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水面  作者: 白瀬 翠
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追いかける不安

 碧人は、最近よくカレンダーを見る。

 模試まで、あと三週間。練習後すぐに帰宅し、机に向かう。


(足りない)


 そう思う時間が、増えていた。

 弁護士になるために法学部に入る。

 口にするのは簡単だ。でも、合格者の偏差値を見れば、現実は重い。


 模試の結果表。


 国語は悪くない。英語も、許容範囲。

 でも、数学。


(ここが、伸びない)


 努力していないわけじゃない。でも、結果がついてこない。



 放課後、図書室。


 優希が先に来ていた。参考書を開く横顔は、以前より落ち着いている。


「早いな」


「今日は、リハビリ短かったから」


 そう言って、少し笑う。

 碧人は、その表情を見て、 胸の奥が少し痛んだ。


(前に進んでる)


 自分よりも。

 席に座り、問題集を開く。

 でも、集中できない。


「……碧人?」


「ん?」


「さっきから、同じとこ見てる」


 指摘されて、苦笑する。


「バレたか」


 少し沈黙。


 そして、ぽつりと漏らした。


「俺さ」


「うん」


「本当に、間に合うのかなって思う」


 言葉にした瞬間、弱さが露わになる気がして、視線を落とす。


 優希は、すぐには答えなかった。

 代わりに、自分のノートを閉じる。


「碧人」


「なに」


「私も、怖いよ」


 その声は、静かだった。


「戻れるかも分からないし、勉強だって、何が正解か分からない」


 でも、と続ける。


「それでも、やめないだけ」


 碧人は、顔を上げた。


「逃げないって決めただけ」


 その瞳は真っ直ぐだった。

 

「……ありがとう」


 そう言うと、少しだけ視界が滲んだ。


「一緒にやろ」


 優希が言う。


「今日、数学」


 碧人は、ゆっくり頷いた。


「うん」


 隣で問題を解く時間。 解けない問題。 考える沈黙。

 それでも、不思議と焦りは薄れていった。


(追いかけるだけじゃない)


 支え合っている。

 そう思えたから。



初めまして。お読みいただきありがとうございます♪

白瀬翠と申します。

水泳部を舞台とした健全なストーリーが少ないと感じたので今回このような作品を執筆させていただきました。

皆様に楽しんでいただけると幸いです。


また、誤字・脱字、不適切な表現等がありましたらコメントで教えていただけると嬉しいです。

その他なんでもお待ちしております。


この作品が日々努力するあなたの背中をそっと押せるような一作となりますように。



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