密閉された果実の静物画
ざらざらする心臓
だったことを
いつも忘れてしまう朝
壁紙
部屋の内側にいるばかりで
わたしはキュウイ
のことなんてまるで思い出せない
窓のない
楕円形の広間
雫のように胎動している
薄い皮が透ける太陽らしきもの
閉じ込められたことを知る
出口がないこと
粘り気のある水
腐っている
醗酵して分解されるため
空気に触れるのを待つ
いつまでも
鼻を近づけて
嗅ぐことの姿勢は崩さず
窓があれば
窓があればステンドグラスが
もっと光る
密閉されている体内
乳歯が小川に流されていく道のり
さらさらと雨の影が映る壁
陶器のような滑らかさの奥に
胸に手をあてる
ドクンドクンと脈動する二本の足
歩ける形に寄りかかって
小さな嘘の上を歩く
目に見えないスポイト
空
が逃げていくのがわかる
分かち合う前だったことを思い出す
楕円形の壁に種を植える
「小匙」
単語に頭がついていかない
「小匙を取って」
小さいスプーンのことか
そう理解したとき
それは蒸発していた
すくうべきものは
すくわれる前に
怒りに晒されながら
タイミングを内側から知る
わたしのアルミニウムの
母の日の花束が揺れる
産毛が揺れる




