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水面  作者: 白瀬 翠
16/27

受験生


 三年生の教室は、静かだった。


 去年までのざわつきはなく、誰もが、無言で机に向かっている。

 黒板の横には、進路資料。模試の日程。志望校別の判定基準。


(もう、逃げられない)


 そういう空気。


 優希は、ノートの表紙に書いた。


《〇〇大学医学部医学科 絶対合格》


 迷いは、もうなかった。


 怪我をして、支えられて、治してもらった経験。


(次は、私が支える側)


 整形外科医。スポーツと向き合う医師。


 理由は、はっきりしている。



 放課後。


 プールに向かう足取りは、以前より軽い。練習量は減ったが、集中度は上がった。


(三年の夏まで)


 それが、自分との約束。


 一方で、勉強。


 模試の結果が返ってくる。


 E判定。


 現実は、甘くない。

 でも、優希は思った。


(想定内)


 必要な点数も、足りない科目も、分かっている。




 夜、机に向かう。


 英語。数学。化学。生物。


(時間が足りない)




 練習後、図書室。


 碧人も、同じように席に着く。


「模試、どうだった?」


「……国語は伸びた」


「数学は?」


「聞くな」


 苦笑い。

 でも、以前のような焦りはない。


「俺さ」


 碧人が、ふと口を開く。


「法学部、簡単じゃないって分かってる」


 優希は、ペンを止めた。


「でも、やめる気はない」


 その言葉に、優希は静かに頷く。


「うん。知ってる」


 この人は、逃げない。

 水の中でも、机の前でも。

 それを、誰よりも知っている。


「お互い、夏までは両立だね」


 優希の言葉に、碧人は小さく笑った。


「だな。地獄だけど」


 その「地獄」を、一人じゃないと思えること。

 それが、何よりの救いだった。




初めまして。お読みいただきありがとうございます♪

白瀬翠と申します。

水泳部を舞台とした健全なストーリーが少ないと感じたので今回このような作品を執筆させていただきました。

皆様に楽しんでいただけると幸いです。


また、誤字・脱字、不適切な表現等がありましたらコメントで教えていただけると嬉しいです。

その他なんでもお待ちしております。


この作品が日々努力するあなたの背中をそっと押せるような一作となりますように。



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