博多弁女神と蜂須賀王女が全国巡業に出る ――地獄の晩餐会ツアー
ドジっ子女神は〇〇
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博多弁女神と蜂須賀王女が全国巡業に出る
――地獄の晩餐会ツアー
発端は、誰の一言だったか。
「一回だけなら、地方でもやってええんちゃう?」
その“一回”は、
翌月には全国十六都市巡業になっていた。
「止めんかったん誰や……」
商人夫は、移動用馬車の中で天を仰ぐ。
「ワイ、晩餐会の手配係ちゃうで?」
「これ、災害対策本部やん……」
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第一都市・港町サルヴァ
開始十分で、地獄が開く。
「さぁさぁ集まりんしゃい!」
ミズハが壇上で叫ぶ。
「今日は飲んで食って、語り合う日たい!」
「……料理は順番に出せ」
レオニアが即座に補足する。
「争奪戦は禁止。刺すのも禁止」
「刺す前提やめて!?」
商人夫が即ツッコミ。
しかし、民衆は大盛り上がり。
・料理は博多式の勢い
・配膳は蜂須賀式の統制
・途中でアステリアが転ぶ
結果――
誰も死なず、全員満腹。
港町の長老は震える声で言った。
「……奇跡より怖いが」
「奇跡より楽しかった」
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第二都市・山岳都市グラード
問題が起きたのは、ここ。
予算不足。
「金が足らん……」
商人夫が頭を抱える。
「大丈夫たい!」
ミズハが即答。
「物々交換でいこ!」
「……交渉は私がやる」
レオニアが前に出る。
結果。
・山羊二十頭
・干し肉百束
・なぜか伝説級ワイン一本
が集まった。
商人夫は呆然。
「……ワイ、商人としての存在意義、今揺らいどる」
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第五都市・王都帰還公演
ついに来た。
王城前広場。
過去最大規模。
アステリアは舞台袖で小さく呟く。
「……これ、ほんとに国政の一部?」
「なっとるな」
レオニアが即答。
「なっとるたい!」
ミズハも被せる。
商人夫はもう諦めた顔で言う。
「……ほな、始めましょか」
「地獄の晩餐会、王都公演」
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その結果
巡業後、各地で起きた変化。
・民が神を恐れなくなった
・王女が“怖いけど話せる存在”になった
・女神が“うるさいけど頼れる存在”になった
そして、公式記録にはこう残る。
地獄の晩餐会ツアーは
財政赤字・反乱・宗教暴走を
なぜか同時に抑制した
前例のない政策である
王城の壁に、新しい注意書きが増えた。
※ 地獄の晩餐会は非常時のみ実施
※ ただし非常時の定義は曖昧
※ 商人夫の胃薬を常備すること
商人夫はそれを見て、深くため息。
「……ワイ、ほんまに生きとるだけで評価されとる気がする」
ミズハが背中を叩く。
「生き残った商人は一流たい!」
レուս レオニアは頷く。
「……耐えた者から、国は回る」
アステリアは笑って言った。
「じゃあ次は――」
三人が同時に言う。
「「「やらかさない方向で!」」」
――無理だった。
だが、国は今日も回っている。
さあ
出かけよう
paradeが始まるよー




