にはTsukikage。これで装備は整った。これまで使用していた安い短刀とはわけが違う。


「いい買い物だった。」

「またのお越しをお待ちしております。」


 店員は深々と頭を下げた。アストロはそのまま月光を懐に、アジトへと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ