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ドジっ子女神と借金だらけの王国へ  作者: マーたん


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45/51

その結果

この国は、

奇跡で救われた国ではない。


転び、揉め、食べ過ぎ、

ときどき胃薬を消費しながら、

それでも前へ進んできた国だ。


女神は完璧ではなく、

王女は優しさを前に出さず、

商人は常に限界だった。


それでも彼らは、

同じ場所に立ち続けた。


これは、

奇跡を使わない神と、

神に依存しない人々が、

なぜかうまくやってしまった話である。



その結果


――国が、なぜか安定した理由


巡業が終わって、

国はすぐには変わらなかった。


だが、静かに、確実に変わっていった。


まず、民が変わった。


神を見ても、跪かなくなった。

代わりに、声をかけるようになった。


「今日も大変そうだな」

「足元、気をつけなよ」


女神はもう、

遠くで祈る存在ではなく、

同じ地面を歩く存在になった。



次に、王女が変わった。


蜂須賀・レオニア・ヴェスパリアは、

依然として怖かった。


判断は早く、言葉は少なく、

間違えれば容赦なく切り捨てる。


だが。


「話せば、分かる」

「話す前に、聞いてくれる」


そう認識された瞬間、

王女は「恐怖」から「信頼」に変わった。


怖いが、逃げなくていい存在。

それは、国にとって大きかった。



そして、女神が変わった。


うるさい。

よく転ぶ。

場の空気を壊す。


だが――

逃げなかった。


誰かが怒れば、正面から受け止め、

誰かが泣けば、横に座り、

誰かが倒れそうになれば、手を伸ばした。


奇跡は起こさない。

だが、現場から消えない。


それは、奇跡よりも厄介で、

奇跡よりも頼れる在り方だった。



公式記録は、冷静だった。


地獄の晩餐会ツアーは

財政赤字・反乱・宗教暴走を

なぜか同時に抑制した

前例のない政策である


理由は書かれていない。

分析も結論もない。


ただ、

「事実」として残された。



王城の壁には、いつの間にか

新しい注意書きが増えていた。


※ 地獄の晩餐会は非常時のみ実施

※ ただし非常時の定義は曖昧

※ 商人夫の胃薬を常備すること


それを見上げて、

商人夫は深く、深くため息をついた。


「……ワイな」

「ほんまに、生きとるだけで評価されとる気がする」


ミズハが、遠慮なく背中を叩く。


「それが一番たい!」

「生き残った商人は、一流たい!」


レオニアは、短く頷いた。


「……耐えた者から、国は回る」


それは慰めではなく、

事実の確認だった。



アステリアは、その光景を見て笑った。


「じゃあ次は――」


三人が、同時に口を開く。


「「「やらかさない方向で!」」」


沈黙。


誰もが分かっていた。


――無理だ。


この国は、

完璧な判断より、

やらかした後の対処で回っている。


だが。


今日も、誰も逃げていない。

今日も、誰かが支えている。


だから、国は回っている。


静かに、騒がしく、

だいたい平和に。


さあ、出かけよう——

パレードが、始まるよ。


この国の日常は、

まだ続く…。

地獄の晩餐会は終わった。


だが、

誰かの笑い声は残り、

誰かの記憶に、温度だけが残った。


国は相変わらず不完全で、

問題は減っても、消えてはいない。


それでも。


逃げない王がいて、

止める王女がいて、

うるさい女神がいて、

耐え続ける商人がいる。


それだけで、

国は今日も回っている。


完璧じゃない。

だが、見捨てない。


今日もこの国は、

だいたい平和です。

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