冬が近づく音
十一月がもう終わろうとしている。
校舎の空気が、冷たくなった。
廊下では、「判定」という言葉が、ひそひそと交わされる。
A判定。B判定。E判定。
数字とアルファベットが、人の価値みたいに並ぶ季節。
優希の模試結果。
第一志望 判定:C
(上がった)
でも、喜びきれない。
(まだ、足りない)
英語。数学。化学。生物。
どれも、合格最低点には届かない。
放課後。
自習室は、満席だった。
誰かのシャーペンの音。ページをめくる音。
(全員、敵じゃないのに)
比べてしまう。
自分より早く進んでいる人。自分より高い判定の人。
(焦る)
夜。
家で問題を解いていると、突然、涙が落ちた。
「……なんで」
理由は分からない。
ただ、怖かった。
(落ちたらどうしよう。全部、無駄だったら...)
そんなとき、スマホが鳴る。
〈おっす。順調?〉
碧人。
(なーにが「順調?」だ)
そう思いながらも口が緩む
〈順調だよ。そっちは?〉
しばらくして
〈まぁぼちぼちってとこかな笑〉
気づいたら涙は止まっていた。
(私は、一人じゃない)
翌日。
学校の掲示板に、「共通テストまで◯日」の紙が貼られた。
現実が、迫ってくる。
優希は、ノートに書いた。
《私ならできる》
水泳で学んだこと。怪我で知ったこと。支え合う意味。
全部、今につながっている。
冬は、残酷だ。
でも、越えた先にしか春はない。
初めまして。お読みいただきありがとうございます♪
白瀬翠と申します。
水泳部を舞台とした健全なストーリーが少ないと感じたので今回このような作品を執筆させていただきました。
皆様に楽しんでいただけると幸いです。
また、誤字・脱字、不適切な表現等がありましたらコメントで教えていただけると嬉しいです。
その他なんでもお待ちしております。
この作品が日々努力するあなたの背中をそっと押せるような一作となりますように。




