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それぞれの春
春は、あっさりやってきた。
卒業式。
校舎は、いつもより静かで、でも、どこか騒がしい。
制服姿で並ぶクラスメイトたち。
(終わるんだ)
三年間。
水の匂い。 チョークの粉。 夜遅くまでの勉強。
全部が、懐かしく思える。
「ゆうきぃ」
椿が、少し泣きそうな顔で抱きついてきた。
「ちょっと、重いって」
「なんでそんなドライなのーーー」
そう言って、二人で笑った。
ふと目をやると、碧人が立っている。
「おめでとう」
同時だった。
優希は、少し照れて言う。
「碧人も」
行き先は、違う。
距離は、確かに遠い。
「離れるな」
碧人が言う。
「離れない」
優希は、即答した。
水泳部。 怪我。 受験。
全部、共に乗り越えてきた。
「大学でも、泳ぐんでしょ」
「うん」
「俺も」
二人は、顔を見合わせる。
スタート台は違う。 水面も違う。
でも。
(目指す先は、同じ)
校門を出ると、春の風が吹いた。
新しい水面が、もう、そこにあった。
明日はいよいよ共通テストですね!
受験生のみなさん!自分を信じて頑張ってください!




